条文・判例・学説を体系的に整理
未成年者の同意なき相続放棄の取消し
未成年者が法定代理人の同意を得ないでした相続の放棄は、15歳に達している場合であっても、取り消すことができる(5条2項)。
遺産分割による権利の承継と対抗要件
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができないから、遺産の分割により法定相続分を超える所有権を取得した相続人も、その超える部分については、登記を備えなければ、遺産の分割後に現れた第三者に対抗することができない。
配偶者と直系尊属の相続分
被相続人の配偶者及び父母が相続人であるときは、配偶者の相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1であり、父母の相続分は各6分の1となる。
共同相続人の相続分の第三者への譲渡
共同相続人の一人は、遺産の分割前に、自己の相続分を共同相続人以外の第三者に譲り渡すことができる(他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる)。
相続分の全部譲渡者と遺産分割請求
共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は、積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する割合的な持分を全て失うことになり、遺産分割審判の手続等において遺産に属する財産につきその分割を求めることはできない。
平成26年2月14日最高裁第二小法廷民集68巻2号113頁(遺産確認,建物明渡等請求事件)
単純承認の効力
相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。
次順位者承認後の財産私消と単純承認
相続人が相続の放棄をした後に、相続財産の全部又は一部を私に消費したときは、法定単純承認となるが、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
同時死亡の推定と代襲相続
被相続人と子が死亡し、その死亡の先後が不明であるときは、同時に死亡したものと推定され、子の子は、子が相続の開始以前に死亡した者として、子を代襲して相続人となる。
内縁の配偶者の相続権
被相続人の内縁の配偶者は、相続人とならない。
特別受益の超過額と返還義務
特別受益に当たる贈与の価額がその受贈者である相続人の具体的相続分の価額を超える場合、その相続人は相続分を受けることができないが、超過額を返還する義務は負わない(民法903条2項)。
特別受益と目的物の滅失による価額算定
特別受益にあたる贈与の価額は、受贈者の行為によって目的である財産が滅失し又は価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなして定めるが(民法904条)、この擬制は「受贈者の行為によって」滅失した場合の規定であり、地震など受贈者の行為によらない滅失について原状のままとみなす規定はない。
相続分の全部譲渡と遺産分割
共同相続人の一人が自己の相続分の全部を他の共同相続人に譲渡した場合、譲渡した者は遺産分割協議の当事者となることができない。
平成26年2月14日最高裁第二小法廷民集68巻2号113頁(遺産確認,建物明渡等請求事件)
相続分の第三者への譲渡
共同相続人の一人は、その相続分を第三者に譲渡することができる(民法905条1項)。
遺産分割協議の時期
共同相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合などを除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる(民法907条1項)。
相続放棄の遡及効
相続の放棄をした者は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされ(民法939条)、放棄は撤回することができないから(民法919条1項)、放棄後に被相続人が放棄者の相続分を指定する遺言をしていたことが判明しても、放棄者がその遺言に従って相続することはない。
特別受益の超過と返還義務
特別受益に当たる贈与の価額がその受贈者である相続人の具体的相続分の価額を超える場合であっても、その相続人は、超過した価額に相当する財産を他の共同相続人に返還する義務を負わない。
配偶者居住用不動産の持戻し免除推定
婚姻期間が20年以上の夫婦の一方が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地を遺贈又は贈与したときは、持戻し免除の意思表示があったものと推定される。
配偶者居住用贈与と持戻免除推定
婚姻期間が20年以上の夫婦の一方が、他の一方に居住用不動産を贈与した場合、当該贈与については、持戻し免除の意思表示がされたものと推定される。
墳墓の承継
被相続人が祖先の祭祀を主宰すべき者を指定していなかったとしても、墳墓の所有権は慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継し、慣習が明らかでないときは家庭裁判所が承継者を定めるから、墳墓は遺産分割の対象とならない。
遺産分割の時期
共同相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合又は共同相続人が分割をしない旨の契約をした場合(民法908条1項・2項)を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。