条文・判例・学説を体系的に整理
賃料自動増額特約と賃料減額請求権
建物賃貸借に賃料自動増額特約があっても、借地借家法32条1項は強行法規であるから、特約によってその適用を排除することはできず、賃借人は賃料減額請求権を行使することができる。
平成15年10月21日最高裁第三小法廷民集57巻9号1213頁(敷金請求本訴,賃料相当額確認請求反訴事件)
賃貸人たる地位の移転の対抗
賃貸借の対抗要件を備えた不動産が譲渡されて賃貸人たる地位が譲受人に移転した場合、その移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
賃借人の有益費の償還請求の時期
賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、民法196条2項の規定に従ってその償還をしなければならない。
建物所有目的の地上権の借地権性
借地借家法にいう借地権は、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいい、建物の所有を目的とする地上権も含まれる。
書面によらない賃貸借と解除
使用貸借の貸主は借主が借用物を受け取るまで契約を解除することができる(民法593条の2)が、賃貸借にはこのような規定はなく、書面によらない賃貸借でも、賃貸人は引渡しまでの間に任意に解除することはできない。
賃貸借終了と所有権に基づく転借人請求
原賃貸借が期間満了により終了し更新されなかった場合、転借人は原則として占有権原を賃貸人に対抗できず、所有者である賃貸人は引渡しを請求できるが、建物転貸借には借地借家法34条の通知と6か月の保護がある。
期間の定めなき動産賃貸借の解約
賃貸借の期間が定められなかった場合において、解約の申入れをしたときは、動産の賃貸借は、解約の申入れの日から1日を経過することによって終了し、直ちに終了するわけではない。
賃借人の目的物買受けと賃借権の混同
建物の賃貸借契約を締結した後に、賃借人がその建物を賃貸人から買い受けた場合には、賃借権と所有権が同一人に帰属して賃借権は混同により消滅する(その賃借権が第三者の権利の目的となっている場合を除く)。
賃貸人たる地位の転借人帰属と混同
賃貸人から建物を購入した転借人が賃貸人たる地位を取得しても、賃貸借上の債権債務は賃借人と新賃貸人との間のものであり、転貸借は賃借人(転貸人)と転借人との間の別個の法律関係であるから、転貸借関係は混同によって当然に消滅するわけではない。
賃貸人の保存行為と賃借人の受忍義務
賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない(ただし、賃借人の意思に反する保存行為によって賃借をした目的を達することができなくなるときは、契約の解除をすることができる)。
混同で消滅した賃借権と第三者への対抗
賃借人が賃貸人から建物を譲り受けて占有を継続していたが、第三者が先に所有権移転登記を経由したため、賃借人が建物所有権の取得を第三者に対抗できなくなったときは、いったん混同によって消滅した賃借権は、その第三者との関係では消滅しなかったものとなる。
昭和40年12月21日最高裁第三小法廷民集19巻9号2221頁(不動産取得登記抹消等請求事件)
原賃貸借の不履行解除と転貸借終了時期
賃貸人の承諾のある転貸借で、原賃貸借が転貸人の債務不履行を理由に解除された場合、転貸借は原則として賃貸人が転借人に目的物の返還を請求した時に、転貸人の債務の履行不能により終了する。
平成9年2月25日最高裁第三小法廷民集51巻2号398頁(建物賃料等請求本訴、保証金返還請求反訴)
動産賃貸借の解約申入れ
期間の定めのない動産賃貸借契約の賃貸人は、いつでも解約の申入れをすることができる。
賃借権の適法な譲渡と敷金
賃借人が賃貸人の承諾を得て賃借権を第三者に適法に譲渡した場合、敷金は新賃借人に承継されず、賃貸人は旧賃借人に対して敷金を返還しなければならない。
昭和53年12月22日最高裁第二小法廷民集32巻9号1768頁(取立債権)
敷金の賃料充当請求
賃貸借契約の存続中、賃借人は賃貸人に対し敷金を賃料債務の弁済に充てるよう請求することはできない。
定期借地権と公正証書
住宅の所有を目的として締結される一般定期借地権(借地借家法22条)の設定契約は、書面(電磁的記録含む)によってすることができ、公正証書による必要はない。
賃貸借契約の締結費用
賃貸借契約の締結に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担する(民法558条・559条)。
短期賃貸借と処分権限
処分の権限を有しない者は、短期賃貸借の存続期間(山林10年、その他の土地5年、建物3年、動産6箇月)を超える賃貸借をすることはできず、契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は各号に定める期間とされる(民法602条)。
不動産の賃貸人たる地位の移転と承諾
賃貸物である不動産が譲渡された場合において、譲渡人と譲受人との合意により賃貸人たる地位を譲受人に移転させるには、賃借人の承諾を要しない(民法605条の3)。
対抗力ある賃借人の返還請求
不動産の賃借人は、民法605条の2第1項に規定する対抗要件を備えた場合において、その不動産を第三者が占有しているときは、その第三者に対する返還の請求をすることができる(民法605条の4第2号)。