条文・判例・学説を体系的に整理
買主の請求と異なる方法の追完
売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができるから、修補の請求を受けた場合でも、代替物の引渡しによる追完をすることができる。
追完不能の場合の代金減額請求
履行の追完が不能であるときは、買主は、催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
買主の帰責事由と追完・代金減額請求
不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、履行の追完の請求をすることができず、代金の減額の請求もすることができない。
双方に帰責事由なき場合の代金減額
契約不適合が双方の責めに帰することができない事由によるものであっても、買主は、代金の減額を請求することができる(売主の帰責事由は要件でない)。
種類・品質不適合の通知懈怠と賠償請求
売主が引渡しの時に種類又は品質の不適合を知らず、かつ重大な過失によって知らなかったのでもない場合に、買主が種類又は品質の不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、損害賠償の請求をすることができない。
相手方の履行着手と手付解除の制限
解約手付による解除は、相手方が契約の履行に着手した後はすることができず、自らが履行に着手しているかどうかは問わない。
昭和40年11月24日最高裁大法廷民集19巻8号2019頁(所有権移転登記等請求)
手付の解約手付推定
売買契約において交付された手付は、解約手付と推定される。
昭和29年1月21日最高裁第一小法廷民集8巻1号64頁(損害賠償請求)
帰責事由なき数量不足と解除
売買の目的物の数量が不足しており契約の内容に適合しない場合において、その不適合が売主買主いずれの責めにも帰することができない事由によるときであっても、買主は、相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、契約の解除をすることができる(民法562条1項・564条・541条)。
買主の帰責事由と解除の制限
数量の不足が買主の責めに帰すべき事由によって生じた場合、買主は売買契約を解除することができない。
買主の帰責事由と追完請求権の制限
売買の目的物の契約不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、売主に対して履行の追完の請求をすることができない(民法562条2項)。
追完拒絶と代金減額請求
不足分の引渡しが可能であり売主がその引渡しを申し出た場合、買主はその申出を拒んで直ちに代金の減額を請求することはできない(民法563条1項)。
数量不足の通知期間と損害賠償
売買目的物の数量の不足については、民法566条(種類又は品質の不適合に関する通知期間の制限)の適用はなく、買主が売主に対して数量の不足を知った時から1年以内に通知しなかった場合であっても、買主は損害賠償の請求をすることができる。
目的物の滅失と売買契約の効力
売買契約の締結前に目的物である特定物が滅失していた場合(原始的不能)であっても、そのことだけで売買契約が効力を生じないことにはならない(民法412条の2第2項は、契約成立時に履行が不能であったことは415条による損害賠償の請求を妨げないとする)。
受領遅滞中の目的物滅失と危険の移転
売主が引渡期日に目的物の引渡しの提供をしたが買主が正当な理由なく受領を拒絶したため、売主のもとで保管中に売主の重過失により目的物が滅失した場合、民法413条の2第2項は適用されず、買主は代金の支払を拒むことができる。
他人物売買と売主の無過失による不履行
売主が他人の権利を取得して買主に移転することができない場合、そのことについて売主の責めに帰すべき事由が存在しないときは、買主は売主に対して損害賠償を請求することができない(民法415条1項ただし書)。
履行拒絶と填補賠償請求
売買契約の締結後、買主が代金を支払ったが引渡期日前に売主が引渡しを明確に拒絶した場合、買主は引渡期日の到来を待つことなく填補賠償を請求することができる。
帰責事由ある損害と代償請求権
売主が目的物を引き渡す前に買主の帰責事由により目的物が焼失し、売主が同一の原因により損害保険金を取得したときは、買主は、民法422条の2の代償請求権により、受けた損害の額の限度でその償還を請求できる。
引渡前の第三者による目的物滅失と代金債権
売買契約において売主の目的物引渡債務が履行不能となったときは、買主の代金支払債務は当然には消滅せず、当事者双方の責めに帰することができない事由による場合は、買主は反対給付(代金の支払)の履行を拒むことができるにとどまる(民法536条1項)。
胎児への売買契約と権利能力
第三者のためにする契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない(民法537条2項)から、契約締結時に出生していなかった者に目的物の所有権を取得させる売買契約も無効とはならない。
第三者のためにする契約と受益者の承諾
第三者のためにする契約において、第三者が受益の意思表示をして権利を取得した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない。