条文・判例・学説を体系的に整理
一部弁済後の残額請求の訴状記載
貸金の一部の弁済を受けた残額の返還を求める訴えにおいて、弁済の事実は請求を特定するために訴状に記載しなければならない事実ではなく、貸金返還請求権の発生原因(消費貸借契約の成立及び貸付け)によって請求は特定される。
境界確定訴訟の請求の趣旨
所有権確認訴訟では請求の趣旨において原告の主張する土地所有権の範囲を特定する必要があるが、境界確定訴訟では請求の趣旨において原告の主張する筆界を特定する必要はない。
昭和41年5月20日最高裁第二小法廷集民83号579頁(境界確定請求)
異なる被告に対する訴えと重複起訴
不動産の所有権確認請求訴訟の係属中に、原告が第三者に対して同一不動産の所有権確認を求める別訴を提起することは、被告が異なるため重複起訴には該当せず許される。
債務不存在確認訴訟と給付訴訟
債務不存在確認請求訴訟の係属中に、相手方が当該債務の履行を求める給付訴訟を提起することは、実質的に重複起訴に該当し許されない。
昭和49年2月8日最高裁第二小法廷集民111号75頁(売買契約不存在確認等請求事件)
登記請求訴訟と所有権確認訴訟
土地所有権に基づく所有権移転登記手続請求訴訟の係属中に、その被告が原告に対して当該土地の所有権確認を求める別訴を提起することは、訴訟物が異なるため重複起訴には該当しない。
昭和49年2月8日最高裁第二小法廷集民111号75頁(売買契約不存在確認等請求事件)
手形訴訟と債務不存在確認訴訟
手形金債務不存在確認請求訴訟の係属中に、その被告が原告に対して当該手形金の支払を求める別訴を手形訴訟により提起することは、許される。
被保全債権の変更と訴えの変更
詐害行為取消権を行使して所有権移転登記抹消登記手続請求訴訟を提起する場合において、訴訟係属中に被保全債権を変更することは、訴えの変更に当たらない。
平成22年10月19日最高裁第三小法廷集民235号93頁(詐害行為取消等請求事件)
控訴審における訴えの変更
控訴審における訴えの変更は、請求の基礎に同一性が認められる場合には、相手方の同意がなくてもすることができる。
訴えの変更の訴訟遅滞と相手方同意
訴えの変更は、著しく訴訟手続を遅滞させることとなるときは、相手方の同意があっても許されない。
訴状の請求の原因の記載
訴状の請求の趣旨欄に所有権確認を求める記載があれば、請求の原因欄に所有権の取得原因事実の記載がなくても、訴状の補正を命じる理由にはならない。
離婚訴訟と慰謝料請求の併合
配偶者の不貞行為を理由として離婚の訴えを家庭裁判所に提起する場合には、原告は、被告に対する当該不貞行為による慰謝料請求を併合することができる。
離婚請求と婚姻取消請求
離婚請求に当該婚姻の取消請求を追加することは、請求の基礎の変更にかかわらず、許される。
関連請求の併合と管轄
土地の所有者が地上建物の所有者に対して建物収去土地明渡しを求める訴えを当該土地の所在地を管轄する裁判所に提起する場合には、原告は、被告に対する貸金返還請求を併合することができる。
単純併合と判決
土地の明渡請求と当該土地の明渡しまでの賃料に相当する額の損害の賠償請求とが一の訴えでされた場合には、裁判所は、各請求について判決をする必要がある。
予備的併合と判決
消費貸借契約に基づく貸金請求と、仮に当該契約が無効であるときには不当利得として同額の支払を求める請求とが一の訴えでされた場合において、裁判所は、前者の請求を認容するときは、後者の請求について判決をする必要はない。
将来給付と代償請求の併合
不特定物の引渡しの請求とその執行不能の場合における代償請求とが一の訴えでされた場合において、裁判所は、前者の請求を認容するときであっても、後者の請求について判決をする必要がある。
請求の基礎の変更と異議
訴えの変更は、請求の基礎に変更がないときでなければ許されないが、相手方が異議を述べずに応訴したときは、請求の基礎に変更があっても許される。
昭和29年6月8日最高裁第三小法廷民集8巻6号1037頁(家屋明渡等請求)
訴えの変更と訴訟遅滞
訴えの変更は、相手方の陳述した事実に基づいてする場合であっても、著しく訴訟手続を遅滞させるときは、許されない。
攻撃方法の変更と訴えの変更
ある土地の所有権確認請求訴訟において、原告が初め被告からのその売買による取得を主張し、後にその時効による取得を主張することは、訴えの変更に当たらない。
訴えの交換的変更と旧請求の係属
いわゆる訴えの交換的変更においては、旧請求について適法な訴えの取下げ又は請求の放棄がない限り、旧請求の訴訟係属は消滅しない。
昭和32年2月28日最高裁第一小法廷民集11巻2号374頁(貸金請求)