条文・判例・学説を体系的に整理
社外取締役の設置義務の対象
監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る)であって、金融商品取引法の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を提出しなければならないものは、社外取締役を置かなければならないが、その員数の定めはなく、社外取締役を2人以上置くことまでは義務付けられていない。
非公開大会社の取締役会・監査役会の要否
大会社(公開会社でないもの、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く)は監査役会及び会計監査人を置かなければならないが、公開会社でない大会社は会計監査人を置けば足りる。
監査等委員である取締役の区別選任
監査等委員会設置会社においては、株主総会の決議による取締役の選任は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別してしなければならない。
補欠の取締役の選任
取締役を選任する株主総会の決議をする場合には、法務省令で定めるところにより、取締役が欠けた場合又は法令若しくは定款で定めた員数を欠くこととなるときに備えて、補欠の取締役を選任することができる。
非公開会社の取締役資格の株主限定定款
株式会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができないが、公開会社でない株式会社においては、定めることができる。
累積投票排除定款と取締役解任決議
役員を選任し又は解任する株主総会の決議は普通決議で足り、特別決議となるのは累積投票により選任された取締役、監査等委員である取締役又は監査役を解任する場合に限られる。
取締役会の決議要件の加重
取締役会の決議は議決に加わることができる取締役の過半数が出席しその過半数をもって行うが、これを上回る割合を定款で定めることができ、例えば3分の2以上の出席を要件とすることもできる。
監査等委員会設置会社の募集社債決定委任
監査等委員会設置会社の取締役の過半数が社外取締役である場合には、取締役会は、その決議によって、重要な業務執行の決定を取締役に委任することができ、募集社債の募集事項の決定も、399条の13第5項ただし書に列挙された事項に含まれていないため、委任することができる。
監査等委員会設置会社の業務決定の委任
監査等委員会設置会社は、取締役の過半数が社外取締役でない場合であっても、取締役会の決議によって重要な業務執行(一定の事項を除く)の決定の全部又は一部を取締役に委任することができる旨を定款で定めることができる。
指名委員会等設置会社の監査委員の選定
各委員会の委員は、取締役の中から、取締役会の決議によって選定する。
指名委員会等設置会社の監査委員の兼任
指名委員会等設置会社の監査委員は、当該指名委員会等設置会社若しくはその子会社の執行役若しくは業務執行取締役又は指名委員会等設置会社の子会社の会計参与若しくは支配人その他の使用人を兼ねることができない。
総会決議なき役員報酬と事後の総会決議
定款の定めも株主総会の決議もなく支払われた取締役の報酬について、後に株主総会の決議を経たときは、決議の内容等に照らして報酬規制の趣旨目的を没却するような特段の事情がない限り、当該報酬の支払は適法有効なものになる。
平成17年2月15日最高裁第三小法廷集民216号303頁(損害賠償請求事件)
指名委員会等設置会社の会計監査人義務
指名委員会等設置会社は、公開会社であるか否か、大会社であるか否かにかかわらず、会計監査人を置かなければならない。
社外取締役への業務委託と社外要件
取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く)が、取締役会の決議によって、取締役と会社との利益が相反する状況にあるときに業務の執行を社外取締役に委託した場合、委託された業務の執行は、業務執行取締役の指揮命令により行われたものでない限り、社外取締役の要件(2条15号イ)に反する業務執行には当たらない。
使用人兼務取締役の報酬決議と給与
使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合には、使用人兼務取締役について、別に使用人として給与を受けることを予定しつつ、取締役として受ける報酬額のみを株主総会で決議することも許される。
昭和60年3月26日最高裁第三小法廷集民144号247頁(株主総会決議無効確認)
業務執行取締役の監視義務
取締役会設置会社の取締役は、取締役会を構成する者として、取締役会に上程された事柄に限らず、代表取締役の業務執行一般を監視し、必要があれば取締役会の招集等を通じて業務執行が適正に行われるようにする職務を有する。
昭和48年5月22日最高裁第三小法廷民集27巻5号655頁(損害賠償請求)
取締役の業務決定の使用人への再委任
取締役会から委任された業務の執行の決定を、業務執行取締役が使用人に再委任することが、一切できないわけではない。
非社外取締役と業務執行取締役の地位
指名委員会等設置会社を除く取締役会設置会社において、社外取締役でない取締役が当然に業務執行取締役となるわけではなく、代表取締役以外の取締役が業務を執行するには、取締役会の決議によって業務を執行する取締役として選定される必要がある。
指名委員会等設置会社の業務決定委任
指名委員会等設置会社の取締役会は、その決議によって、業務執行の決定を執行役に委任することができ、募集株式の発行、多額の借財並びに支配人その他の重要な使用人の選任及び解任の各決定も、416条4項ただし書の列挙事項に含まれないため、執行役に委任することができる。
監査等委員である取締役の任期
監査等委員会設置会社における監査等委員である取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までであり、定款又は株主総会の決議によってその任期を短縮することはできない。