条文・判例・学説を体系的に整理
死亡の危急に迫った者の遺言の確認
疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授してした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。
遺言執行者に対する就職の催告
相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができ、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。
相続財産への帰属にかかわらない遺贈
遺贈は、その目的である権利が遺言者の死亡の時において相続財産に属しなかったときは効力を生じないが、その権利が相続財産に属するかどうかにかかわらず、これを遺贈の目的としたものと認められるときは、有効である。
遺産分割方法の指定の第三者への委託
被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託することができる。
「相続させる」趣旨の遺言の解釈
遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人に相続させる旨の遺言は、遺言書の記載から、その趣旨が遺贈であることが明らかであるか、又は遺贈と解すべき特段の事情のない限り、遺産の分割の方法を指定した遺言(特定財産承継遺言)と解される。
平成3年4月19日最高裁第二小法廷民集45巻4号477頁(土地所有権移転登記手続)
自筆証書遺言と財産目録の添付
自筆証書によって遺言をする場合において、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付するときは、その目録については、自書することを要しない(ただし、遺言者は、その目録の毎葉に署名し、印を押さなければならない)。
停止条件付遺言の効力発生時期
遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる(遺言者の死亡の時にさかのぼらない)。
撤回遺言の撤回と当初の遺言の復活
遺言者が遺言を撤回する遺言を更に別の遺言をもって撤回した場合において、遺言書の記載に照らし、遺言者の意思が当初の遺言の復活を希望するものであることが明らかなときは、当初の遺言の効力が復活する。
平成9年11月13日最高裁第一小法廷民集51巻10号4144頁(遺言無効確認等)
受遺者の相続人による遺贈の承認又は放棄
受遺者が遺贈の承認又は放棄をしないで死亡したときは、その相続人は、自己の相続権の範囲内で、遺贈の承認又は放棄をすることができる(遺言者が別段の意思を表示したときはその意思に従う)。
遺贈放棄の錯誤による取消し
遺贈の承認及び放棄は撤回することができないが、錯誤、詐欺又は強迫を理由として、総則及び親族の規定に従い取り消すことができる。
遺贈の放棄
受遺者は遺言者の死亡後いつでも遺贈の放棄をすることができる。
負担付遺贈を受けた者の責任の限度
負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。
受遺者の配偶者と遺言証人の欠格
推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族は、遺言の証人又は立会人となることができない。
公正証書遺言の自筆証書遺言による撤回
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができ、前の遺言と抵触する後の遺言があるときは、前の遺言は撤回したものとみなされるから、公正証書遺言を自筆証書遺言によって撤回することができる。
被保佐人の遺言能力
被保佐人は、保佐人の同意を得ずに遺言をすることができる。
被後見人の後見人への遺言
被後見人が、後見の計算の終了前に、法人である後見人の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効である。
遺言の撤回の方式
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。
相続分の指定と遺留分
共同相続人の一人の相続分を定める遺言は、他の共同相続人の遺留分を侵害する部分についても効力を生じ、遺留分侵害額請求によってその限度で是正される。
生前贈与と遺贈の対抗関係
被相続人が不動産をある者に生前贈与したが、所有権移転登記未了のうちに他の者に遺贈する旨の遺言をし、死亡後に遺贈を原因とする所有権移転登記がされた場合、受遺者が相続人であっても、受贈者は受遺者に対し所有権の取得を対抗できない。
昭和39年3月6日最高裁第二小法廷民集18巻3号437頁(第三者異議)
未成年者の遺贈能力
遺贈は、遺言によって行われるため、15歳に達した者であれば成年未達でもすることができる(民法961条・962条・964条)。