条文・判例・学説を体系的に整理
書面による寄託と無報酬の受寄者の解除
無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで契約の解除をすることができるが、書面による寄託については、解除をすることができない。
受寄者の注意義務
自己の財産に対するのと同一の注意をもって寄託物を保管すれば足りるのは無報酬の受寄者であり、有償の受寄者は、善良な管理者の注意をもって保管する義務を負う。
利息の特約がない預金契約と利息
預金契約に利息の特約がないときは、金融機関は、預金者に対し、利息の支払義務を負わない。
受寄者の代弁済請求
受寄者は、報酬の有無にかかわらず、寄託物を保管するのに必要と認められる債務を負担したときは、寄託者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。
預金契約による受寄者の返還
預金又は貯金に係る契約により金銭を寄託した場合の受寄者は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも寄託された金銭の返還をすることができる。
書面による無償寄託と受寄者の解除権
無報酬の寄託契約が書面によって締結された場合には、受寄者は寄託物を受け取るまでであっても契約を解除することはできない。
無報酬の受寄者と寄託物の使用
無報酬の受寄者は、寄託者の承諾がなくても、寄託物をその用法に従って使用することができるわけではない。
寄託の成立と諾成契約
寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
書面によらない有償寄託と解除
書面によらない有償寄託契約において、受寄者は寄託物を受け取るまでの間であっても契約を解除することはできない(民法657条の2第2項ただし書)。
受寄者の第三者への保管委託
受寄者は、寄託者の承諾を得なくても、やむを得ない事由があるときは、寄託物を第三者に保管させることができる。
受寄者の報酬請求(無報酬が原則)
受寄者は、特約がなければ、寄託者に対して報酬を請求することができない(民法665条により648条1項が準用される)。
受寄者の第三者権利主張の通知義務
受寄者は、寄託物について権利を主張する第三者から訴えを提起された場合には、寄託者が既にこれを知っているときを除き、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない(民法660条)。
混合寄託と寄託者の承諾
複数の者が寄託した物の種類及び品質が同一である場合でも、受寄者は各寄託者の承諾を得なければ、これらを混合して保管することができない(民法665条の2第1項)。
誤振込みと預金債権の成立
振込依頼人から受取人の普通預金口座に振込みがあったときは、両者の間に振込みの原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず、受取人が銀行に対して普通預金債権を取得するから(最判平8.4.26)、誤振込みをした振込依頼人は、銀行に対して振込金相当額の支払を請求することはできない。
平成8年4月26日最高裁第二小法廷民集50巻5号1267頁(第三者異議)
預金口座の取引経過開示請求
預金者が死亡した場合、共同相続人の一人は、単独で銀行に対して預金口座の取引経過の開示を求めることができる。
平成21年1月22日最高裁第一小法廷民集63巻1号228頁(預金取引記録開示請求事件)
定期預金の期限前払戻し
定期預金の場合、受寄者である銀行は、民法666条3項が準用する591条2項により満期前であっても払戻しをすることができ、「やむを得ない事由」はその要件ではない。
寄託と報酬
寄託は、報酬の定めがなくても成立する。
寄託物の期限前返還と返還請求
寄託者は返還時期の定めの有無にかかわらずいつでも寄託物の返還を請求することができるが、受寄者は、返還時期の定めがあるときは、やむを得ない事由がなければその期限前に寄託物を返還することができない。
受寄者の使用・再寄託の制限
受寄者は寄託者の承諾なく寄託物を使用できないが、第三者に保管させることは寄託者の承諾があるとき又はやむを得ない事由があるときにできる。
適法な再寄託と寄託者への保管費用請求
受寄者が適法に第三者に寄託物を保管させた場合、その再受寄者は、寄託者に対しその権限の範囲内において受寄者と同一の権利を有し、保管費用の償還を直接請求することができる。