条文・判例・学説を体系的に整理
動産質権の被担保債権と利息の範囲
動産質権は、設定行為に別段の定めがない限り、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保し、利息について最後の2年分に限るとの制限はない。
動産質権者の質物遺失と返還請求
動産質権者が質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ質物を回復することができるが(民法353条)、質物を遺失し、質権設定者がこれを拾得して占有しているときは、占有を奪われたのではないから、質権に基づいて質物の引渡しを請求することができる。
債権質の第三債務者の供託と質権存続
質権の目的である債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来した場合に、質権者の請求により第三債務者が弁済すべき金額を供託したときは、質権は、その供託金について存在する。
将来債権を目的とする質権の設定
現に発生していない将来の債権も、質権の目的とすることができる。
動産質権者による質物の保存に必要な使用
動産質権者は、質権設定者の承諾を得なくても、質物の保存に必要な使用をすることができる。
不動産質権者の管理の費用の負担
不動産質権者は、設定行為に別段の定めがないときは、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う。
債権質が競合した場合の優劣
同一債権を目的とする数個の質権の優劣は、確定日付のある証書による第三債務者への通知の到達又は承諾という第三者対抗要件を備えた先後により決まり、劣後する質権者は質権を失うのではなく後順位となる。
債権質設定の通知後の債権取得と相殺
債権を目的とする質権の設定が第三債務者に通知された後に、第三債務者が質権設定者との間で新たに売買契約を締結して取得した代金債権を自働債権とする相殺は、質権者に対抗することができない。
質権者による債権の取立て
質権者は、質権の目的である債権を、自己の名で直接に取り立てることができる。
譲渡制限の意思表示のある債権の質入れ
預貯金債権等の特則を除き、譲渡制限の意思表示がある債権でも質権設定の効力は妨げられないが、悪意又は重過失の質権者に対し、債務者は履行を拒むことができ、質権設定者への弁済その他の債務消滅事由を対抗することもできる。
債権質の対抗要件と債権譲渡登記
債権譲渡登記ファイルに質権の設定の登記がされたときは、第三債務者以外の第三者に対して質権の設定を対抗することができる。
質権と先取特権の優先関係
動産売買の先取特権と質権が競合する場合において、質権者が質権を取得した時点で先取特権の存在を知らなかったときは、質権が先取特権に優先する。
債権質の効力と利息
債権を目的とする質権の効力は、質入債権の利息にも及ぶ。
債権質の対抗要件と第三債務者の抗弁
債権を目的とする質権の設定は、民法467条の規定に従い、第三債務者に通知し又は第三債務者が承諾しなければ、第三債務者その他の第三者に対抗することができず、第三債務者は、通知を受けるまでに質権設定者に対して生じた事由を質権者に対抗することができる。
質入債権の供託請求
被担保債権の弁済期より前に質入債権の弁済期が到来したときは、質権者は第三債務者にその弁済すべき金額を供託させることができる。
質権設定者による代理占有
動産質権者は、質権設定者に自己に代わって質物を占有させることができない。
動産質権と被担保債権の利息
動産質権者は、被担保債権について利息を請求する権利を有するときは、利息全額について質権を行使することができ、最後の2年分に限定されない(民法346条、利息等を最後の2年分に限る民法375条1項は抵当権の規定であり、動産質権には準用されない)。
動産質権の簡易弁済充当
動産質権者は、被担保債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。
債権を目的とする債権質
質権は、債権を目的としても成立する(民法362条1項)。
動産質権者の果実収取権
動産質権者は、質物から生ずる果実を収取し、他の債権者に優先して被担保債権の弁済に充当することができる。