条文・判例・学説を体系的に整理
仮の義務付け後の内閣総理大臣の異議
仮の義務付け又は仮の差止めについても執行停止の規定が準用され、内閣総理大臣の異議は、裁判所が仮の義務付けの決定をする前のみならず、決定をした後であっても述べることができる。
仮の差止めと公共の福祉への重大な影響
仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。
仮の義務付けの本案の理由要件
裁判所は、義務付けの訴えの提起があった場合において、償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときでなければ、仮の義務付けの決定をすることができない。
仮の差止めの事情変更取消しと意見聴取
仮の差止めの決定の事情変更による取消決定をする場合にも、執行停止の取消しに関する規定(25条6項)が準用され、あらかじめ当事者の意見をきかなければならない。
仮の義務付け決定取消し後の行政庁義務
仮の義務付けの決定が、即時抗告についての裁判又は事情変更による取消決定により取り消されたときは、行政庁は、当該決定に基づいてした処分又は裁決を取り消さなければならない。
執行停止の公共の福祉への影響の疎明
執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができず、これらは執行停止の消極要件であるから、申立人が、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのないことを疎明する責任を負うものではない。
保護廃止処分と執行停止
生活保護の受給者が預貯金を保有していたことを理由に保護廃止処分を受けた場合、当該保護廃止処分の取消訴訟を本案として執行停止を申し立てることが最も適切な仮の救済手段である。
建築確認処分と執行停止
建築確認処分が既にされた後に周辺住民が当該建築を阻止したい場合、当該建築確認の取消訴訟を本案とする執行停止の申立てが最も適切な仮の救済手段である。
不許可処分と仮の義務付け
申請に対する拒否処分(不許可処分)に対して適切な仮の救済手段は、当該拒否処分の取消訴訟を本案とする執行停止ではなく、申請型義務付け訴訟を本案とする仮の義務付けの申立てである。
未処分段階の仮の差止め
不利益処分がまだされていない段階(聴聞が行われた段階)では、差止訴訟を本案として仮の差止めを申し立てることが最も適切な仮の救済手段である。
仮の差止めと内閣総理大臣の異議
仮の差止めを認める決定があった後においても、内閣総理大臣は裁判所に対し異議を述べることができる。
仮の差止め・義務付けと第三者効
執行停止の決定は、行政事件訴訟法32条2項により第三者に対しても効力を有するが、仮の差止め・仮の義務付けの決定については、同法37条の5第4項が32条を準用していないため、第三者に対して効力を有しない。
仮の差止めと本案訴訟の関係
仮の差止めの申立ては、差止訴訟(本案訴訟)の提起が前提とされており、本案訴訟を提起せずに仮の差止めのみを申し立てることはできない。
執行停止と仮の差止めの要件の相違
執行停止は処分の執行等により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があることが要件となっているが、仮の差止めは処分がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があることが要件となっている。
執行停止・仮の差止めの本案理由要件
執行停止については本案について理由がないとみえるときは決定をすることができないという消極要件にとどまるのに対し、仮の差止めについては本案について理由があるとみえるときでなければ決定をすることができないという積極要件が課されており、両者は本案理由要件において異なる。
執行停止の当事者意見聴取要件
執行停止及び仮の差止めのいずれについても、あらかじめ当事者の意見をきかなければ裁判所はその決定をすることができない。
執行停止決定への即時抗告と執行停止効
執行停止の申立ての相手方は、申立てを認容する決定に対して即時抗告をすることができるが、当該即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しないから、相手方が、即時抗告後、その決定が取り消される前に、処分の執行を継続することは許されない。
執行停止決定の取消し
執行停止の決定が確定した後にその理由が消滅し、その他事情が変更したときは、裁判所は、相手方の申立てにより、決定をもって、執行停止の決定を取り消すことができるが、職権で取り消すことはできない。
執行停止の管轄裁判所
執行停止の申立ては、本案訴訟が係属する裁判所に対してしなければならず、本案の係属する裁判所以外の裁判所に申し立てることは許されない。
仮の差止めの要件
差止めの訴えの提起があった場合において、償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときであっても、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、裁判所は仮の差止めをすることができない。