条文・判例・学説を体系的に整理
最高裁判所裁判官の任命権者
天皇は、内閣の指名に基づいて、最高裁判所の長たる裁判官を任命するのであって、長たる裁判官以外の最高裁判所の裁判官は内閣が任命する。
特別裁判所の禁止と弾劾裁判所の例外
憲法76条2項前段は特別裁判所の設置を禁止するが、憲法64条1項は国会に弾劾裁判所を設けると定めており、弾劾裁判所による罷免の裁判の当否を最高裁判所が最終的に判断することはできないと解される。
弾劾裁判所の国会閉会中の職権行使
弾劾裁判所及び訴追委員会は、国会の閉会中でも職権を行うことができる。
弾劾の訴追・裁判と最高裁の訴追請求
憲法64条2項は弾劾に関する事項を法律に委任しており、裁判官弾劾法上、罷免の訴追は、何人もすることができる訴追請求や訴追委員会の職権による調査に基づいて行われ、最高裁判所による訴追請求が必ず必要とはされていない。
裁判官の独立と憲法・法律への拘束
憲法76条3項により、すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行うが、「この憲法及び法律にのみ拘束される」から、客観的法規範と抵触する場合にまで自らの信念に従って裁判を行えばよいというものではない。
裁判官の懲戒と裁判所の裁判
憲法78条後段は裁判官の懲戒処分を行政機関が行うことを禁ずるところ、法律上、裁判官の懲戒は裁判によって行われ、その裁判権は各高等裁判所及び最高裁判所にある。
国政調査権と裁判の独立の限界
裁判官の職権の独立は裁判に不当な影響を与えるおそれのある外部的行為の排除を要求するから、議院は国政調査として係属中の具体的事件の事実認定や量刑の判断が適切かどうかを調査・批判することはできない。
裁判官の職権の独立と司法行政
裁判官の職権の独立は、最高裁判所による裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する規則制定権や下級裁判所裁判官の指名権等の司法の自主性を保障する制度によって担保されている。
裁判所内部の干渉排除と訴訟指揮
裁判官の職権の独立は外部からの干渉のみならず裁判所内部における干渉の排除も要求するが、裁判官の訴訟指揮が著しく不当な場合には裁判所内部で懲戒処分を受ける可能性がある。
裁判官の職権の独立
憲法76条3項は全て裁判官はその良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束されると規定し、裁判官の職権行使の独立を保障している。
裁判官訴追委員会
弾劾裁判所に対する裁判官の罷免の訴追は、国会の両議院の議員で組織される裁判官訴追委員会が行う。
弾劾裁判の終審性
弾劾裁判所により罷免の裁判の宣告を受けた裁判官は、最高裁判所に対しその裁判の取消しを求めることはできない。
弾劾裁判所の閉会中の活動
国会の両議院の議員で組織される弾劾裁判所は、国会が閉会中であっても活動することができる。
裁判官の身分保障
裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束され(76条3項)、裁判により心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない(78条)。
裁判員制度と裁判官の独立
裁判員法が規定する評決制度の下で、裁判官が時に自らの意見と異なる結論に従わざるを得ない場合があるとしても、憲法が国民の司法参加を許容し裁判員法が憲法に適合するようにこれを法制化したものである以上、憲法76条3項には反しない。
平成23年11月16日最高裁大法廷刑集65巻8号1285頁(覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件)
裁判批判と表現の自由
裁判官の職権の独立は裁判に対して不当な影響を与えるおそれのある一切の外部的行為の排除を要求するが、一般国民やマスメディアによる裁判内容の批判は表現の自由の行使の一場面であるから許される。
裁判官の職権の独立
下級裁判所は最高裁判所が制定した裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する規則に拘束されるが、最高裁判所が下級裁判所の裁判官に対して具体的事件についてどのような判断を行うべきか指示することは許されない。
懲戒裁判非公開の身分保障弱体化の批判
裁判官に対する懲戒の裁判を非公開にすることは、裁判官の身分保障の弱体化を招き、司法権の独立が侵害されるおそれがある、との批判が成り立つ。
裁判官の拘束と法律の意義
憲法76条3項は「裁判官は、この憲法及び法律にのみ拘束される」と規定しているが、ここにいう「法律」には国会によって制定される法律のほか、政令や条例も含まれる。
最高裁裁判官の心身故障による罷免
最高裁判所の裁判官は、国民審査(憲法79条2項・3項)及び公の弾劾(78条)によるほか、裁判により心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合にも罷免される(78条)。