条文・判例・学説を体系的に整理
憲法7条3号解散説と内閣の実質決定権
憲法7条3号を根拠に内閣の衆議院解散権を認める見解(7条説)は、天皇の国事行為に対する内閣の助言と承認には実質的決定権が含まれる場合もあることを前提としている。
69条の内閣不信任と問責決議
衆議院において内閣不信任決議案が可決されたときは10日以内に衆議院が解散されない限り内閣は総辞職をしなければならないが、参議院における問責決議には法的拘束力はない。
内閣の総辞職事由(憲法70条)
憲法70条は、内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときに、内閣は総辞職をしなければならないと定めており、参議院議員通常選挙の後に初めて国会が召集されたときは、内閣の総辞職は要求されない。
憲法7条と衆議院解散権の根拠
天皇の国事行為は元来政治的なものであるが天皇は拒否権を持たないため、国事行為について「助言と承認」を行う内閣に実質的決定権があるという見解によれば、憲法7条により内閣の衆議院解散権が基礎づけられる。
憲法7条3号と衆議院の解散
憲法7条3号は天皇の国事行為として「衆議院を解散すること」を定めている。
議院内閣制の本質と解散権
内閣の衆議院解散権の根拠を議院内閣制自体に求める見解は、政府が議会の解散権を有し政府と議会が均衡していることが日本国憲法が採用する議院内閣制の本質的要素であるとの考えに基づいている。
69条限定説と衆議院解散の範囲
内閣が衆議院を解散できるのは憲法69条所定の場合に限られるとする見解(69条限定説)からは、新たな政治的課題が生じ国民の意思を問う高度の必要性があったとしても、69条所定の事由(不信任決議又は信任案否決)が存在しない限り、内閣による衆議院の解散は認められない。
憲法69条と不信任決議後の解散
憲法69条は衆議院が内閣不信任の決議案を可決し又は信任の決議案を否決したときは、内閣は10日以内に衆議院が解散されない限り総辞職をしなければならないと定めている。
参議院の問責決議の法的効力
参議院における問責決議には憲法69条のような法的効力はなく、内閣に総辞職や衆議院解散の義務を生じさせるものではない。
衆議院の内閣不信任決議
衆議院で内閣不信任決議案が可決されたときは10日以内に衆議院が解散されない限り、内閣は総辞職をしなければならない。
議院内閣制と国会・内閣の協働
議院内閣制の下では国会と内閣との協働が要請されるとする見解があり、この見解は内閣の法律案提出権を肯定する根拠の一つとされる。
内閣の連帯責任
憲法66条3項は内閣は行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負うと定めており、閣議決定の方式(全員一致など)は憲法・法律に定めがなく慣例により全員一致で行われている。
内閣の法律案提出権と憲法72条
内閣の法律案提出権は憲法72条の「議案」に法律案が含まれることを根拠に認められるとする見解があり、この見解によれば法律案提出権は憲法上の権限であるから法律によってこれを否定することはできない。
問責決議の法的効力
衆議院及び参議院は個別の国務大臣に対する問責決議を行うことができるが、問責決議には法的拘束力はなく、当該大臣を罷免する法的効果を有しない。
衆議院解散の実質的決定権
内閣の助言と承認は国事行為の実質的決定権を含まないとの立場からは、憲法69条の規定する場合以外の衆議院解散の実質的決定権の根拠を、憲法7条以外に求めざるを得ない。
議院内閣制の採用
日本国憲法は、国会による内閣総理大臣の指名、内閣の国会に対する連帯責任のほか、衆議院の内閣不信任決議権や衆議院の解散などを定めていることから、議院内閣制を採用していると解される。
不信任決議後の総辞職
衆議院が内閣不信任を決議した場合、内閣がこれに対抗して衆議院を解散し、その後の総選挙で与党が過半数の議席を獲得しても、内閣は総辞職しなければならない。
議院内閣制と政党政治
議会の多数党が政府を形成する議院内閣制の下では、伝統的な議会と政府の対抗関係は機能不全に陥りがちであり、政治部門における権力分立はむしろ政府・与党と野党の対抗関係へと機能的に変化する。
議院内閣制本質による自由解散権説の批判
日本国憲法は議院内閣制を採っているから、その本質上、内閣には自由な解散権が認められるとの説に対しては、議院内閣制の概念は一義的ではないとの批判がなされている。
苫米地事件の七条解散の判断範囲
現在の実務は内閣の自由な衆議院解散権を憲法7条で根拠付けているが、最高裁判所は、衆議院の解散を高度の政治性を有する国家行為として司法審査の外に置いており、7条による解散が妥当な憲法解釈であるか否かについて判断を示していない。
昭和35年6月8日最高裁大法廷民集14巻7号1206頁(衆議院議員資格並びに歳費請求)