条文・判例・学説を体系的に整理
吸収合併の存続消滅両社の債権者異議
吸収合併をする場合には、吸収合併存続株式会社及び吸収合併消滅株式会社のいずれにおいても債権者異議手続をしなければならない。
合併契約の法定記載事項
吸収合併においては、吸収合併契約において会社法所定の事項を定めなければならないが、事業譲渡契約には会社法上の法定記載事項はない。
合併の株主総会承認省略
吸収合併では略式合併(会社法784条1項・796条1項)や簡易合併(796条2項)の場合に、事業譲渡では契約の相手方が譲渡会社の特別支配会社である場合(468条1項)に、株主総会の決議による契約の承認を要しない。
消滅会社株主の差止請求
吸収合併が法令又は定款に違反する場合であって、消滅会社の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、当該消滅会社の株主は、当該消滅会社に対し、当該吸収合併をやめることを請求することができる。
消滅会社株主の株式買取請求
吸収合併に反対する消滅会社の株主であって、当該吸収合併をするための決議をする株主総会において議決権を行使することができる者が、株式買取請求権を行使するには、当該株主総会に先立って当該吸収合併に反対する旨を当該消滅会社に対し通知するとともに、当該株主総会において当該吸収合併に反対しなければならない。
譲渡制限株式会社の吸収合併と株主総会
その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けた存続会社は、吸収合併に際して消滅会社の株主に対して当該存続会社の株式を交付する場合には、当該株式の数に一株当たり純資産額を乗じて得た額が当該存続会社の純資産額の5分の1を超えないときであっても、株主総会の決議によって、吸収合併契約の承認を受けなければならない。
存続会社の事後開示書面の備置き
吸収合併存続株式会社は、吸収合併契約の内容等を記載した書面又は電磁的記録を、吸収合併契約等備置開始日から効力発生日後6か月を経過する日までの間その本店に備え置かなければならず、さらに効力発生日から6か月間、吸収合併に関する事項を記載した書面又は電磁的記録(事後開示書面)を本店に備え置かなければならない。
吸収合併無効の訴えの提訴期間
吸収合併無効の訴えは、吸収合併の効力が生じた日から6か月以内に提起しなければならない。
清算会社と吸収合併
解散したことにより清算をする株式会社は、当該株式会社を存続会社とする吸収合併をすることができない。
新設合併と略式手続
新設合併には略式手続はなく、株式会社を設立する場合の消滅株式会社は原則として株主総会承認を要するが、設立会社が持分会社である場合の総株主同意や、消滅持分会社の社員同意の規律は区別される。
事前反対通知と反対株主
吸収合併契約の承認を議案とする株主総会において書面等による議決権行使ができる株主が総会前日までに反対の議決権行使をした場合には、当該吸収合併に反対する旨を事前に通知したものと認められ、反対株主として株式買取請求をすることができる。
新設合併と債権者異議
新設合併をする株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、新設合併について異議を述べることができる。
反対株主の株式買取請求
合併に反対する株主は原則として会社に対し株式買取請求権を行使することができ、合併比率が不公正であると考える株主は公正な価格での買取りによって救済を受けられるから、このことは合併比率の不公正が合併無効の訴えに係る無効原因とならないとする見解の論拠となる。
合併の債権者異議手続
会社は原則として一定の期間内に異議を述べた債権者に対し弁済し又は相当の担保を提供しなければならないが、この債権者異議手続は債権者保護の制度であるから、株主の利害に関わる合併比率の不公正が合併無効の訴えに係る無効原因とならないとする見解の論拠とはならない。
合併比率と無効原因
合併比率の不公正が合併無効の訴えに係る無効原因とならないとする見解の論拠として、合併比率の算定には多くの事情を勘案し種々の算定方式があることが挙げられる。
吸収合併の効力発生時期
吸収合併存続会社は、吸収合併の効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する。
吸収合併消滅会社の解散の対抗
吸収合併消滅会社の吸収合併による解散は、吸収合併の登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
新設合併の効力発生時期
新設合併設立会社は、その本店の所在地において設立の登記をした日に、新設合併消滅会社の権利義務を承継する。
公開会社への譲渡制限株式交付
消滅株式会社が公開会社でも譲渡制限株式を合併対価に交付することはでき、その承認は消滅会社が種類株式発行会社でなければ特殊決議によるが、種類株式発行会社では株主総会特別決議と必要な種類株主総会を区別する。
合併対価としての親会社株式
存続会社は、その親会社の株式を消滅会社の株主に対して合併対価として交付することができる。