条文・判例・学説を体系的に整理
履行期前の明確な履行拒絶と無催告解除
債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は、催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができ、履行期前であっても同様である。
解除による原状回復請求権の時効起算点
債務不履行による契約の解除に基づく原状回復請求権の消滅時効は、解除権の発生を知った時からではなく、原状回復請求権を行使することができることを知った時(解除権の行使により原状回復義務が生じた時)から進行する。
解除による所有権の復帰
債務不履行を理由に売買契約が解除されたときは、売買の目的物の所有権は、判例によれば、遡及的に売主に復帰する(直接効果説)。
昭和34年9月22日最高裁第三小法廷民集13巻11号1451頁(家屋明渡請求)
解除と債権譲受人(第三者の保護)
売買代金債権の譲受人は、その譲渡について第三者対抗要件を備えていても、その後に売買契約が債務不履行により解除されたときは、代金債権を失う。
解除と損害賠償請求
解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げないから、売主は、買主の債務不履行により売買契約を解除した場合でも、代金債務の履行に代わる損害賠償(填補賠償)を請求することができる。
債権譲渡後の解除と譲受人の履行請求
双務契約に基づき発生した債権が譲渡され債務者対抗要件が具備された後に、譲渡人の債務不履行が生じこれに基づき契約が解除された場合でも、対抗要件具備時までに契約解除を生ずるに至るべき原因(反対給付義務を含む契約関係)が存在していたものとして、債務者は解除をもって譲受人に対抗することができ、譲受人は債務者に対して債権の履行を請求することができない。
昭和42年10月27日最高裁第二小法廷民集21巻8号2161頁(譲渡債権請求)
履行の見込みがない場合の無催告解除
債務者が債務の履行をせず、債権者が催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかなときは、債権者は、催告をすることなく、直ちに契約を解除することができる。
債務不履行解除と債務者の帰責事由
債務者が債務を履行しない場合において、その不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであっても、債権者は、契約を解除することができる(解除には債務者の帰責事由を要しない)。
解除権の不可分性と賃借権の共同相続
当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみすることができるから、賃借人が死亡し複数の相続人が賃借権を共同相続した場合、賃貸人は、その相続人全員に対して解除の意思表示をしなければならない。
受領遅滞中の無責滅失と危険負担
買主が目的物の受領を拒んだ後に、売主及び買主の双方の責めに帰することができない事由により目的物が滅失した場合には、買主は、契約を解除することができず、反対給付の履行を拒むこともできない。
解除権者の過失による目的物滅失
解除権を有する者が過失によって契約の目的物を返還することができなくなった場合であっても、解除権を有することを知らなかったときは、解除権は消滅しない(民法548条ただし書)。
解除の意思表示の撤回
解除の意思表示は、撤回することができない。
一部不能と全部解除
債務の一部の履行が不能である場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないときは、債権者は、催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる(民法542条1項3号)。
定期行為の履行遅滞
契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約の目的を達成することができない債務について、債務者が履行をしないでその時期を経過したときは、債権者は催告をすることなく直ちに契約を解除することができるが、契約が当然に解除されたものとみなされるのではなく、解除には相手方に対する意思表示を要する。
契約解除の原状回復と果実返還
解除権が行使された場合の原状回復において、金銭以外の物を返還するときは、その物を受領した時以後に生じた果実も返還しなければならない。
目的物の損傷と解除権の消滅
解除権を有する債権者が過失によって契約の目的物を著しく損傷した場合であっても、解除権を有することを知らなかったときは、解除権は消滅しない(民法548条ただし書)。
解除権行使前の債務履行
解除権の行使前に債務者が債務を履行した場合、解除権は消滅し、債権者は解除権を行使することができない。
大正6年7月10日大審院第一民事部民録23巻20号1128頁(貸金請求の件)
履行拒絶の意思表示と無催告解除
債務者が履行を拒絶する意思を明確に表示した場合、債権者は催告なしに契約を解除することができる。
昭和7年7月7日大審院第一民事部民集11巻1510頁(家屋明渡請求事件)
催告期間経過前の解除
催告後に債務者が履行を拒絶する意思を明確に表示した場合には、催告期間の経過を待たずに契約を解除することができる。
昭和7年7月7日大審院第一民事部民集11巻1510頁(家屋明渡請求事件)
解除による原状回復請求権の消滅時効
債務不履行を理由とする解除による原状回復請求権の消滅時効は、解除時から進行する。
昭和35年11月1日最高裁第三小法廷民集14巻13号2781頁(物件引渡等請求)