条文・判例・学説を体系的に整理
主債務者の相殺権と保証人の履行拒絶
主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、主たる債務者が権利を行使する前であっても、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
事業貸金保証の公正証書と法人等の除外
事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約は、保証人になろうとする者が法人又は民法465条の9所定の経営者等に当たる場合を除き、契約締結日前1箇月以内に作成された公正証書で保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。
保証人の主債務弁済と抵当権への代位
保証人が保証債務の履行として主たる債務の全額を弁済したときは、債権者に代位して債権者が有していた担保権を行使することができるから、その債務を担保するため債務者所有の土地に設定された抵当権は、弁済によって消滅せず、保証人に移転する。
共同保証人間の負担部分超過弁済と求償
数人の保証人が各自全額を弁済すべき旨の特約がある場合に、保証人の一人が自己の負担部分を超えない額を弁済しただけでは、他の保証人に対して求償することができない。
保証人の主債務相続後の弁済と時効更新
保証人が主たる債務者を単独で相続し、そのことを知りながら自己の保証債務の弁済をしたときは、その弁済は、特段の事情のない限り、主たる債務者による承認として、相続した主たる債務についての消滅時効を更新する効力を有する。
平成25年9月13日最高裁第二小法廷民集67巻6号1356頁(求償金請求事件)
保証人の主債務者単独相続と保証債務
保証人が主たる債務者を単独で相続した場合において、保証債務を担保するために抵当権が設定されているときは、保証債務は消滅しない。
平成25年9月13日最高裁第二小法廷民集67巻6号1356頁(求償金請求事件)
委託保証人への主債務の履行状況の情報
債権者は、保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合に、保証人の請求があったときは、主たる債務の履行状況に関する情報を提供しなければならないが、委託を受けないで保証をした保証人からの請求には、この義務を負わない。
事業債務の保証委託の情報提供義務
主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、財産及び収支の状況、主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況等に関する情報を提供しなければならない。
元本確定前の保証債務の履行請求
根保証契約においては、主たる債務の元本が確定していなくても、個々の債務の弁済期が到来すれば、債権者は、保証人に対して保証債務の履行を求めることができる。
平成24年12月14日最高裁第二小法廷民集66巻12号3559頁(貸金請求事件)
元本確定後の利息と保証人の責任
個人根保証契約の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについて、極度額を限度として責任を負うから、元本確定後に発生した利息についても責任を負う。
個人根保証契約と極度額の定め
個人根保証契約は、極度額を定めなければ、その効力を生じず、極度額の定めは書面又は電磁的記録によってしなければならない(446条2項・3項の準用)。
賃料の個人根保証と元本確定期日
元本確定期日に関する民法465条の3は、主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれる個人貸金等根保証契約についての規定であり、賃料債務のみを主たる債務とする個人根保証契約には適用されず、元本確定期日の定めがなくても、一定期間の経過によって元本が確定することはない。
保証人の死亡と個人根保証契約の元本確定
個人根保証契約においては、主たる債務者又は保証人が死亡したときは、主たる債務の元本は確定する。
保証人の相殺権
債権者から保証債務の履行請求を受けた保証人は、債権者に対して有する自己の債権をもって相殺を援用したときは、主たる債務は対当額において消滅する。
無委託保証人と主債務者の事後通知
主たる債務者の委託を受けないで保証をした場合には、主たる債務者が弁済をしたことを保証人に通知することを怠ったために保証人が善意で保証債務の弁済をしたときであっても、保証人は自己の弁済を有効であったものとみなすことはできない。
連帯保証人間の求償と負担部分
数人の連帯保証人の一人が債権者に対して保証債務の弁済をした場合に他の連帯保証人に対して求償権を行使するためには、その弁済額が自己の負担部分を超えていることを要する。
保証人の時効援用と主債務
保証人が主たる債務の消滅時効を援用した場合でも、主たる債務者が消滅時効を援用しない限り、債権者は主たる債務者に対して請求することができる。
連帯保証契約の成立
連帯保証債務は、債権者と保証人との間で連帯保証契約を締結することにより成立し、主たる債務者との間の連帯の特約は不要である。
保証契約と電磁的記録
保証契約は、その内容を記録した電磁的記録によってされたときは書面によってされたものとみなされ、電子メールを相互に送受信する方法によってされた場合であっても書面が作成されていなくてもその効力を生ずる(民法446条3項)。
共同保証と分別の利益
数人の保証人がある場合において、それが連帯保証であるときは、各保証人は債権者に対して全額について責任を負う。
大正6年4月28日大審院民録23巻812頁(貸金請求ノ件)