条文・判例・学説を体系的に整理
被担保債権の表示と抵当権登記の効力
現存の債権及び将来発生する可能性のある条件付債権を、現存の貸金債権であるように表示して抵当権設定登記をした場合でも、当事者が真実その設定した抵当権を登記する意思で登記手続をしたときは、その抵当権の設定は有効である。
被担保債権弁済と抵当権登記抹消の先後
被担保債権(金銭債権)の弁済と抵当権設定登記の抹消登記手続とは同時履行の関係にはなく、債務者は、債権者からの履行請求に対し、抵当権設定登記の抹消登記手続と同時でなければ応じないと主張することはできない。
先順位抵当消滅後の法定地上権の基準時
建物が存する土地について先順位抵当権と後順位抵当権が設定された後、先順位抵当権が消滅し、後順位抵当権の実行により土地と建物の所有者を異にするに至った場合、先順位抵当権の設定時には土地と建物が同一の所有者に属していなかったとしても、後順位抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは、法定地上権が成立する。
平成19年7月6日最高裁第二小法廷民集61巻5号1940頁(建物収去土地明渡請求事件)
抵当権の順位の変更と配当額
抵当権の順位が変更されたときは、競売の配当は変更後の順位に従ってされる。
第三取得者の利息等弁済と抵当権消滅
第三取得者が、被担保債権の元本のほか、利息及び遅延損害金のうち最後の2年分を弁済しても、それより前の利息等の債権が残っている限り、抵当権は当然には消滅しない。
免責的債務引受の担保移転と物上保証人
免責的債務引受がされた場合に、債権者は、免れる債務の担保として設定された担保権を引受人が負担する債務に移すことができるが、引受人以外の者(物上保証人)が設定した担保権を移す場合には、その承諾を得なければならない。
抵当権者の所有権取得と後順位抵当権
同一の物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、他の物権は消滅するが、その物又は他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでないから、後順位の抵当権者がいる場合に、第一順位の抵当権者が所有権を取得しても、その抵当権は消滅しない。
元本確定前の根抵当権者への順位の放棄
元本の確定前においても、根抵当権者は、先順位の抵当権者からその順位の放棄を受けることができる。
抵当権設定者の担保供与による消滅請求
抵当権消滅請求ができるのは抵当不動産の第三取得者であり、抵当権設定者が相当の担保を供して抵当権の消滅を請求する制度はない。
抵当権消滅請求の時期と競売の差押え
抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が生ずる前に、抵当権消滅請求をしなければならない。
抵当不動産の第三取得者の競売買受け
抵当不動産の第三取得者は、その競売において買受人となることができる。
第三取得者が支出した費用の償還
抵当不動産の第三取得者が必要費又は有益費を支出したときは、民法196条の区別に従い、抵当不動産の代価から他の債権者より先に償還を受けることができ、有益費については価格の増加が現存する場合に限られる。
債務者の抵当不動産取得時効と抵当消滅
債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは抵当権は消滅するが、債務者又は抵当権設定者が時効取得しても抵当権は消滅しない(民法397条)。
根抵当権の担保範囲と特定債権の追加
根抵当権の担保すべき債権の範囲には、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものなどの不特定の債権のほか、当事者の合意により特定の債権を併せて含めることができる。
建物共有者の単独土地所有と法定地上権
建物の共有者の一人がその敷地を単独で所有する場合に、同人が土地に抵当権を設定し、その実行により第三者が土地を競落したときは、民法388条の趣旨により、法定地上権が成立する。
昭和46年12月21日最高裁第三小法廷民集25巻9号1610頁(建物収去土地明渡請求)
抵当権設定時に存在した建物と一括競売
土地に抵当権が設定された当時、その土地の上に建物が既に存在していたときは、民法389条1項による土地とともにする建物の一括競売は認められない。
後順位抵当権実行と先順位抵当権消滅
債務者所有の土地に第一順位及び第二順位の抵当権が設定されている場合において、第二順位の抵当権の実行として競売がされたときは、売却により、第一順位の抵当権も消滅する。
共同抵当の同時配当(按分)
共同抵当の目的である数個の不動産について同時にその代価を配当すべきときは、後順位抵当権者がいなくても、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
元本確定前の根抵当権の譲渡
元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。
物上保証人の不動産のみの競売と代位
債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産に共同抵当権があり、債務者所有の不動産に第二順位の抵当権者がいる場合に、物上保証人所有の不動産のみが実行されて債権の全部が弁済されたときは、物上保証人は、弁済による代位(民法499条・501条)により、共同抵当権者が債務者所有の不動産に有した抵当権の全額について代位することができる。
昭和44年7月3日最高裁第一小法廷民集23巻8号1297頁(債権一部不存在確認請求)