条文・判例・学説を体系的に整理
情報公開審査会への諮問の例外
行政文書の開示決定等について審査請求があった場合、裁決をすべき行政機関の長は情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならないが、審査請求が不適法であるとき等の一定の場合には諮問を要しない。
情報公開の文書不存在の主張立証責任
行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟においては、不開示決定時に行政機関が当該行政文書を保有していたことについて、取消しを求める者が主張立証責任を負う。
平成26年7月14日最高裁第二小法廷集民247号63頁(沖縄返還密約文書開示請求事件)
存否応答拒否
特定の個人の病歴に関する情報が記録された行政文書の開示請求があった場合、当該行政文書が存在しているか否かを答えるだけで当該個人の病歴という不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで当該開示請求を拒否することができる。
不開示文書のインカメラ審理
行政文書の開示請求に対する不開示決定の取消訴訟において、不開示とされた行政文書を目的とする検証を被告に受忍義務を負わせて行うことは、事実上のインカメラ審理であり、証拠調べとしてのインカメラ審理は民事訴訟の基本原則に反し明文の規定がない限り許されないから、原告が検証への立会権を放棄した場合であっても許されない。
平成21年1月15日最高裁第一小法廷民集63巻1号46頁(検証物提示命令申立て一部提示決定に対する許可抗告事件)
法人を含む何人もの情報開示請求権
情報公開法の開示請求権者は「何人も」であり、自然人に限らず、法人も開示を請求することができる。
公共安全情報の不開示と相当理由の判断
開示請求に係る行政文書に、公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報が記録されている場合には、行政機関の長は、当該行政文書の開示を拒むことができる。
情報開示決定等の三十日以内の期限延長
開示決定等は、開示請求があった日から30日以内にしなければならないが、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、行政機関の長は、30日以内に限り期間を延長することができる。
情報開示争訟の不服申立前置と審査会諮問
行政機関の保有する情報の公開に関する法律及び個人情報の保護に関する法律に基づく開示決定等には、不服申立前置は採用されておらず(行政事件訴訟法8条1項の自由選択主義)、審査請求があったときは、原則として情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならない。
本人情報の情報公開法と保護法の開示範囲
開示請求者本人の個人情報であっても、公開法に基づく開示請求(個人識別情報は不開示情報)と保護法に基づく開示請求(自己を本人とする保有個人情報の開示請求権)とで、開示される情報の範囲は異なる。
公益上の理由による裁量的開示
情報公開法に基づく開示請求に係る行政文書に不開示情報(5条1号の2に掲げる情報を除く)が記録されている場合であっても、行政機関の長は、公益上特に必要があると認めるときは、当該行政文書を開示することができる。
独立行政法人の情報公開
独立行政法人は国から独立した法人格を有する主体として設立されたものであるが、何人も独立行政法人の保有する法人文書の開示を請求することができる。
開示請求者本人の情報と個人情報の不開示
情報公開法5条1号の個人識別情報は、開示請求人自身に関する情報であっても、本人が開示請求をしているというだけでは不開示情報に当たらなくなるわけではない。
不開示情報の部分開示と公益上の裁量開示
法人等に関する不開示情報が記録されている行政文書であっても、不開示部分を容易に区分して除くことができるときの部分開示(情報公開法6条1項)や、公益上特に必要がある場合の裁量的開示(7条)により、開示される場合がある。
法人代表者の職務情報と個人情報の区別
法人等を代表する者が職務として行う行為等、法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報は、専ら法人等に関する情報としての非公開事由の問題であり、個人に関する情報としての非公開情報には当たらない。
平成15年11月11日最高裁第三小法廷民集57巻10号1387頁(公文書非公開決定処分取消請求事件)
情報公開条例と法律上の処分関係文書
情報公開条例においては、当該地方公共団体の長等が法律に基づいて行う行政処分に関する文書であっても、当該地方公共団体が保有するものであれば、開示請求権制度の対象とすることができる(地方自治法14条1項の条例制定権の範囲内)。
情報公開の対象となる行政文書の範囲
情報公開法2条2項の行政文書は、職員が職務上作成し又は取得した文書等であって組織的に用いるものとして行政機関が保有しているものであり、開示請求の対象は、決裁又は供覧の手続が終了した文書に限定されない。
情報公開法の開示請求権者
情報公開法3条により、開示請求権者は「何人も」とされ、日本国籍を有する者に限定されない。
情報公開請求と自己の利益侵害の不要
情報公開法では、開示請求は何人もでき、開示請求書の記載事項に請求の理由は含まれておらず、請求に係る文書の閲覧等ができなければ自己の権利又は利益が害されるおそれがあることを示すことは、開示請求が認められる要件とされていない。
地方公共団体の情報公開の法的位置付け
情報公開法は国の行政機関の保有する行政文書を対象とし、地方公共団体には直接適用されず、地方公共団体は、その保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し実施するよう努めなければならないとされるにとどまる。
部分開示
開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合であっても、不開示情報に当たる部分を容易に区分して除くことができるときは、行政機関の長は、原則として、当該部分を除いた部分について開示しなければならない。