条文・判例・学説を体系的に整理
行政指導の中止等の求めの対象
行政指導の中止等の求めの対象は、法令に違反する行為の是正を求める行政指導であって、その根拠となる規定が法律に置かれているものに限られる。
口頭行政指導の書面交付の請求権者
行政指導が口頭でされた場合において書面の交付を求めることができるのは、その行政指導の相手方であり、相手方以外の利害関係人は含まれない。
自治体の行政指導手続に関する措置
地方公共団体は、行政手続法3条3項により同法の第2章から前章までの規定が適用されないこととされた処分、行政指導及び届出並びに命令等を定める行為に関する手続について、同法の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
非公開の行政指導指針と意見公募の除外
行政指導指針を定める場合は意見公募手続の対象となるが、法令の規定により若しくは慣行として、又は命令等を定める機関の判断により公にされるもの以外の行政指導指針については、意見公募手続(第六章)の規定は適用されない。
国から自治体への行政指導と手続法適用
国の機関又は地方公共団体若しくはその機関に対する行政指導には、行政手続法の規定は適用されない。
口頭行政指導の書面交付義務の例外
口頭でされた行政指導の相手方から、その趣旨及び内容並びに責任者を記載した書面の交付を求められたときは、行政上特別の支障がない限り交付しなければならないが、既に文書により相手方に通知されている事項と同一の内容を求める行政指導については、この義務は適用されない。
行政指導中止の求めと処分等の求め
何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る)がされていないと思料するときは、権限を有する行政庁又は行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。
行政指導の任意性と権限示唆の禁止
行政指導の内容はあくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものでなければならないから、許認可等に基づく処分をする権限を有する行政機関が当該権限を行使する意思がない場合においてする行政指導にあっては、当該行政指導に携わる者は、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない。
行政指導と許認可権限の明示
行政指導に携わる者は、当該行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項及び当該条項に規定する要件並びに当該権限の行使が当該条項に規定する要件に適合する理由を示さなければならない。
行政指導の中止等の求め
行政指導の中止等の求めの申出を受けた行政機関は、必要な調査を行い、当該行政指導が法律に規定する要件に適合しないと認めるときは中止その他必要な措置をとらなければならないが、要件に適合することを確認するまでの間、当該行政指導を一時中止しなければならない旨の規定は置かれていない。
行政手続法の行政指導規定と自治体
行政手続法の行政指導に関する規定は、地方公共団体の機関がする行政指導には適用されず、地方公共団体の行政指導の手続は条例・規則によって規律される。
行政指導不服従と不利益取扱いの禁止
行政指導に従わなかったことを理由とする不利益な取扱いは行政手続法32条2項により禁止されるが、他の法律が、勧告に従わなかったときはその旨を公表することができると明文で定めている場合に、その規定に基づいて公表することが、一律に許されないわけではない。
自治体の行政指導と行政手続法適用除外
建築基準法に基づくいわゆる総合設計許可をする権限を有する都道府県知事が当該許可の申請の内容の変更を求める行政指導を行う場合、当該行政指導は地方公共団体の機関がする行政指導であるから、行政手続法の行政指導に関する規定(第4章)は適用されない。
違反是正の処分・行政指導の求め
何人も、建築基準法に基づく違反建築物の除却命令をする権限を有する市町村長に対し、行政手続法36条の3の規定により法律に根拠を置く処分である当該除却命令を求める申出をすることは認められるが、地方公共団体の機関がする行政指導には同法の規定が適用されないため、同条により違反建築物の除却を促す行政指導を求める申出をすることは認められない。
行政指導不服従と不利益処分
行政指導に従わなかったことを理由とする不利益処分は、法律の明文の根拠があれば許される。
違法な行政指導と国家賠償
度を超えた圧力による行政指導が行われた場合には実際に行政指導に従わなかったときでも精神的苦痛による損害に係る賠償請求が可能となることがある。
口頭による行政指導の方式
行政手続法によれば口頭で行政指導を行う場合にも行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示す必要がある。
行政指導と処分の留保
判例は、処分を留保されたままの行政指導には応じられないことを真摯かつ明確に表明した相手方に対しても、その不協力が社会通念上正義の観念に反するといえる特段の事情が存在するときは、処分の留保は違法とならないとしている。
昭和60年7月16日最高裁第三小法廷民集39巻5号989頁(損害賠償)
建築確認留保と行政指導の根拠
建築紛争に係る話合いを求める行政指導は、個別の法令上の根拠規範がなくても、当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲内で行うことができ(行政手続法32条1項参照)、建築確認の根拠規定(建築基準法6条)に基づいて行うものではない(最判昭60.7.16は、当時の地方自治法2条3項1号・7号及び建築基準法1条の趣旨目的に照らして行政指導とその間の確認処分の留保を許容した)。
昭和60年7月16日最高裁第三小法廷民集39巻5号989頁(損害賠償)
行政指導の書面交付義務
行政指導が口頭でされた場合において、その趣旨及び内容並びに責任者を記載した書面の交付を相手方から求められたときは、行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限りこれを交付しなければならない。