条文・判例・学説を体系的に整理
条約の公布(天皇の国事行為)
条約は、国会が承認し内閣が締結した後、天皇が内閣の助言と承認により国事行為として公布することを要し、法律と同様に公布を経て国内法として実施される。
参議院選挙区の都道府県単位と投票価値
最大判平成24年10月17日は、都道府県は地方における一つのまとまりを有する行政等の単位であるが、これを参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく、都道府県を選挙区の単位として固定する結果、投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続していると認められる状況の下では、上記の仕組み自体を見直すことが必要になるとした。
平成24年10月17日最高裁大法廷民集66巻10号3357頁(参議院議員選挙無効請求事件)
選挙運動の文書図画の規制の合憲性
最大判昭和30年3月30日は、公職の選挙につき文書図画の無制限の頒布、掲示を認めるときは、選挙運動に不当の競争を招き、かえって選挙の自由公正を害し、その公明を保持し難い結果を来すおそれがあると認めて、選挙運動期間中を限り規制をした公職選挙法146条は、公共の福祉のため、憲法上許された必要かつ合理的な制限であるとした。
昭和30年3月30日最高裁大法廷刑集9巻3号635頁(公職選挙法違反)
免責特権の対象となる発言の範囲
議員の免責特権(憲法51条)は議員の言論活動の自由を最大限に確保しようとするものであるから、議院の活動の場面で議員としての職務を行うに際してなされたと認められる発言であれば、時間的に会期中に限られず、空間的にも国会議事堂内で行われたかどうかを問わず、免責の対象となる。
条約承認の参議院未議決と衆議院優越
条約の締結に先立ち衆議院が条約承認の議決をして参議院に議案を送付し、国会休会中の期間を除いて30日以内に参議院が議決をしないときは、衆議院の議決が国会の議決となり、内閣は条約を締結することができる。
不逮捕特権と院外の現行犯罪
議員の不逮捕特権は、国会の会期中、院外における現行犯罪の場合を除き、その院の許諾がなければ逮捕されないことを内容とするから、院外で現に犯罪を行った議員は、その院の許諾がなくても逮捕される。
衆議院の自律的解散を否定する見解の根拠
衆議院が解散決議をして自律的に解散することはできないとする見解は、自律的解散を認めると衆議院の多数派の意思によって少数派の議員たる地位を奪うことが可能になること、及び自律的解散について憲法に明文の規定がないことをその根拠とする。
衆議院解散の憲法7条3号説への批判
衆議院の解散に係る天皇の国事行為を定める憲法7条3号に内閣の解散権の根拠を求める見解に対しては、最初から形式的行為にすぎない天皇の国事行為に対する内閣の助言と承認を、衆議院解散の実質的決定権の根拠とすることはできないとの批判がある。
皇室の儀礼的贈答と国会の議決
皇室の財産授受は国会の議決に基づかなければならない(憲法8条)が、外国交際のための儀礼上の贈答に係る授受については、皇室経済法2条により、その度ごとに国会の議決を経る必要はない。
精神的投票困難者の選挙と国の措置責務
国民の選挙権の行使を制限することは原則として許されず、国には、そのような制限をすることなしには選挙の公正の確保に留意しつつ選挙権の行使を認めることが事実上不可能ないし著しく困難であると認められるときでない限り、選挙権の行使を可能にするための所要の措置を執るべき責務があり、このことは精神的原因によって投票所に行くことが困難な有権者の選挙権についても当てはまる。
平成18年7月13日最高裁第一小法廷集民220号713頁(損害賠償請求事件)
皇室財産の国への帰属と皇族の私有財産
憲法88条前段の「すべて皇室財産は国に属する」の下でも、天皇及び皇族の私有財産は認められており、皇室経済法は内廷費として支出されたものを御手元金とし、宮内庁の経理に属する公金としないと定めている。
皇室の費用と予算の衆議院先議
憲法88条後段が国会の議決を要するとする皇室の費用は、予算に計上して議決を経るものであり、予算は先に衆議院に提出しなければならない(憲法60条1項)から、参議院が衆議院よりも先に皇室の費用について審議することは許されない。
政党助成法と党内民主主義の条件
政党助成法は、政党交付金の交付を受けようとする政党に届出事項の提出等を求めるが、その条件として党員による党首の定期的選挙の実施を定めてはいない。
憲法における政党の規定の不存在
政党は議会制民主主義を支える上で重要な存在であるが、憲法には政党に関する特別の規定がなく、現行法では、公職選挙法、政治資金規正法等の法律が、それぞれの目的に応じて政党に関する定めを置いているにすぎない。
院内手続の排他的所管説と議院規則
院内手続準則につき国会法との競合的所管を認めず議院規則の排他的所管とする立場からは、国会法所定の院内手続部分は議院規則の所管事項に属する事項を法律で定めたものとして問題となるが、当然に違憲無効と解するほかないとまではいえない。
議員の除名と憲法58条2項
憲法58条2項は各議院がその会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、院内の秩序を乱した議員を懲罰することができると定め、議員の除名には出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。
政党助成の対象要件と既成政党優遇批判
政党助成法による助成対象の政党は、所属国会議員5人以上を有するか、所属国会議員を有し、かつ直近の衆議院総選挙又は直近2回の参議院通常選挙のいずれかで得票総数が有効投票総数の100分の2以上であることを要し、一定の議員数又は得票が必要なため既成政党が優遇されているとの批判がある。
比例代表議員の所属政党変更と議員資格
衆議院又は参議院の比例代表選出議員が、議員となった日以後に、当選時の名簿届出政党等以外の政党その他の政治団体で、その選挙における名簿届出政党等であるものに所属する者となったときは、退職者となり、議員資格を失う。
議員の院外行動と召集不応諾への懲罰
両議院は院内の秩序をみだした議員を懲罰でき、国会法124条は、正当な理由のない不応召・欠席等を受けて議長が特に招状を発し、その受領日から7日以内にもなお故なく出席しない者を懲罰委員会に付することを定める。
国会中心立法の原則と憲法上の例外
国会中心立法の原則とは、国の行う立法は、憲法に特別の定めがある場合を除いて、常に国会によってなされなければならないという原則であり、憲法に特別の定めがある場合として、両議院の議院規則(憲法58条2項)や最高裁判所規則(77条)の制定がある。