条文・判例・学説を体系的に整理
天皇に対する民事裁判権
天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であることにかんがみ、天皇には民事裁判権が及ばず、訴状において天皇を被告とする訴えについては、その訴状を却下すべきである。
平成元年11月20日最高裁第二小法廷民集43巻10号1160頁(住民訴訟による損害賠償)
国事行為の委任の法的根拠
天皇は、憲法上、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができ(憲法4条2項)、その委任は、皇室典範ではなく「国事行為の臨時代行に関する法律」の定めるところにより行う。
摂政の国事行為委任と国事行為の範囲
天皇が国事行為を委任する行為も国事行為に当たると解する場合には、摂政は、憲法5条前段により天皇の名でその国事に関する行為を行うのであるから、国事行為の委任をすることができるとの帰結になる。
摂政設置の手続と天皇の同意
摂政は天皇の名でその国事に関する行為を行い(憲法5条)、天皇が成年に達しないときは当然に、天皇が精神若しくは身体の重患又は重大な事故により国事に関する行為をみずからすることができないときは皇室会議の議により置かれるものであって(皇室典範16条)、摂政を置くのに天皇の同意は必要とされていない。
国事行為の範囲と天皇の行為
天皇の国事行為は憲法に列挙されたものに限られ、内閣の助言と承認を必要とする。
天皇の国事行為と儀式を行ふこと
国会の開会式は天皇ではなく衆議院議長が主宰するから、天皇が「おことば」を述べることは「儀式を行ふこと」(憲法7条10号)に含まれるとする見解は、天皇が自ら儀式を主宰する場合だけでなく式に参列して儀式的・儀礼的行為を行うことも「儀式を行ふこと」に当たると解釈することを根拠とする。
大嘗祭の法的性格
大嘗祭は宗教的色彩が強い儀式であるため、憲法7条10号の国事行為としての「儀式」には該当せず、皇室の行事として行われるとされる。
予算法律説と予算法形式説
予算の法的性格について、予算は法律とは異なる国法の一形式であるとする予算法形式説が通説であり、予算を法律それ自体とみる予算法律説は通説ではない。
天皇の象徴的地位と国政権能の否定
憲法4条1項は天皇は国政に関する権能を有しないと定め、天皇が国事行為を行うに際して実質的な政治的判断を行うことは許されない。
国事行為の委任
憲法4条2項に基づく国事行為の委任は、法律の定める事由が発生した場合に天皇が内閣の助言と承認に基づいて行うものであり、摂政の設置とは異なる制度である。
内閣総理大臣の任命
天皇は国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命するが、この任命行為は国事行為であり内閣の助言と承認を要する。
天皇の国事行為の列挙
憲法7条は天皇が内閣の助言と承認により行う国事行為を列挙しており、同条10号の「儀式を行ふこと」には即位の礼が含まれる(皇室典範24条)が、宗教的な面のある大嘗祭は国事行為ではなく、皇室の行事として行われる(政府見解)。
納税の義務と租税法律主義
憲法30条は国民の納税の義務を定めるが、この規定は国政の運営に必要な財政を支えるための当然の義務を定めたものにすぎず、法律の定めなくして具体的な納税義務を国民に課すことはできない。
予算の増額修正の可否
国会は予算の議決に際し増額修正を含む修正をすることができ、その範囲は内閣の予算提案権を損なわない範囲内とされるが、原案に新たな項を設ける修正であっても一概に予算提案権を損なうものではないから、項の新設がいかなる場合も許されないわけではない。
決算の法的性格
国会による決算審査は内閣の財政処理の適正を事後的に検証するものであり、不承認の議決がなされても既になされた収入支出の法的効力には影響を及ぼさない。
決算の国会提出義務
内閣は国の収入支出の決算について毎年会計検査院の検査を経た上で、次の年度に国会に提出しなければならない。
財政状況の報告義務
内閣は国会及び国民に対して定期に少なくとも毎年1回、国の財政状況について報告しなければならない。
天皇の国事行為への助言と承認
天皇の国事に関するすべての行為には内閣の助言と承認を必要とし、内閣がその責任を負う。
国事行為の委任と助言と承認
天皇が法律の定めるところにより国事行為を委任する場合、その委任行為自体も内閣の助言と承認を要する。
摂政の地位と設置要件
摂政は天皇の名で国事行為を行う天皇の法定代理機関であり、天皇が未成年のときなど皇室典範に定める原因が生じることにより設置される。