条文・判例・学説を体系的に整理
接見交通権の位置づけ(弁護人の固有権)
接見交通権は、身体を拘束された被疑者が弁護人の援助を受けることができるための刑事手続上最も重要な基本的権利であるとともに、弁護人の固有権の最も重要なものの一つである。
昭和53年7月10日最高裁第一小法廷民集32巻5号820頁(国家賠償)
勾留理由の逃亡のおそれと前科の考慮
勾留の請求を受けた裁判官は、被疑者に前科(直近に刑の執行を終えたこと)があることを、刑事訴訟法60条1項3号の「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由」を肯定する方向の事情として考慮することができる。
被疑者の容ぼうの秘密の無令状写真撮影
警察官が、犯罪の捜査のため、被疑者に秘して公道上でその容貌を写真撮影することは、必要性・緊急性があり、相当な方法で行われる限り、令状がなくても適法と評価される余地がある。
昭和44年12月24日最高裁大法廷刑集23巻12号1625頁(公務執行妨害、傷害)
同意の口腔内細胞採取とDNA鑑定令状
被疑者の同意を得て口腔内細胞を採取することは任意処分であり、採取された口腔内細胞を試料としてDNA型の鑑定をすることについて、令状の発付を受ける必要はない。
取調べ受忍義務否定説と逮捕勾留の目的
「取調べをすることは、逮捕・勾留の目的には含まれない」という論拠は、取調べのための出頭・滞留の義務を認めない見解の論拠である。
取調べ受忍義務肯定説と出頭滞留・供述
「出頭・滞留を義務付けることが直ちに供述を義務付けることを意味するわけではない」という論拠は、取調べのための出頭・滞留の義務を認める見解の論拠である。
取調べ受忍義務否定説と被疑者の主体性
「当事者主義の下、被疑者は、単なる捜査の客体としてではなく、より主体的な存在として扱われるべきである」という論拠は、取調べのための出頭・滞留の義務を認めない見解の論拠である。
取調べ受忍義務否定説と注意的規定解釈
刑事訴訟法198条1項ただし書は、出頭拒否や退去を認めることが逮捕・勾留の効力自体を失わせるものでないことを注意的に規定したものと解すべきであるという論拠は、取調べのための出頭・滞留の義務を認めない見解の論拠である。
司法警察員の被疑者受取りと送致起算点
司法警察員は、逮捕された被疑者を受け取った場合において、留置の必要があると思料するときは、被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に、書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
逮捕事実と科刑上一罪の事実の併合勾留
住居侵入と窃盗は牽連犯(科刑上一罪)の関係にあり、住居侵入の被疑事実のみで逮捕された被疑者について、検察官は、窃盗の事実も併せて勾留を請求することができる。
現行犯逮捕の犯罪事実の事前告知の要否
現行犯人の逮捕に際して、刑事訴訟法に、あらかじめ逮捕の理由となった犯罪事実の要旨を告げなければならないとする規定はない。
強制採尿に必要な令状(捜索差押令状)
尿を任意に提出しない被疑者から強制的に採尿するには捜索差押令状が必要であり、令状には強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件を記載することが不可欠である。
昭和55年10月23日最高裁第一小法廷刑集34巻5号300頁(覚せい剤取締法違反)
検察官の接見指定に対する準抗告
検察官のした刑事訴訟法39条3項の処分に不服がある者は、その検察官が所属する検察庁の対応する裁判所に、その処分の取消又は変更を請求することができる。
職務質問と具体的犯罪の特定の要否
警察官職務執行法2条1項の職務質問は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者等に対して行うことができ、対象となる犯罪の具体的な内容を特定する必要はない。
犯罪を知ると認められる職務質問対象者
警察官は、何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者だけでなく、既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者に対しても、職務質問を行うことができる。
職務質問の有形力行使の許容性
職務質問は任意手段であるが、事案の状況に応じ、強制にわたらない程度の有形力の行使は許される場合がある。
昭和53年6月20日最高裁第三小法廷刑集32巻4号670頁(爆発物取締罰則違反、殺人未遂、強盗)
職務質問に付随する所持品検査の許否
警察官職務執行法には所持品検査の明文の規定はないが、所持品検査は職務質問に附随してこれを行うことができる場合がある。
昭和53年6月20日最高裁第三小法廷刑集32巻4号670頁(爆発物取締罰則違反、殺人未遂、強盗)
接見指定の捜査上の必要性の要件
刑訴法39条3項の「捜査のため必要があるとき」とは、接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られ、現に被疑者を取調べ中である場合や、間近い時に取調べ等をする確実な予定があり、申出に沿った接見を認めたのでは取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合などは、これに当たる。
平成3年5月10日最高裁第三小法廷民集45巻5号919頁(損害賠償)
逮捕直後の初回接見申出への捜査機関措置
逮捕直後の初回の接見の申出を受けた捜査機関は、接見指定の要件が具備された場合でも、弁護人となろうとする者と協議して、即時又は近接した時点での接見を認めても接見の時間を指定すれば捜査に顕著な支障が生ずるのを避けることが可能かどうかを検討し、これが可能なときは、特段の事情のない限り、比較的短時間でも、時間を指定した上で即時又は近接した時点での接見を認めるようにすべきであるが、直ちに取調べを中断して接見させなければならないわけではない。
平成12年6月13日最高裁第三小法廷民集54巻5号1635頁(損害賠償請求事件)
在宅の被疑者の出頭拒否
逮捕又は勾留されていない被疑者は、検察官、検察事務官又は司法警察職員のいずれから出頭を求められた場合でも、これを拒むことができる。