条文・判例・学説を体系的に整理
場屋営業者の意義
場屋営業者とは、客の来集を目的とする場屋における取引をすることを業とする者であり、旅館・飲食店等がこれに当たる。
倉荷証券の不実記載と善意所持人の保護
倉庫営業者は、倉荷証券の記載が事実と異なることをもって善意の所持人に対抗することができないが、悪意の所持人に対しては対抗することができる。
記名式倉荷証券の裏書譲渡
倉荷証券は、記名式であるときであっても、裏書によって、譲渡し、又は質権の目的とすることができ、裏書を禁止する旨を記載したときに限り、裏書による譲渡ができない。
保管期間なき倉庫寄託の返還制限
当事者が寄託物の保管期間を定めなかったときは、倉庫営業者は、寄託物の入庫の日から6か月を経過した後でなければ、その返還をすることができず、やむを得ない事由があるときはこの限りでない。
倉荷証券と引換えによる寄託物返還請求
倉荷証券が作成されたときは、これと引換えでなければ、寄託物の返還を請求することができない。
商行為の代理における顕名の欠缺
商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでした行為であっても、その行為は本人に対してその効力を生ずるから、相手方は、本人に対して履行を請求することができる。
商人間の留置権
商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物を留置することができる(別段の意思表示がある場合を除く)。
商人間定期売買の遅滞と解除のみなし
商人間の売買において、売買の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなされる。
商人間売買の目的物の検査・通知義務
商人間の売買において、買主は、目的物の種類又は品質に関する契約不適合を直ちに発見することができない場合でも、受領後六か月以内にその不適合を発見して直ちに通知を発しなければ、追完請求等ができない。
匿名組合員の出資の目的
匿名組合員は、金銭その他の財産のみをその出資の目的とすることができ、労務や信用を出資の目的とすることはできない。
匿名組合員の第三者に対する権利義務
匿名組合員は営業者の行為について第三者に権利義務を負わないのが原則であるが、自己の氏・氏名を営業者の商号中に用いること又は自己の商号使用を許諾した場合、その使用後の債務を営業者と連帯して弁済する責任を負う。
未寄託携帯品の滅失と場屋営業者の責任
客が寄託していない物品であっても、場屋の中に携帯した物品が、場屋営業者が注意を怠ったことによって滅失又は損傷したときに限り、場屋営業者は損害賠償の責任を負う。
商人間売買の自助競売と買主通知の欠缺
商人間の売買で、売主が催告の後に目的物を競売に付したときは、遅滞なく買主に通知を発しなければならないが、通知を怠っても競売が無効となるわけではない(商法524条1項)。
定期売買の解除擬制
商人間の売買において、売主がお歳暮用商品である目的物を当該お歳暮の期間内に買主に引き渡さなかった場合には、売主が同時履行の抗弁権を行使して商品引渡債務を履行しなかったときであっても、買主は、直ちにその履行を請求しない限り、当該売買契約の解除をしたものとみなされる。
商人間売買の六箇月内発見通知と減額
商人間の売買において、買主が直ちに発見することのできない種類又は品質に関する契約不適合を受領後6か月以内に発見し、直ちに売主に通知を発したときは、買主は、民法563条の要件(原則として、相当の期間を定めて履行の追完を催告し、その期間内に履行の追完がないこと)を満たせば、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
昭和29年1月22日最高裁第二小法廷民集8巻1号198頁(自動車残代金並びに附属品代請求)
商人間売買の潜在的品質不適合の通知義務
売主が不適合につき悪意である場合を除き、商人間の売買で、買主が直ちに発見することのできない種類又は品質に関する契約不適合を受領後6か月以内に発見したときは、直ちに売主に通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完(代替物の引渡し等)の請求をすることができない(商法526条2項)。
昭和47年1月25日最高裁第三小法廷集民105号19頁(売掛代金請求)
商人間売買の六箇月発見期間の悪意例外
売主が不適合につき悪意である場合を除き、商人間の売買で、直ちに発見することのできない種類又は品質に関する契約不適合を買主が受領後6か月以内に発見しなかったときは、その後に不適合を発見して直ちに通知を発しても、その不適合を理由とする契約の解除をすることができない(商法526条2項)。
営業上の無償寄託と商人の善管注意義務
場屋営業者を含む商人は、その営業の範囲内において寄託を受けたときは、報酬を受けない場合でも、善良な管理者の注意をもって寄託物を保管する義務を負う(商法595条)。
場屋の寄託物責任と高価品以外の不可抗力
商法597条の高価品特則が適用される場合を除き、場屋営業者は客から寄託を受けた物品の滅失又は損傷につき不可抗力によることを証明しなければ免責されず、自己又は使用人の無過失だけでは足りない。
場屋営業者の免責告示の効力
場屋営業者は、客が場屋の中に携帯した物品につき責任を負わない旨を表示したときであっても、その責任を免れることができない。