条文・判例・学説を体系的に整理
組織変更と債権者異議
組織変更をする株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、組織変更について異議を述べることができる。
株式交換と完全親会社債権者
株式交換完全親株式会社が株式交換に際して株式交換完全子会社の株主に対して交付する対価が金銭のみである場合には、当該株式交換完全親株式会社の債権者は、当該株式交換完全親株式会社に対し、株式交換について異議を述べることができる。
事業譲渡と競業避止義務
事業譲渡をした譲渡会社は当事者の別段の意思表示がない限り競業避止義務を負う旨が会社法に規定されているが、吸収分割会社が競業避止義務を負う旨の規定は会社法にない。
詐害的会社分割・事業譲渡と残存債権者
会社分割会社が残存債権者を害することを知って吸収分割をした場合だけでなく、譲渡会社が残存債権者を害することを知って事業譲渡をした場合にも、残存債権者は一定の範囲で承継会社又は譲受会社に履行を請求できる。
吸収分割と新株予約権買取請求
吸収分割をする場合には一定の新株予約権者は吸収分割会社に対し自己の有する新株予約権を買い取ることを請求することができるが、事業譲渡をする場合には譲渡会社の新株予約権者に新株予約権買取請求権は認められていない。
株式交付子会社の債権者異議の要否
株式交付をする場合には、株式交付子会社においては債権者異議手続をすることを要しない。
吸収分割と債権者異議手続
事業譲渡については債権者異議手続をすることを要しないが、吸収分割については債権者異議手続をしなければならないことがある。
吸収分割無効の訴え
吸収分割の無効は訴えをもってのみ主張することができるが、事業譲渡の無効は訴えによらずに主張することができる。
吸収合併契約等の事前備置
会社法782条・794条に列挙された吸収合併等の当事会社が株式会社である場合、契約等の内容を本店に事前備置する義務があり、株主保護に加え債権者等の保護も目的とするが、閲覧等の請求権者には組織再編の類型等による区別がある。
吸収合併等の株主総会承認
吸収合併等の各当事会社が株式会社である場合は、原則として、株主総会の特別決議によって吸収合併契約等の承認を受けなければならず、この規律は株主保護を直接の目的とする。
吸収合併等の差止請求
吸収合併等の各当事会社の株主は、吸収合併等が法令又は定款に違反する場合等において株主が不利益を受けるおそれがあるときは、自己が株式を有する会社に対し、吸収合併等をやめることを請求することができ、この差止請求の規律は株主保護を直接の目的とする。
吸収合併等の無効判決の対世効
吸収合併等の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決は、第三者に対してもその効力を有し、この対世効は組織再編に伴う法律関係を画一的に確定するためのものであって、株主保護を直接の目的とするものではない。
振替株式と株式買取請求用口座
振替株式の発行者が吸収合併等をしようとする場合には、発行者は原則として、振替機関等に対し、株式買取請求に係る振替株式の振替を行うための口座(買取口座)の開設の申出をしなければならず、この規律は株式買取請求の撤回制限を実効化するためのものであって、株主保護を直接の目的とするものではない。
組織再編で株式買取請求権が認められる場合
株式買取請求権は、組織再編行為に無効原因がない場合にも認められる。
株式買取価格決定後の利息
当事者の申立てにより裁判所が株式の価格について決定をしたときは、会社は、その価格に対する効力発生日から60日の支払期間の満了の日後の法定利率による利息をも支払わなければならず、その起算日は決定の確定後ではない。
株式買取請求権の趣旨
株式買取請求権が認められる趣旨は、反対株主に会社からの退出の機会を与えるとともに、退出を選択した株主には、組織再編行為がされなかったとした場合と経済的に同等の状態を確保し、さらに、組織再編による相乗効果その他の企業価値の増加が生ずる場合には、これを適切に分配し得るものとすることにより、反対株主の利益を一定の範囲で保障することにある。
平成23年4月19日最高裁第三小法廷民集65巻3号1311頁(株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)
吸収合併の存続消滅両社の債権者異議
吸収合併をする場合には、吸収合併存続株式会社及び吸収合併消滅株式会社のいずれにおいても債権者異議手続をしなければならない。
合併契約の法定記載事項
吸収合併においては、吸収合併契約において会社法所定の事項を定めなければならないが、事業譲渡契約には会社法上の法定記載事項はない。
合併の株主総会承認省略
吸収合併では略式合併(会社法784条1項・796条1項)や簡易合併(796条2項)の場合に、事業譲渡では契約の相手方が譲渡会社の特別支配会社である場合(468条1項)に、株主総会の決議による契約の承認を要しない。
消滅会社株主の差止請求
吸収合併が法令又は定款に違反する場合であって、消滅会社の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、当該消滅会社の株主は、当該消滅会社に対し、当該吸収合併をやめることを請求することができる。