条文・判例・学説を体系的に整理
株主総会前の議決権代理委任状の撤回
株主が第三者に議決権の代理行使をさせる内容の委任状を株式会社に事前に提出した場合でも、株主は、株主総会の前に委任を撤回することができる。
総会招集請求の持株要件の定款加重
株主総会の招集を請求することができる株主の持株要件は、総株主の議決権の100分の3以上であり、定款でこれを下回る割合を定めることはできるが、上回る割合(3分の1以上)を定めることはできない。
書面議決権行使後の総会出席と権利行使
書面による議決権行使が認められる株主総会において、株主が議決権行使書面を事前に送付した場合でも、その株主は、株主総会に出席して議決権を行使することができ、出席して議決権を行使したときは、書面による議決権行使に代わってその議決権行使の効力が生ずる。
株主総会決議取消しの裁量棄却と手続瑕疵
株主総会等の決議の取消しの訴えにおいて、裁判所は、招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、請求を棄却することができるが、決議の内容が法令又は定款に違反する場合には、この裁量棄却は認められない。
剰余金配当の株主総会決議の定足数排除
株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行うが、定款で定足数を排除することができ、配当財産が金銭である剰余金の配当に関する決議(普通決議)についてもこれが認められる。
株主総会の決議省略と株主全員の同意
取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(議決権を行使することができるものに限る)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされる。
株主総会の報告省略と株主全員の同意
取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなされ、報告を省略することができる。
書面議決権行使と総会招集手続省略制限
株主総会は、株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができるが、書面又は電磁的方法による議決権行使を認める旨を定めた場合は、この限りでない。
電子提供措置の定款と株主の書面交付請求
電子提供措置をとる旨の定款の定めがある株式会社の株主は、当該株式会社に対し、電子提供措置事項を記載した書面の交付を請求することができる。
株主総会決議不存在確認判決の対世効
株主総会の決議が存在しないことの確認の訴えは会社の組織に関する訴えであり、その請求を認容する確定判決は、第三者に対してもその効力を有する。
役員退任後に株主となった者の代表訴訟
6箇月前から引き続き株式を有する株主は、役員等の責任を追及する訴えを提起することができ、責任の原因となった行為の時に株主であったことは要件とされていないから、取締役が退任した後に株主となった者も、6箇月の保有期間を満たす限り、株主代表訴訟を提起することができる。
提訴請求後の不提訴理由の通知
株式会社は、役員等の責任を追及する訴えの提起の請求の日から60日以内に訴えを提起しない場合において、当該請求をした株主又は役員等から請求を受けたときは、遅滞なく、訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。
代表訴訟の取締役補助参加と監査役同意
監査役設置会社が、取締役を補助するため、株主が提起した当該取締役の責任を追及する訴えに係る訴訟に参加するには、監査役(監査役が2人以上ある場合にあっては、各監査役)の同意を得なければならない。
株式交換の株主資格喪失後の訴訟追行
責任追及等の訴えを提起した株主が訴訟の係属中に株主でなくなった場合であっても、その者が当該株式会社の株式交換又は株式移転により当該株式会社の完全親会社の株式を取得したときは、その者が訴訟を追行することができる。
取締役解任議案否決の決議取消訴訟
ある議案を否決する株主総会の決議によって新たな法律関係が生ずることはなく、その決議を取り消しても新たな法律関係が生ずるものでもないから、否決の決議の取消しを請求する訴えは不適法であり、このことは取締役(役員)を解任する旨の議案が否決された場合でも異ならない。
平成28年3月4日最高裁第二小法廷民集70巻3号827頁(株主総会決議取消請求事件)
株主総会の場所外の映像音声による出席
株式会社は、株主総会の場所に存しない株主を、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、当該株主総会に出席させることができる。
株主総会の議案提出権と持株要件
株主総会において議案を提出する株主の権利(会社法304条)は、単独株主権であり、議決権の保有割合や保有期間の要件はなく、公開会社であっても総株主の議決権の100分の1以上等の要件を満たす株主に限られない。
取締役選任議案の一議案のみなし
取締役会設置会社の株主が議案の要領の通知を請求する場合に、取締役の選任に関する議案は、候補者の数にかかわらず一の議案とみなされる。
矛盾する定款変更議案と一議案のみなし
取締役会設置会社の株主が提出しようとする議案の数を数える場合、定款の変更に関する二以上の議案で、異なる議決がされたとすれば議決の内容が相互に矛盾する可能性があるものは一の議案とみなされ、監査等委員会を置く旨の定款変更の議案と監査役及び監査役会を廃止する旨の定款変更の議案はこれに当たる。
10を超える議案の除外と優先順位
株主が10を超える数の議案の要領の通知を請求し、議案相互間の優先順位を定めている場合には、取締役は、その優先順位に従って通知の対象から除外する議案を定めなければならない。