条文・判例・学説を体系的に整理
譲渡会社の競業避止義務の任意性
事業を譲渡した会社の競業避止義務は、当事者の別段の意思表示によって排除することができる。
詐害的事業譲渡における譲受人の責任
事業の譲渡人が譲受人に承継されない債務の債権者を害することを知って事業を譲渡した場合、譲受人が悪意であれば、商号続用の有無にかかわらず、承継した財産の価額を限度として当該債務の履行請求を受ける。
事業譲渡の効果
営業又は事業の譲渡の効果として、営業又は事業を構成する資産及び債権債務は当然には譲渡人から譲受人に移転せず、個別の移転手続が必要である。
事業譲渡の意義
単なる事業用財産の譲渡は、たとえそれが譲渡会社に重大な影響を及ぼすようなものであっても事業の譲渡に該当しない。
昭和40年9月22日最高裁大法廷民集19巻6号1600頁(建物並びに土地明渡所有権確認等請求)
ゴルフクラブ名称続用と預託金返還義務
ゴルフ場の事業の譲受人がゴルフクラブの名称を続用しており、当該名称が事業主体を表示する場合、譲渡人の商号を続用していなくても譲受後遅滞なく会員の優先利用を拒否したなどの特段の事情がない限り、会員の預託金返還義務を負う。
平成16年2月20日最高裁第二小法廷民集58巻2号367頁(ゴルフ場名称続用事件)
匿名組合員の責任
匿名組合員は、営業者が匿名組合契約に基づく営業において負った債務について、当該匿名組合員が当該匿名組合契約の当事者であることをその債務に係る債権者が知っていたとしても、営業者と連帯して弁済する責任を負わない。
商人間売買における自助売却権
商人間の売買において、売主が債務の本旨に従った弁済の提供をしたにもかかわらず買主が受領を拒んだときは、売主は、裁判所の許可を得ることなく、相当の期間を定めて催告をした後にその物を競売に付することができる。
投機売買の商行為性
利益を得て譲渡する意思をもって動産を有償取得する行為は、商人でない者が行う場合であっても商行為となる。
支配人の代理権と商人死亡
支配人の代理権は、当該支配人を選任した商人の死亡によっては消滅しない。
大正5年1月29日大審院第三民事部民録22巻206頁(石炭売掛代金残額並損害金請求)
商人の報酬請求権
委託を受けた商人がその営業の範囲内において委託者のために行為をした場合には、報酬についての合意がないときであっても、委託者に対し相当な報酬を請求することができる。
商行為による連帯債務
相手方のためには商行為となる行為でなくても、数人の者がそのうちの一人のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は各自が連帯して負担する。
商人間の留置権
商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあり、債権者が債務者との間における商行為によって債務者の所有する物を占有するに至った場合、その後に債務者がその物の所有権を失っても、すでに弁済期にある債権を担保する留置権は存続し、債権者はこれを留置することができる(当事者の別段の意思表示があるときを除く)。
昭和45年12月17日東京高裁高民集23巻4号542頁(動産仮処分異議事件)
定期売買と解除
商人間の売買において、当事者の意思表示により一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方が直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約が解除されたこととなる。
対話者に対する申込みの失効
承諾期間を定めず対話者にした申込みは、対話が継続している間に承諾の通知を受けなければ対話終了時に失効するが、申込者が対話終了後も効力を失わない旨を表示した場合は失効しない。
支配人の選任・代理権消滅の登記
支配人の選任及びその代理権の消滅については、その登記をしなければならない。
支配人の競業避止義務違反と損害推定
支配人が商人の許可を受けないで自己又は第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をしたときは、当該取引によって当該支配人又は第三者が得た利益の額は、その商人に生じた損害の額と推定される。
表見支配人
商人の営業所の営業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、善意の相手方に対しては、当該営業所の営業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなされる。
店舗使用人の販売権限
物品の販売を目的とする店舗の使用人は、善意の相手方に対しては、その店舗内に在る物品の販売をする権限を有するものとみなされる。
商行為代理の履行請求先
商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでした場合において、相手方が代理人が本人のためにすることを知らず、かつ知らなかったことに過失がないときは、相手方は代理人に対して履行の請求をすることができる。
申込みに添えた物品の保管義務
商人が営業の部類に属する契約の申込みとともに物品を受け取ったときは、申込みを拒絶しても申込者の費用で保管するが、物品の価額が保管費用を償うのに足りないとき又は保管により商人が損害を受けるときは、この義務を負わない。