条文・判例・学説を体系的に整理
隣地使用権と償金
土地の所有者は、境界又はその付近における建物の修繕のため必要な範囲内で、隣地を使用することができ、隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
雨水を隣地に注ぐ屋根の禁止
土地の所有者は、やむを得ない事由がある場合であっても、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根を設けることはできない。
竹木の枝の切除請求
土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、原則としてその竹木の所有者に枝を切除させることができるにとどまり、自ら切り取ることができるのは、催告後相当期間内に切除されないとき、竹木の所有者を知ることができず又はその所在を知ることができないとき、急迫の事情があるときに限られる(民法233条1項・3項)。
境界線付近の建築制限
土地の境界線から50センチメートル以上の距離を保って建物を築造しなければならない場合において、境界線に接して建築をしようとする者がいるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。
不動産付合の客体と権原による附属物
「不動産に従として付合した物」(民法242条)には、土地の構成部分となって土地の所有権に吸収される物(同条本文)のほか、権原によって附属させた者の所有に属し、独立の物として取引の対象となり得る物(同条ただし書)も含まれる。
放置自転車の撤去と物権的妨害排除請求
盗まれた自転車が他人の土地上に放置された場合、土地について地上権を有する者は、地上権に基づく妨害排除請求として、その自転車の所有者に対しその撤去を請求することができる(物権的請求権の相手方は、妨害状態を生じさせている物の所有者であり、その物の放置が所有者の意思に基づくか否かを問わないと解される)。
錯誤取消しと真正な登記名義の回復請求
土地が順次売り渡され、各売買を原因とする所有権移転登記がされている場合に、各売買契約が錯誤を理由として取り消されたときは、元の所有者は、現在の登記名義人に対し、真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することができる。
建物を所有しない名義人の収去明渡義務
建物の所有名義人が実際には建物を所有したことがなく、単に自己名義の所有権取得の登記を有するにすぎない場合は、土地所有者に対し、建物収去・土地明渡しの義務を負わない。
平成6年2月8日最高裁第三小法廷民集48巻2号373頁(建物収去土地明渡)
隣地通行権者による通路開設の費用
袋地の所有者は、必要があるときは通行権を有する土地に通路を開設することができ、その通路の開設の費用は通行権者が負担しなければならない。
償金の不払いと隣地通行権の消滅
隣地通行権を有する者が償金の支払を怠っても、通行権は消滅しない。
分筆と同時譲渡による袋地の通行権
一筆の土地を分筆して同時に譲渡した結果、一方が袋地となった場合には、袋地の所有者は、民法213条により、他の分割者の所有地のみを通行することができ、他の土地を通行するほうが損害が少ないときでも、他の分割者の所有地について通行権を行使することができる。
競売による袋地と残余地の承継と通行権
同一人の所有に属する数筆の土地の一部が担保権の実行としての競売により譲渡されて袋地が生じた場合にも民法213条2項の囲繞地通行権が成立し、この通行権は、残余地について特定承継が生じた場合にも消滅しない。
平成2年11月20日最高裁第三小法廷民集44巻8号1037頁(第三者異議、通行権確認、土地明渡等)
売買解除後の買主の抹消登記請求
売買契約が売主の債務不履行により解除され、真実の権利関係に合致しない買主名義の所有権移転登記が残っているときは、登記名義人である買主も、売主に対し、その所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができ、売主はその抹消登記に協力する義務を負う。
昭和36年11月24日最高裁第二小法廷民集15巻10号2573頁(所有権移転登記抹消登記手続等請求)
無断賃貸建物の間接占有者への明渡請求
所有者に無断で他人の建物を第三者に賃貸して引き渡した者に対しても、所有者は、間接占有者として建物の明渡しを求めることができる。
無断築造建物の賃借人への収去明渡請求
土地所有者は、無断で築造された建物の賃借人に対しては、建物の収去を求めることはできず(収去義務は建物所有者が負う)、建物からの退去・土地の明渡しを求め得るにとどまる。
物権的妨害予防請求と故意・過失
物権的妨害予防請求権の行使には、妨害のおそれを生じさせている者の故意又は過失は不要であり、相当の設備の設置など危険の防止に必要な措置を求めることができる。
継続的給付を受けるための設備の設置権
土地の所有者は、他の土地に設備を設置しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置することができる。
天災で低地の水流が閉塞した場合の費用
水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは、高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる。
竹木の所有者の所在不明と枝の切取り
隣地の竹木の枝が境界線を越えている場合において、竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、土地の所有者は、自らその枝を切り取ることができる。
所有者不明土地管理命令と管理処分権
所有者不明土地管理命令が発せられ、所有者不明土地管理人が選任された場合には、対象とされた土地の管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属し、所有者には属しない。