条文・判例・学説を体系的に整理
本人による無権代理人の単独相続
本人が無権代理人を単独で相続した場合、無権代理行為は当該相続により当然に有効となるものではない。
昭和37年4月20日最高裁第二小法廷民集16巻4号955頁(建物引渡所有権移転登記手続等請求)
本人による追認と無権代理人の責任
本人が無権代理行為である契約を追認した場合、無権代理人は相手方に対する無権代理人の責任を負わない。
無権代理人の責任と選択
無権代理人が相手方に対する無権代理人の責任を負う場合、相手方は、無権代理人に対し、契約の履行の請求又は損害賠償の請求のいずれかを選択することができる。
代理人の権限濫用
代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り又は知ることができたときは、その行為は代理権を有しない者がした行為とみなされる。
昭和42年4月20日最高裁第一小法廷民集21巻3号697頁(売掛代金請求)
双方代理の禁止と本人の許諾
同一の法律行為について当事者双方の代理人となることは、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為を除き禁止され、これに反してされた双方代理行為は代理権を有しない者がした行為として本人に効力を生じない。
後見人の相続放棄後の被後見人の代理
共同相続人の一人が他の共同相続人の全部又は一部の者の後見人である場合に、後見人がまずみずからの相続の放棄をしたのちに被後見人全員を代理してする相続の放棄は、利益相反行為に当たらない(最判昭53.2.24)。
昭和53年2月24日最高裁第二小法廷民集32巻1号98頁(相続回復)
登記申請における双方代理の許容
不動産の売買契約に基づく所有権移転登記申請手続について、同一人(司法書士を含む)が売主及び買主の双方を代理しても、登記申請は義務の履行にすぎず、民法108条本文の双方代理の禁止に違反しない(最判昭43.3.8)。
昭和43年3月8日最高裁第二小法廷民集22巻3号540頁(建物明渡請求及び建物所有権移転登記抹消登記手続請求)
受動代理の顕名なき意思表示の効力
相手方が代理人に対して本人のためにすることを示して意思表示をした場合において、代理人がその意思表示を受領する権限を有していたときは、その意思表示は本人に対して直接にその効力を生ずる。
受動代理の意思表示の瑕疵の判断基準
相手方が代理人に対してした意思表示の効力が、意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、本人の選択ではなく、代理人について決する。
代理人の後見開始の審判と代理権の消滅
代理権は、代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたとき、又は代理人が死亡したときに消滅する。
特定行為の委託と本人の事情の主張制限
特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを、本人の指図の有無にかかわらず、主張することができない。
債務の履行と自己契約・双方代理
同一の法律行為について相手方の代理人として又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなされるが、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為についてはこの限りでない。
制限行為能力者の代理行為
制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為は、行為能力の制限を理由として取り消すことができる。
法定代理人の復代理人選任権
法定代理人は自己の責任で復代理人を選任することができ、やむを得ない事由があるために復代理人を選任したときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
双方代理の禁止と本人の許諾
同一の法律行為について、当事者双方の代理人としてした行為は代理権を有しない者がした行為とみなされるが、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
本人の死亡と代理権の消滅
委任による代理権は本人の死亡によって消滅するのが原則である。
特定の法律行為の委託と代理人の不知
特定の法律行為をすることを委託された代理人が本人の指図に従ってその行為をした場合、本人は自ら過失によって知らなかった事情について代理人が過失なく知らなかったことを主張することができない。
制限行為能力者の代理行為
代理人が相手方と売買契約を締結した後、その代理人が制限行為能力者であったことが判明した場合であっても、本人は当該売買契約を行為能力の制限によって取り消すことはできない。
権限の定めのない代理人の権限
権限の定めのない代理人は保存行為のほか、代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内における利用行為及び改良行為をする権限を有する。
任意代理権の消滅事由
任意代理において代理人が保佐開始の審判を受けたことは代理権の消滅事由ではない。