条文・判例・学説を体系的に整理
申請拒否処分と不利益処分
申請により求められた許認可等を拒否する処分は、行政手続法上の不利益処分に当たらない。
原子炉設置許可と不利益処分
原子炉設置許可は、申請に基づき申請をした者を名あて人としてされる処分であって、周辺住民との関係でも、行政手続法2条4号の不利益処分(特定の者を名あて人として直接に義務を課し又は権利を制限する処分)には当たらない。
競願関係における許可処分と不利益処分
競願関係にある者の一人に対する許可処分は、他の競願者を名あて人として直接に義務を課し又は権利を制限する処分ではないから、他の競願者との関係でも行政手続法上の不利益処分に当たらない。
金銭給付決定取消しの意見陳述手続
金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするときは、聴聞又は弁明の機会の付与の意見陳述手続を執る必要はない。
意見陳述不要の不利益処分と理由提示
法令上必要とされる資格がなかったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって、意見陳述手続を要しない場合でも、行政庁は、不利益処分をする場合には、名あて人に対し、同時に、処分の理由を示さなければならず、名あて人の求めがあったときに示せば足りるものではない。
許認可取消しの聴聞の原則と適用除外
許認可等を取り消す不利益処分には、取消原因が後発事情か成立当初の違法かを問わず原則として聴聞を要するが、行政手続法13条2項の適用除外に当たる場合はこの限りでない。
聴聞の文書等閲覧請求権者の範囲
聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、行政庁に対し不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができるのは、当事者及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人であり、不利益処分がされた場合に利益を受けることとなる参加人は含まれない。
聴聞期日の出頭に代わる陳述書提出
聴聞の通知を受けた当事者は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書及び証拠書類等を提出することができる。
弁明の機会の付与と書面による原則
弁明の機会の付与における弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明書を提出してするものとされ、口頭での意見陳述が原則ではなく、証拠書類等を提出することができる。
伊方原発訴訟と住民の手続参加
伊方原発訴訟判決は、原子炉設置許可の申請に対して行政庁が処分をする際、憲法31条に基づき原子炉設置予定地の周辺住民を原子炉設置許可手続に参加させることを要求していない。
平成4年10月29日最高裁第一小法廷民集46巻7号1174頁(伊方発電所原子炉設置許可処分取消)
聴聞の非公開原則
聴聞の期日における審理は、行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、公開されない(非公開が原則であり、公開する必要はない)。
弁明の機会の付与と代理人・参加人
弁明の機会の付与については、聴聞における代理人に関する規定は準用されているが、参加人に関する規定は準用されていない。
処分基準と不利益処分の関係
処分基準は不利益処分に関する基準であり、審査基準は申請に対する処分に関する基準である。
処分基準の公表の努力義務
処分基準を定め、かつ公にしておくことは行政庁の努力義務にとどまるのに対し、審査基準を公にしておくことは(行政上特別の支障があるときを除き)法的義務である。
処分基準・審査基準の具体性要件
行政庁は処分基準と審査基準のいずれを定めるに当たっても、できる限り具体的なものとしなければならない。
聴聞と弁明の機会の付与の区別
不利益処分に関する弁明の機会の付与の手続においては、聴聞と異なり、不利益処分の名あて人となるべき者は、行政庁に対して、不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることはできない。
聴聞調書及び報告書の作成と送付
聴聞の主宰者は聴聞調書及び報告書を作成して行政庁に提出するが、その写しを当事者及び参加人に送付する義務は定められておらず、当事者等は閲覧を求めることができるにとどまる。
情報収集目的の処分と適用除外
報告又は物件の提出を命ずる処分その他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分及び行政指導については、不利益処分に関する規定を含む行政手続法第2章から第4章の2までの規定は適用されない。
処分基準の公表義務
行政手続法は、行政庁が不利益処分に関する基準である処分基準を定めた場合には、これを公にすることを努力義務にとどめる。
聴聞手続の対象範囲
行政手続法の定めによれば、行政庁が聴聞手続を執ることができるのは、許認可等を取り消すといった重大な不利益処分に限られず、行政庁が相当と認めるときにも聴聞を行うことができる。