条文・判例・学説を体系的に整理
裁量基準に違背した処分の違法性
裁量基準は行政の内部基準にすぎず法規としての性質を有しないから、処分が裁量基準に違背してされたとしても、当然に違法となるものではない。
裁量基準の機械的適用と個別事情の考慮
個別の事情を考慮することなく、裁量基準を機械的に適用して処分がされた場合には、その処分は、裁量権の行使に当たって考慮すべき事項を考慮しなかったものとして違法と判断されることがある。
審査基準の設定義務と処分基準の努力義務
行政手続法は、申請に対する処分については審査基準の設定及び公にすることを義務付け(5条1項・3項)、不利益処分については処分基準の設定及び公にすることを努力義務とする(12条1項)。
情報公開の申請拒否の理由提示と追加
申請拒否処分については理由の提示が義務付けられているが、行政文書を開示しない決定の取消訴訟において、被告が当該決定の際に提示された処分理由とは異なる処分理由を追加して主張することは、通知書に理由を付記した以上は追加を許さないとする趣旨を理由付記の定めが含むと解すべき根拠がない限り、許される。
平成11年11月19日最高裁第二小法廷民集53巻8号1862頁(公文書一部公開拒否処分取消請求事件)
個人タクシー事件と審査基準の公表
個人タクシー事件判決は、多数の者のうちから少数特定の者を具体的個別的事実関係に基づき選択して免許の許否を決定する行政庁に対し、免許基準の趣旨を具体化した審査基準の設定を要求したが、当該審査基準を公にしておくことまでは要求していない。
昭和46年10月28日最高裁第一小法廷民集25巻7号1037頁(行政処分取消請求)
処分基準と裁量権の逸脱濫用
行政庁が行政手続法12条1項に従い公にした処分基準と異なる内容の処分をしたときは、行政手続法12条1項違反として直ちに取り消されるのではなく、特段の事情がない限り裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たるものとして違法となる。
平成27年3月3日最高裁第三小法廷民集69巻2号143頁(営業停止処分取消請求事件)
申請に対する標準処理期間の公表義務
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めたときは、当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により、当該期間を公にしなければならない。
形式上の要件不適合時の対応
行政庁は、形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならず、補正を求めることなく申請を拒否する処分をすることも許される。
審査基準の法的性質
行政庁が申請に対しどのような処分をするかについて法令の規定に従って判断するための基準を定めるには、法律の委任は不要である。
部分開示と理由提示
行政機関の長が行政文書の部分開示決定をする場合、開示請求者に対し決定の理由を示す必要がある。
審査基準の意義
行政手続法にいう審査基準とは申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。
省令と審査基準の区別
法律の委任を受けて規定された経済産業省令は法令であり行政手続法にいう審査基準には当たらない。
法令の適用対象を示す基準と審査基準
行政庁が法令の適用対象の範囲についての解釈を示すために定めた基準は、申請により求められた許認可等をするかどうかを判断するために必要とされる基準ではないから、行政手続法にいう審査基準には当たらない。
審査基準の設定義務とその限界
行政庁は申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる審査基準を定めるものとされているが、法令の定め自体が十分に具体的でそれ以上の判断基準を必要としない場合には審査基準を定めないことも許される。
通達と行政手続法上の審査基準の公表
処分権限を有する行政庁は、上級行政庁の通知に示された基準を、自らの審査基準として採用して公にすることができる。
標準処理期間と補正期間
行政手続法6条に定める標準処理期間には申請が形式上の要件に適合しない場合の当該申請の補正に要する期間は含まれない。
申請の到達の意義
行政手続法7条に定める「申請がその事務所に到達したとき」とは当該申請書が当該事務所に物理的に到達した時点をいい受付印の押印等は要件ではない。
拒否処分の理由の提示
申請期間を徒過していることを根拠に申請を不適法として拒否処分を行う場合にも申請者に対して行政手続法8条に基づき当該処分の理由を示す必要がある。
審査基準外の事情による許可申請
行政手続法には、申請者が審査基準に具体的に定められていない事情を理由に許可を求めることを禁じる規定はない。
標準処理期間を定めた場合の公表義務
行政庁は、申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。