条文・判例・学説を体系的に整理
簡裁の請求拡張による管轄超過と移送
簡易裁判所は、訴えの変更(請求の拡張)により、訴訟の目的の価額が簡易裁判所の事物管轄の限度(140万円)を超え、訴訟が簡易裁判所の管轄に属しないことになったときは、管轄違いを理由として、訴訟を地方裁判所に移送しなければならない。
管轄違いの第一審判決取消しと控訴移送
控訴裁判所は、事件が管轄違いであることを理由として第一審判決を取り消すときは、判決で、事件を管轄裁判所に移送しなければならない。
地裁に提起された離婚訴訟の家裁移送
離婚の訴えを含む人事に関する訴えは家庭裁判所の管轄に専属するから、地方裁判所に提起された場合には、裁判所は訴えを却下するのではなく、管轄裁判所である家庭裁判所に移送しなければならない。
不法行為の賠償請求の義務履行地管轄
不法行為に基づく損害賠償債務は、別段の意思表示がなければ債権者の現在の住所において弁済すべき債務(持参債務)であるから、財産権上の訴えとして義務履行地(原告の住所地)を管轄する裁判所に提起することができる。
ウェブの申込みフォームによる管轄合意
管轄の合意がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなされるから、ウェブ上の申込みフォームによる管轄合意も、一定の法律関係に基づく訴えに関するものであれば有効であり、これを理由に合意された裁判所に訴えを提起することができる。
答弁書の提出と応訴管轄
被告が管轄違いの抗弁を記載せず本案についての主張を記載した答弁書を提出しただけでは、本案について弁論をしたことにならず、その時点で応訴管轄は生じない。
反訴と専属管轄
反訴は、本訴の係属する裁判所に提起することができるが、反訴の目的である請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が第11条の規定により合意で定めたものを除く)に属するときは、この限りでない。
不動産に関する訴えの管轄
不動産に関する訴えの第一審は、地方裁判所が裁判権を有し(裁判所法24条1号)、訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求に係るものについては簡易裁判所も第一審の裁判権を有する(同法33条1項1号)ため、両裁判所の管轄は競合する。
簡易裁判所の事物管轄と訴額算定
物の引渡請求とその執行不能の場合のための損害賠償請求を併合する場合、両請求は経済的利益が一つであるため訴訟の目的の価額は高い方の請求額で算定され、その価額が140万円を超えない請求は簡易裁判所の管轄に属する。
応訴管轄
被告が第一審裁判所において管轄違いの抗弁を提出しないで本案について弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、その裁判所は管轄権を有するが、期日変更の申立てのように本案に関しない訴訟行為をしただけでは応訴管轄は生じない。
管轄の標準時と係属中に生じた管轄原因
裁判所の管轄は訴えの提起の時を標準として定める(民事訴訟法15条)が、訴え提起の時に受訴裁判所の管轄に属しなかった訴えでも、訴訟係属中に被告が受訴裁判所の管轄区域内に住所を移したときは、その裁判所はその訴訟の審理及び裁判をすることができる。
専属管轄違反と移送
第一審裁判所は、法律の定めにより他の裁判所が専属的な土地管轄を有する訴えが提起された場合には、移送すべきであり、判決で訴えを却下すべきではない。
合意による移送
第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者の申立て及び相手方の同意があるときは、訴訟の全部又は一部を申立てに係る地方裁判所又は簡易裁判所に移送しなければならず(必要的移送、民事訴訟法19条1項)、申立てに係る裁判所の管轄に属しないときでも、移送を妨げられない。
仲裁合意と訴えの却下
仲裁合意があるにもかかわらず訴えが提起された場合、被告が仲裁合意に基づき訴えの却下を求めたときは、裁判所は訴えを却下しなければならない。
専属管轄合意と簡易裁判所
特定の地方裁判所を第一審の専属管轄裁判所とする合意がされた場合、訴訟の目的の価額が140万円を超えないときでも、その訴訟は当該地方裁判所の管轄に属する。
管轄合意の対象
当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができ、控訴審の管轄裁判所を合意により定めることはできない。
管轄の標準時
管轄の有無は、訴え提起の時を基準に判断される。
移送申立てと訴訟手続の停止
第1回口頭弁論期日の前において、著しい遅滞を避けるための移送の申立てがあったときでも、裁判所は訴訟手続を停止する必要はない。
普通裁判籍による管轄
訴えは被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所に提起することができ、人の普通裁判籍は住所(日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所)により定まる。
義務履行地の特別裁判籍
財産権上の訴えは義務履行地を管轄する裁判所に提起することができる。