条文・判例・学説を体系的に整理
高価品運送の特則と運送人の故意重過失
高価品について、荷送人がその種類及び価額を通知しなかった場合には、運送人は原則として責任を負わないが、運送人の故意又は重大な過失によって高価品が滅失したときは、この特則は適用されず、運送人は債務不履行に基づく損害賠償責任を負う。
荷送人による運送の中止等の請求
荷送人は、運送人に対し、運送の中止、荷受人の変更その他の処分を請求することができる。
運送品を受け取った荷受人の運送賃義務
荷受人は、運送品を受け取ったときは、運送人に対し、運送賃等を支払う義務を負う。
損傷を知った運送人の責任不消滅
運送品の損傷・一部滅失の責任は異議を留めない受取で原則消滅するが、直ちに発見できない損傷等を引渡しから2週間以内に通知した場合や、引渡時に運送人が損傷等を知っていた場合には、この責任消滅を適用しない。
運送人の損害賠償責任
国内陸上運送人の被用者の過失により運送品が運送途中に全部滅失した場合には、荷受人は、当該運送人に対し、当該運送品の滅失により生じた損害の賠償を請求することができる。
運送品延着の損害賠償額
運送人の過失によって運送品が延着したときは、当該運送人がその延着について賠償の責任を負う額は、商法に特則がなく、債務不履行責任に関する民法の規定により定められる。
運送品の滅失・損傷の損害賠償額
運送人に故意・重過失がない場合の運送品の滅失・損傷の賠償額は、引渡地・時の市場価格等による商法576条の特則に従い、送り状の記載価額が当然の法定上限となるものではない。
高価品の損害賠償責任
高価品である運送品が滅失しまたは損傷した場合において、荷送人が運送を委託するに当たりその種類及び価額を通知しなかったときは、運送人は、物品運送契約の締結の当時運送品が高価品であることを知っていたとき、または運送人の故意若しくは重大な過失によって滅失または損傷が生じたときを除き、その滅失または損傷について損害賠償の責任を負わない。
荷受人に対する運送人の責任
運送人の過失によって運送品の全部が滅失したときは、当該運送人は、荷受人に対しても、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
運送品受取時の異議と責任消滅
運送品に直ちに発見することができる損傷または一部滅失があった場合には、運送人がその損傷または一部滅失について負う損害賠償責任は、荷受人が異議をとどめないで当該運送品を受け取ったときは、運送人が悪意の場合を除き消滅する。
運送品の高価品通知
貨幣、有価証券その他の高価品について、荷送人が運送を委託するに当たりその種類及び価額を通知しなかった場合、運送人は、その滅失、損傷又は延着について原則として損害賠償の責任を負わない(運送人が高価品であることを知っていたとき、又は運送人の故意若しくは重大な過失によるときを除く)。
運送品滅失時の損害賠償額
運送人の過失(故意又は重大な過失の場合を除く)によって運送品の全部が滅失した場合、損害賠償の額は、その引渡しがされるべき地及び時における運送品の市場価格によって定まる。
荷受人の権利取得
荷受人は、現行商法581条により、運送品が到達地に到着し、又は全部が滅失したときは、物品運送契約によって生じた荷送人と同一の権利を取得する。
運送人の不法行為責任
運送人の故意又は過失により運送品が滅失し、荷送人に損害が生じた場合、荷送人は運送人に対し債務不履行責任だけでなく不法行為責任も追及することができる。
昭和38年11月5日最高裁第三小法廷民集17巻11号1510頁(運送契約上の債務不履行と不法行為の請求権競合)
運送人の責任の1年の期間制限
運送品の滅失等についての運送人の責任は、運送品の引渡しがされた日(全部滅失の場合は引渡しがされるべき日)から1年以内に裁判上の請求がされないときは消滅する(商法585条1項)。
運送取扱人の意義
運送取扱人とは、自己の名をもって物品運送の取次ぎをすることを業とする者であり、単なるあっせんは運送取扱いに該当しない。
運送法上の高価品と巨大研磨機の判断
最判昭45.4.21は、運送法上の高価品を容積又は重量の割に著しく高価な物品と解し、容積・重量が相当巨大で高価なことが一見明瞭な研磨機は高価品に当たらないとした。
昭和45年4月21日最高裁第三小法廷集民99号129頁(損害賠償請求)
宅配便の責任限度額の荷受人への効力
宅配便の運送約款で定められた運送人の責任限度額については、荷受人が宅配便による運送を容認していたなどの事情があるときは、荷受人も、信義則上、責任限度額を超えて損害賠償を求めることができず、これは債務不履行責任に限られない。
平成10年4月30日最高裁第一小法廷集民188号385頁(損害賠償)
湖川運送への商法の運送営業規定の適用
現行商法の運送規定は、商行為となる陸上・海上・航空運送を対象とし、湖川港湾の運送も対象に含まれる。
運送品全部滅失の到達地価格と損害発生
運送品の滅失の場合の損害賠償の額は、その引渡しがされるべき地及び時における運送品の市場価格によって定まる(商法576条1項)が、これは賠償額の算定基準であって、荷送人にも荷受人にも損害が全く生じなかった場合に賠償責任を認める趣旨ではない。