条文・判例・学説を体系的に整理
株式交換と株式移転(契約の要否)
株式交換は、株式会社がその発行済株式の全部を取得する会社との間で株式交換契約を締結しなければならないが、株式移転は、株式会社が単独で又は共同して株式移転計画を作成すればよく、他の会社との契約を要しない。
株式交換完全親会社の種類
株式交換完全親会社は株式会社又は合同会社であり、株式移転設立完全親会社は株式移転により設立する株式会社である。
株式交換と株式移転の対価と株式交付
株式交換では、完全親会社が完全子会社の株主に対し自社の株式を交付しないこととすることができるが、株式移転では、株式移転設立完全親会社の株式を完全子会社の株主に交付しなければならない。
株式移転による発行済株式の全部の取得
株式移転設立完全親会社は、その成立の日に、株式移転完全子会社の発行済株式の全部を取得し、発行済株式の一部のみを取得することとなる株式移転を行うことはできない。
株式移転の効力発生時期
株式移転は、株式移転設立完全親会社の成立の日(設立の登記の日)に、その効力を生ずる。
完全親会社株式等対価の株式交換と異議
株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等が株式交換完全親会社の株式その他これに準ずるもののみである株式交換をする場合には、株式交換完全親株式会社における債権者異議手続は原則不要であるが、新株予約権付社債の債務を承継する会社法768条1項4号ハの場合は必要となる。
株式交換の新株予約権付社債権者の異議
株式交換契約新株予約権(株式交換完全親株式会社の新株予約権の交付を受ける株式交換完全子会社の新株予約権)が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合には、当該新株予約権付社債についての社債権者は、株式交換について異議を述べることができる。
株式交換の対価の柔軟化
株式交換において、完全子会社となる会社の株主に対する対価として、完全親会社の株式のほか金銭を交付することができる。
株式交換と新株予約権の承継
株式交換完全親株式会社は、株式交換契約に定めることにより、株式交換に際して、株式交換完全子会社の新株予約権の新株予約権者に対し、当該新株予約権に代わる当該株式交換完全親株式会社の新株予約権を交付することができる。
株式買取価格決定の非訟事件性
株式交換において反対株主による株式買取請求権が行使された場合の買取価格決定は、非訟事件の手続による。
株式買取請求の公正な価格の基準日
判例によれば、株式交換に係る反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」を定める基準日は、株式交換がその効力を生ずる日ではなく、株主が買取請求をした日である。
平成23年4月19日最高裁第三小法廷民集65巻3号1311頁(株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)
株式交換の効力発生時期
株式交換契約で完全子会社の株主に完全親会社の株式を交付する旨の定めがある場合、完全子会社の株主は、株式交換の登記の日ではなく効力発生日に、完全親会社の株主となる。
株式交換無効の訴えの棄却判決の効力
株式交換の無効の訴えに係る請求を棄却する確定判決は、第三者に対してその効力を有しない。
株式交換の承認不要時の執行役への決定委任
指名委員会等設置会社では、株主総会の決議による承認を要しない株式交換契約について、その内容の決定を執行役に委任することができる。
株式交換子会社の種類別の対価の定め
株式交換完全子会社が種類株式発行会社であるときは、その会社の発行する種類の株式の内容に応じ、株式交換契約において、ある種類の株式の株主に対しては対価を交付しないこととすることができる。
略式株式交換の承認不要と株式買取請求
株式交換について株主総会の決議による承認を要しない場合であっても、略式株式交換では、特別支配会社を除く株主は、反対株主として株式買取請求をすることができる。
金銭対価のみの株式交換と親会社債権者異議
株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等が株式交換完全親会社の株式その他これに準ずるもののみでないとき(例えば金銭のみの場合)は、株式交換完全親会社の債権者は、その株式交換について異議を述べることができる。
登記事項不変の株式交換子会社の登記
株式交換をしても、株式交換完全子会社は、株式が完全親会社に移転するだけで原則として登記事項に変更が生じないため、株式交換による変更の登記を要しない(株式交換契約新株予約権が消滅する場合など、登記事項に変更が生じる場合を除く)。
株式交換と株式買取請求
株式交換においては、株式交換完全子会社・完全親会社のいずれの反対株主も、株式買取請求をすることができる(会社法785条1項・797条1項、各条の定める除外事由に当たる場合を除く)。
株式交換と債権者異議
株式交換完全子会社の債権者は、株式交換契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合の当該社債権者を除き、株式交換について異議を述べることができない(会社法789条1項3号)。