条文・判例・学説を体系的に整理
自己新株予約権譲渡の募集事項決定の要否
株式会社が自己新株予約権を譲渡(処分)するには、募集事項の決定をする必要はない。
無償の新株予約権発行と有利条件該当性
新株予約権の発行に金銭の払込みを要しないと定める場合であっても、その新株予約権を引き受ける者にとって特に有利な条件でないことがある(例えば、新株予約権が引受人の役務の提供に対する対価として発行される場合など)。
新株発行無効の訴えの提訴権者と債権者
新株発行の無効の訴えは、当該株式会社の株主等(株主、取締役、監査役等)に限り提起することができ、株式会社の債権者は、新株発行の無効の訴えを提起することができない。
新株予約権の行使条件の発行後変更
旧商法下の新株予約権につき平成24年4月24日最高裁判決は、総会特別決議の委任で取締役会が定めた行使条件を発行後に変更することは、明示の変更委任がなければ、細目的変更を除き許されず、その変更決議は無効とした。
平成24年4月24日最高裁第三小法廷民集66巻6号2908頁(新株発行無効請求事件)
自己新株予約権の取得と処分義務の有無
株式会社は自己新株予約権を取得することができ、これを保有することも消却することもできる。
会社組織の無効判決の将来効
新株発行を無効とする判決が確定した場合には、無効とされた行為は将来に向かってその効力を失う。
内容の異なる種類株式発行の定款の定め
株式会社は、剰余金の配当に関して内容の異なる2以上の種類の株式を発行する場合には、当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法その他の事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。
取得条項付株式の対価の他種類株式交付
剰余金の配当に関する優先株式を取得条項付株式として発行することができ、その取得の対価を剰余金の配当に関する劣後株式とすることもできる。
募集株式発行条件の発行可能総数増加
公開会社の株主総会は、発行済株式の総数が発行可能株式総数に満たない場合であっても、新たに募集株式の発行をすることを条件として、その発行後の発行済株式の総数の4倍まで発行可能株式総数を増加する定款の変更をする旨の決議をすることができる。
昭和37年3月8日最高裁第一小法廷民集16巻3号473頁(株主総会決議無効確認請求)
議決権制限株式の二分の一超過の措置
種類株式発行会社が公開会社である場合において、議決権制限株式の数が発行済株式の総数の2分の1を超えるに至ったときは、株式会社は、直ちに、議決権制限株式の数を発行済株式の総数の2分の1以下にするための必要な措置をとらなければならない。
全部取得条項付株式取得の取締役説明義務
取締役は、全部取得条項付種類株式の全部を取得することに関する決定をする株主総会において、取得対価が特に有利な金額でない場合であっても、全部取得条項付種類株式の全部を取得することを必要とする理由を説明しなければならない。
新株予約権付社債の分離譲渡の禁止
新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできず、新株予約権付社債についての社債のみを譲渡することもできない(ただし、他方が消滅したときを除く)。
特別決議なき非公開会社の新株発行効力
公開会社でない株式会社において、株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされた場合、当該特別決議を欠く瑕疵は、株式発行の無効原因になる。
平成24年4月24日最高裁第三小法廷民集66巻6号2908頁(新株発行無効請求事件)
社債管理者の登記
社債管理者を定めた場合のその氏名又は名称は、会社の登記事項ではなく、登記することを要しない。
非公開取締役会設置会社の募集事項委任
公開会社でない取締役会設置会社においては、株主総会の特別決議によって、募集株式の数の上限及び払込金額の下限を定めて募集事項の決定を取締役会に委任することができ、払込金額の下限が特に有利な金額であるときも、取締役が理由を説明すれば委任することができる。
有利な株主割当ての募集事項決定機関
公開会社が、募集株式の払込金額が特に有利な金額である場合であっても、株主に募集株式の割当てを受ける権利を与えるときは、募集事項は取締役会の決議によって定めることができ、株主総会の決議を要しない。
特定引受人についての通知義務と緊急の必要
公開会社の取締役は、募集株式の引受人の議決権が総株主の議決権の2分の1を超える場合には、引受人の氏名又は名称等を株主に通知しなければならず、事業の継続のため緊急の必要があるときでも、この通知義務は免れない。
新株予約権付社債の予約権行使期間の終期
新株予約権付社債に付された新株予約権を行使することができる期間の終期と、当該新株予約権付社債の償還の期限とを一致させることは、法律上要求されていない。
募集新株予約権の申込者の権利取得日
募集新株予約権の引受けの申込みをした者(申込者)は、割当日に、株式会社が割り当てた募集新株予約権の新株予約権者となる。
譲渡制限新株予約権の不承認と買取り
譲渡制限新株予約権について、株式会社が譲渡による取得を承認しない旨の決定をしたときに、買取人を指定し又は会社が買い取る義務を負う旨の規定はない(これを定めるのは譲渡制限株式の140条である)。