条文・判例・学説を体系的に整理
店舗物品販売業者のみなし商人
店舗その他これに類似する設備によって物品を販売することを業とする者は、商行為を行うことを業としない者であっても商人とみなされるから、農業を営む自然人でも、生産した農作物を店舗で販売することを業としていれば商人とみなされる。
小商人への登記規定等の適用除外
小商人は、営業のために使用する財産の価額が一定額を超えないことにより、商法の一部の規定(未成年者登記・商号の登記・支配人の登記・商業帳簿に関する規定など)の適用を受けない。
非商人の自然人間の絶対的商行為
商人でない自然人の間で行われた行為であっても、絶対的商行為(商法501条)に当たる場合など、商行為となることがある。
開業準備行為の商行為性
自然人が業として商行為を行うことを開始する前に行った行為(開業準備行為)であっても、その営業のためにする行為として商行為(附属的商行為)となることがある。
昭和33年6月19日最高裁第一小法廷民集12巻10号1575頁(損害賠償請求)
商行為代理の顕名なき場合の相手方選択
商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでした場合に、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らず、かつ知らなかったことに過失もないときは、相手方は、本人との法律関係と代理人との法律関係のいずれかを選択して主張することができる。
昭和43年4月24日最高裁大法廷民集22巻4号1043頁(売掛代金請求)
商人の報酬請求権
商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。
商行為によって生じた債務の履行の場所
商行為によって生じた債務の履行をすべき場所がその行為の性質又は当事者の意思表示によって定まらないときは、特定物の引渡しは行為の時にその物が存在した場所において、その他の債務の履行は債権者の現在の営業所(営業所がない場合は住所)においてしなければならない。
未成年者の商人資格
未成年者も、営業の許可を得て商人となることができる。
商事法定利率の廃止と民法の法定利率
商行為によって生じた債務の不履行による損害賠償債務の法定利率は、商行為によらない債務と同じく、民法404条の法定利率(年3パーセントを基準とし、3年を一期として変動する)による。
昭和47年5月25日最高裁第一小法廷集民106号153頁(商行為たる契約に基づく債務の不履行を原因とする損害賠償債務と商事債務)
会社の行為の商行為性推定
会社の行為は商行為と推定され、これを争う者において、その行為がその会社の事業のためにするものでないことの主張立証責任を負う。
平成20年2月22日最高裁第二小法廷民集62巻2号576頁(所有権移転登記抹消登記手続等請求本訴,貸金請求反訴,所有権移転登記抹消登記手続請求事件)
事実たる慣習の合意と商法任意規定
契約当事者が商法上の任意規定と異なる慣習に従う旨の合意をしている場合には、それが単なる「事実たる慣習」にすぎないときでも、民法92条により、その慣習が商法上の任意規定に優先する。
民法の強行規定に優先する商慣習法
商慣習法は、民法に優先して適用され(商法1条2項)、民法の強行規定に優先して適用されることもあると解されている。
商法に定めのない事項への商慣習の適用
商事に関し商法に定めのない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは民法の定めるところによる。
商慣習法の存在内容の職権調査
商慣習法は法規範であるから、その存在及び内容は裁判所が職権で調査すべきものであり、その適用を求める当事者が証明責任を負うものではない。
商法の明文と異なる商慣習法の適用
商法の明文の規定と異なる内容の商慣習法が、商法の規定に優先して適用される場合がある。
昭和35年4月22日最高裁第二小法廷民集14巻6号984頁(株式名義書換請求)
相手方不知の開業準備の借入れと時効
営業を行っていなかった個人が開業準備の目的でその目的を知らない相手方から金銭を借り受けた場合、その借入れは開業準備行為として商行為とはならないが、現行法では商行為性の有無にかかわらず、その返還請求権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間、又は権利を行使することができる時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する(民法166条1項)。
昭和33年6月19日最高裁第一小法廷民集12巻10号1575頁(損害賠償請求)
売主の委託なき宅建業者の報酬請求
宅地建物取引業者が、買主からの委託によって土地の売買の媒介をしたにとどまり、売主から委託を受けず、売主のためにする意思もなかった場合には、売主に対して商法512条による報酬を請求することはできない(最判昭44.6.26)。
昭和44年6月26日最高裁第一小法廷民集23巻7号1264頁(報酬金請求)
個人質屋の金銭貸付けの非商行為性
個人である質屋営業者の金員貸付行為は、商行為に当たらない。
昭和50年6月27日最高裁第三小法廷集民115号167頁(抵当権設定登記等抹消登記手続請求)
附属的商行為
商人が使用人を雇用することは、営業のためにする行為として附属的商行為と推定される。
商行為の代理と顕名主義の例外
商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれを行い、かつ、相手方が本人のためにすることを過失なく知らなかった場合において、相手方が代理人との法律関係を主張したときは、本人は、相手方に対し、本人相手方間の法律関係を主張することができない。
昭和43年4月24日最高裁大法廷民集22巻4号1043頁(売掛代金請求)