条文・判例・学説を体系的に整理
贈与の成立(諾成契約)
贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる諾成契約であり、書面によらない動産の贈与も、この意思表示と受諾によって効力を生ずる。
贈与者の担保責任と特定時の状態の推定
贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定され、負担付贈与では負担の限度で売主と同じく担保の責任を負う。
死因贈与の方式(遺言の方式は不要)
死因贈与は、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与であり、その性質に反しない限り遺贈に関する規定が準用されるが(民法554条)、遺言の方式に関する規定は準用されず、遺言の方式によらなくても効力を生ずる。
使用貸借の契約類型と当事者の義務
使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその物を無償で使用及び収益して契約が終了したときに返還することを約することによって効力を生ずる諾成契約であるが、貸主の引渡義務と借主の返還義務とが対価的関係に立つ双務契約ではなく、無償の片務契約である。
借主の死亡と使用貸借・賃貸借の終了
使用貸借は、借主の死亡によって終了するが、賃貸借は、借主(賃借人)の死亡によっては終了せず、賃借人の地位は相続人に承継される。
賃借人の原状回復と通常損耗・経年変化
賃貸借において、賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷について賃貸借が終了したときに原状に復する義務を負うが、通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化については、原状に復する義務を負わない。
負担付贈与の成立
負担付贈与も贈与契約であり、贈与者から受贈者への目的物の引渡しがなくても、当事者の意思表示の合致により効力を生ずる。
書面なき負担付贈与の解除と負担の履行
書面によらない負担付贈与であっても、受贈者が負担した義務を履行した部分については、贈与者は、民法550条により解除することができない。
書面によらない贈与の履行後の解除
書面によらない贈与であっても、贈与者が目的物を引き渡して履行が終わった後は、その部分について、受贈者は民法550条により解除することができない。
負担付贈与の贈与者の担保責任
負担付贈与の贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負うにとどまり、贈与の目的物の価額が負担の価額を上回る部分については担保責任を負わない。
使用貸借の終了時の借主の収去義務
使用貸借が終了したときは、借主は、借用物に附属させた物を収去する義務を負うが、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない。
用法違反使用の損害賠償請求の時効猶予
使用貸借の契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
書面によらない贈与の解除
書面によらない贈与は、履行が終わっていない部分については、各当事者が解除することができる(民法550条)。
建物贈与の履行と書面なき贈与の解除
書面によらない贈与であっても、目的物の引渡し又は所有権移転登記のいずれかがされたときは、民法550条の『履行の終わった部分』に当たり、贈与者は解除することができない。
昭和40年3月26日最高裁第二小法廷民集19巻2号526頁(所有権移転登記抹消請求)
書面による贈与と解除
贈与契約において、贈与者の意思表示が書面によってされている場合には、受贈者の意思表示が書面によってされていないときでも、贈与者は贈与契約の解除をすることができない。
昭和60年11月29日最高裁第二小法廷民集39巻7号1719頁(所有権移転登記抹消登記手続)
負担付贈与と解除
負担付贈与については、贈与者は、受贈者がその負担である義務の履行を怠ったことを理由として、贈与契約を解除することができる(民法553条)。
死因贈与と書面
死因贈与は、書面によることを要せず、当事者の合意のみで成立する。
昭和32年5月21日最高裁第三小法廷民集11巻5号732頁(所有権移転登記手続請求)
使用貸借と第三者への使用収益
使用借主は、貸主の承諾を得なければ、借用物を第三者に使用又は収益させることができない(民法594条2項)。
使用貸借の目的と解除
使用貸借契約は、借主が特定の展示会を開催することを目的とするものであった場合には、貸借期間を合意で決めていなかったとしても、当該展示会の会場としての使用を終えることによって終了する。
使用貸借と付属物の収去
使用借主は、借用物を使用するに当たりその壁面に取り外しができる棚を造り付けた場合、使用貸借契約が終了したときは、その取り外しに過分の費用を要するのでない限り、その棚を収去しなければならない。