条文・判例・学説を体系的に整理
併存的債務引受の引受人と債権者との更改
併存的債務引受の引受人と債権者との間に更改があったときは、引受人は債務者と連帯して債務を負担する者であるから、連帯債務者の一人との更改として、債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
免責的債務引受の引受人の履行拒絶
免責的債務引受の引受人は、債務者の取消権又は解除権の行使によって債務を免れ得た限度で履行を拒めるが、債務者の反対債権による相殺を理由とする同様の拒絶はできず、これとは別に引受時に債務者が主張できた抗弁を承継する。
免責的債務引受の引受人の求償権
免責的債務引受の引受人は、債務者に対して求償権を取得しない。
免責的債務引受による担保権の移転
免責的債務引受において、債権者は、債務者が免れる債務の担保として設定された担保権を、引受人が負担する債務に移すことができ、引受人が設定した担保権であれば、その者の承諾を要しない。
併存的債務引受と求償権
併存的債務引受において、引受人は、引き受けた債務を弁済した場合、債務者に対し、弁済額のうち債務者の負担部分に応じた額を求めることができる。
原債務の取消権と引受人の履行拒絶
債務者が債権者に対して債務の発生原因行為について取消権(詐欺取消権)を有するときは、引受人は、債務者がその取消権の行使によってその債務を免れるべき限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができる(併存的債務引受につき民法471条2項、免責的債務引受につき民法472条の2第2項)。
免責的債務引受の効力が生じる承諾・通知
債務者と引受人となる者との間で免責的債務引受契約がされたときは、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってその効力を生ずる(民法472条3項)。
免責的債務引受と担保の移転
免責的債務引受において、債権者は、引受け前の債務の担保として設定された担保権(抵当権等)を引受人が負担する債務に移すことができる(民法472条の4第1項)。
併存的債務引受と一方の債務の時効消滅
併存的債務引受後に原債務者の債務が時効により消滅しても、その効力は引受人に及ばず、債権者は引受人に債務の全額を請求することができる。
債権者・引受人間の免責的債務引受
債権者と引受人との契約による免責的債務引受は、債権者が債務者にその契約をした旨を通知した時に効力を生ずる。
大正10年5月9日大審院第二民事部民録27巻15号899頁(売掛代金請求の件)
免責的債務引受人の解除権
免責的債務引受がされても、引受人は原契約の当事者たる地位を承継せず、原契約を解除する権限を取得しない。
免責的債務引受と第三者設定担保の移転
免責的債務引受に際し、債権者が旧債務を担保するため第三者の設定した抵当権を引受人の債務へ移すにはその第三者の承諾を得なければならず、承諾を得て移転されない限り、その抵当権は債務者が免れた債務とともに附従性により消滅する。
併存的債務引受と連帯債務
併存的(重畳的)債務引受があった場合には、特段の事情のない限り、原債務者と引受人は連帯債務を負う。
昭和41年12月20日最高裁第三小法廷民集20巻10号2139頁
免責的債務引受の合意当事者の範囲
免責的債務引受は、債権者と引受人との間の契約によっても成立する。
免責的債務引受の保証移転と書面承諾
免責的債務引受けでも、保証人の書面又は電磁的記録による承諾を得て保証を移転できる。
債権者と引受人の併存引受と債務者意思
債権者と引受人との間の合意による併存的債務引受は、債務者の意思に反してもすることができる。
大正15年3月25日大審院第一民事部民集5巻219頁(売掛代金請求事件)
併存的債務引受人の消滅時効援用
併存的債務引受がされた場合、引受人は、引受けに係る債務の消滅時効期間が債務引受までに満了していたときでも、時効を援用することができる。
債務者と引受人の併存引受と受益意思表示
債務者と引受人との契約による併存的債務引受けは、債権者が引受人に承諾した時に効力を生ずる。