条文・判例・学説を体系的に整理
未成年者の同意なき負担付贈与の取消し
未成年者が法定代理人の同意を得ないでした法律行為は、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為を除き取り消すことができるから、負担付贈与の申込みの承諾は取り消すことができる。
未成年者の許された財産の目的外処分
法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において未成年者が自由に処分することができるが、目的の範囲外の処分は、相手方が目的の範囲外であることを知らなかったとしても、取り消すことができる。
未成年者の営業許可取消しの将来効
法定代理人が未成年者に営業を許可した後、その営業に堪えることができない事由が生じたため許可を取り消したときは、取消し(撤回)は将来に向かってのみ効力を生じ、既にした行為の効力に影響しない。
未成年者への追認取得の催告
保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をし、期間内に追認を得た旨の通知がないときに取り消したものとみなされるのは、被保佐人・被補助人に対する催告の場合であり、未成年者に対する催告にはこの効果はない。
成年後の無異議弁済と全取消権者の法定追認
取り消すことができる行為について、追認をすることができる時以後に異議をとどめないで全部又は一部の履行をしたときは、追認をしたものとみなされ(法定追認)、その行為は確定的に有効となるから、契約当時の法定代理人であった者もその契約を取り消すことができなくなる。
意思能力の意義
意思能力とは、自己の行為の法的な結果を弁識する能力(事理弁識能力)をいい、自己の行為の責任を弁識する能力(責任能力)とは異なる。
意思無能力による無効と第三者
契約の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その契約は無効であり、この無効は善意無過失の第三者にも対抗することができる。
意思無能力者の返還義務(現存利益)
行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為に基づく債務の履行として給付を受けたときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
申込者の意思能力喪失と申込みの効力
申込者が申込みの通知を発した後に意思能力を有しない常況にある者となった場合に、その相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは効力を有しない。
意思能力を欠く婚姻届作成と婚姻の効力
婚姻の当事者が婚姻届を作成した時に意思能力を有しないことは、婚姻をする意思がないものとして婚姻の無効の原因となるのであり、婚姻の取消しの原因となるのではない。
詐術を用いた制限行為能力者の取消不可
制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときはその行為を取り消すことができず、法定代理人等の同意を得たと信じさせるために詐術を用いたときも同様である。
補助開始の審判と保佐開始の原因
補助開始の審判は、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者を対象とし、後見開始又は保佐開始の原因がある者については補助開始の審判をすることができない(民法15条1項ただし書)。
補助人の同意に代わる許可
補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
補助開始の審判の取消し
補助開始の原因が消滅したときは、家庭裁判所は、職権ではなく、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判を取り消さなければならない(民法18条1項)。
補助人の代理権と被補助人の法律行為
家庭裁判所が特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をした場合であっても、被補助人は、その法律行為を自らすることができる。
未成年者と日用品購入の取消制限
未成年者が親権者の同意を得ずにした法律行為は取り消すことができ、日用品の購入その他日常生活に関する行為を取消しの対象から除く民法9条ただし書のような規定は、未成年者については置かれていない。
制限行為能力者の取消権の消滅時効
成年被後見人の行為であることを理由とする取消権の消滅時効の起算点は、成年被後見人が行為能力者となった時に限られない。
書面によらない贈与の解除と取消しの関係
贈与者である未成年者が、法定代理人の同意を得ずに未履行の書面によらない贈与を解除した場合、単に義務を免れる法律行為に当たるため、同意がないことを理由にその解除を取り消すことはできない。
処分を許された財産の処分
法定代理人が目的を定めて処分を許した財産はその目的の範囲内において、目的を定めないで処分を許した財産はその全部について、未成年者が法定代理人の同意を得ずに自由に処分することができる。
未成年者の営業許可と取消権の範囲
営業を許可された未成年者は、営業に関しない行為についてはなお取消権を有する。