条文・判例・学説を体系的に整理
条約承認と参議院の議決期間
条約締結に必要な国会の承認については、憲法60条2項が準用され(憲法61条)、参議院が、衆議院の可決した条約の承認案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする(60日ではなく30日)。
条約承認と衆議院の両院協議会請求義務
衆議院先議の条約について参議院が衆議院の送付案を否決したときは、衆議院は両院協議会を求めなければならない。
国会の承認を得られなかった条約の効力
条約の締結は内閣の権限であるが(憲法73条3号)、事前に国会の承認を求めたのに得られなかった条約を内閣が締結することはできず、また、事後に国会の承認を得られなかった条約は、国内法的にその効力を有しない(国際法上の効力については争いがある)。
条約の国会承認と衆議院の優越
条約の締結に必要な国会の承認については、予算の議決の例により、参議院が衆議院と異なった議決をした場合に、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が衆議院の可決した条約を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に議決しないときに、衆議院の議決が国会の議決となり、衆議院の3分の2以上の再可決は要しない。
地方公共団体の権能の伝来説と行政権
地方公共団体の権能も国家の統治権から伝来し国家の法律による承認・委任に依拠するとする伝来説は、統治権のうち行政に関する部分は憲法上国と地方とに配分されるとする見解の根拠とはならない。
内閣総理大臣と70条の欠缺
内閣総理大臣は国会議員でなければならないから、国会議員の当選の効力に関する訴訟の結果自己の当選が無効となったときは憲法70条の「内閣総理大臣が欠けたとき」に当たり内閣は総辞職をしなければならない。
条約の違憲判断と国際法上の効力
条約が裁判所の違憲審査の対象となると考える見解によれば、条約が裁判所によって違憲と判断された場合、その国内法上の効力は否定されるが、国際法上の効力まで当然に否定されるわけではない。
行政権と内閣の指揮監督
行政権が内閣に属する旨を定める憲法65条によれば、あらゆる行政を内閣が自ら行う必要まではなく、全ての行政について内閣が直接に指揮監督権を持つことが要求されるわけではない。
文民条項と自衛官
憲法66条2項は内閣総理大臣及び国務大臣が「文民」であることを要求しており、政府は、自衛官はその職にある限り「文民」に当たらないと解しているから、現職の自衛官を内閣総理大臣及び国務大臣に任命することはできない。
内閣総理大臣の国務大臣任免権
憲法68条は、内閣総理大臣が国務大臣を任命すること(その過半数は国会議員の中から選ばれなければならない)、及び内閣総理大臣は任意に国務大臣を罷免することができることを定めている。
内閣総理大臣の辞職と総辞職
内閣の総辞職について定める憲法70条の「内閣総理大臣が欠けたとき」に内閣総理大臣の辞職の場合を含まないとする見解によっても、内閣総理大臣がその首長たる地位に鑑みれば、内閣総理大臣が辞職したときには内閣は総辞職しなければならない。
条約の国会承認と対象範囲
内閣が条約を締結するには国会の承認を経ることが憲法上必要であるとされる趣旨は国会による政府の統制を確保することにあるが、名称・内容のいかんを問わず国家間の合意の全てについて承認が必要とされるわけではない。
条約締結権と内閣
憲法73条3号は条約を締結することを内閣の事務と定め、事前又は事後に国会の承認を経ることを要求しており、条約締結は内閣の権限である。
内閣の憲法改正案提出権の肯否
改正案を国会に提案する権限を内閣が有するか否かについて肯定説と否定説が対立しており、否定説は内閣の発案権を認めると国会の自主的審議権が害されるとの批判があるが、肯定説からは各議院は内閣の改正案に対する修正権を持つので国会の自主的審議権を害するおそれはないとの反論が考えられる。
条約の公布と成立
条約は国会の承認及び内閣による締結の後、天皇が公布するが、条約の成立は締結・批准によるのであって、天皇の公布は成立要件ではない。
国務大臣の任命と天皇の認証
内閣総理大臣による国務大臣の任命には天皇の認証が必要であるが(憲法7条5号)、当該認証は天皇の国事行為として内閣の助言と承認の下で行われる形式的・儀礼的行為であり、内閣はこの認証に対する助言と承認を拒むことができない。
内閣総理大臣の国務大臣任免権
内閣総理大臣は、憲法68条に基づき国務大臣を任命し、また任意に罷免する権限を有しており、これは内閣総理大臣の首長としての地位を裏付けるものである。
国務大臣の罷免と天皇の認証
天皇の認証を、すでに成立した任免を公に証明する行為と解する立場からは、内閣総理大臣による国務大臣の罷免の効力発生に天皇の認証は必要ではない。
条約締結に対する国会の事前・事後承認
条約を締結するには、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
条約の締結と批准書の認証
条約を締結する権限は内閣にあり(憲法73条3号)、批准を要する条約についての批准書の認証は天皇の国事行為である(7条8号)。