条文・判例・学説を体系的に整理
証明責任を負わない当事者の反証の程度
主要事実について証明責任を負わない当事者の立証(反証)は、当該主要事実の存在について裁判官に真偽不明の心証を抱かせれば足りる。
法律上の事実推定と反対事実の本証
法律上の事実推定の場合、推定を受ける主要事実について証明責任を負う当事者が前提事実を証明し、相手方が前提事実について反証できないときは、相手方は、推定を覆すために、当該主要事実の不存在を証明(本証)しなければならない。
法律上の権利推定と全権利不存在の立証
適法な占有権原を基礎付ける複数の権利についての法律上の権利推定を覆すためには、相手方は、各権利のうち一つだけでなく、全ての権利につき、その権利を発生させる事実が存在しないことを証明しなければならない。
弁論準備終結後の証拠申出の時期制限
証拠の申出は弁論準備手続の終結後にもすることができ、終結後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがあるときは、終結前に提出できなかった理由を説明しなければならない。
第三者の文書提出命令不服従と過料
第三者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、決定で、二十万円以下の過料に処する。
証拠申出の証明すべき事実の特定
証拠の申出は、証明すべき事実を特定してしなければならない。
未成年の当事者本人の尋問
当事者が未成年であっても、当事者本人の尋問を行うことができる。
当事者本人尋問の職権による実施
裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる。
文書提出命令申立ての文書所持の証明
文書提出命令の申立てをする当事者は、文書の所持者として表示した者が当該文書を所持していることを証明する必要がある。
書証申出に対する証拠調べの要否
裁判所は、当事者が申し出た証拠で必要でないと認めるものは、取り調べることを要しない(書証の申出の場合も同様であり、申出に係る文書を必ず取り調べなければならないわけではない)。
電気通信事業従事者の証言拒絶権
電気通信事業に従事する者及びその職を退いた者は、民事訴訟法197条1項2号の類推適用により、職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて証言を拒むことができる。
令和3年3月18日最高裁第一小法廷民集75巻3号822頁(検証物提示命令に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)
職業上の秘密の黙秘すべきものの意義
民事訴訟法197条1項2号の「黙秘すべきもの」とは、一般に知られていない事実のうち、弁護士等に事務を行うこと等を依頼した本人が、これを秘匿することについて、単に主観的利益だけではなく、客観的にみて保護に値するような利益を有するものをいう。
平成16年11月26日最高裁第二小法廷民集58巻8号2393頁(文書提出命令申立て一部認容決定に対する許可抗告事件)
証言拒絶の理由の疎明
証言拒絶の理由は、疎明しなければならない(証明を要しない)。
証人尋問の職権による実施の可否
証人尋問は、当事者の申出に基づいて行われるのが原則であり、裁判所が職権で証人の尋問をすることは、民事訴訟では認められていない(職権で尋問をすることができるのは、当事者本人の尋問(207条1項)など法定の場合に限られる)。
文書提出命令申立てによる書証の申出
書証の申出は、文書を提出し、又は文書の所持者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない。
捜索差押許可状の法律関係文書該当性
警察官が文書提出命令の申立人の住居等において行った捜索差押えに係る捜索差押許可状は、当該警察官が所属し、当該文書を所持する地方公共団体と文書提出命令申立人との間において、民事訴訟法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当する。
平成17年7月22日最高裁第二小法廷民集59巻6号1837頁(一部文書提出命令に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件)
文書の成立の真正を争った場合の過料
当事者又は訴訟代理人が故意又は重大な過失により真実に反して文書の成立の真正を争ったときは、裁判所は、決定で、10万円以下の過料に処することができる。
印影と名義人の印章による真正の推定
私文書中の作成名義人の氏名の下の印影が当該名義人の印章によって顕出されたものであるときは、反証のない限り、その印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと事実上推定され、民事訴訟法228条4項により、文書が真正に成立したものと推定されるが、この推定は反証によって覆すことができるから、文書の成立の真正を争うことができなくなるわけではない。
昭和39年5月12日最高裁第三小法廷民集18巻4号597頁(求償債権等請求)
訴え提起前の証拠保全
裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、証拠調べをすることができ、訴えの提起前であっても申し立てることができる。
相手方の指定不能の場合の証拠保全申立て
証拠保全の申立ては、相手方を指定することができない場合においても、することができる(この場合には、裁判所は、相手方となるべき者のために特別代理人を選任することができる)。