条文・判例・学説を体系的に整理
支払督促の発付権限
裁判所書記官には、支払督促を発する権限がある。
筆界確定訴訟の当事者適格
筆界確定の訴えにおいて、被告が筆界の全部に接する部分を時効取得しても、原告は原告適格を喪失しない。
昭和58年10月18日最高裁第三小法廷民集37巻8号1121頁(境界確定等)
前審弁論のみ関与した裁判官の除斥の否定
裁判官が前審で口頭弁論に関与していても、その判決に関与していなければ、民事訴訟法23条1項6号の「前審の裁判に関与したとき」に当たらず、上訴審の職務の執行から除斥されない。
昭和37年10月12日最高裁第二小法廷集民62号777頁(損害賠償請求)
忌避原因不知の弁論と忌避権の保持
当事者が忌避の原因のある裁判官の面前で弁論をし、又は弁論準備手続で申述をしても、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、その裁判官を忌避することができる(民事訴訟法24条2項ただし書)。
除斥の裁判機関
合議体の構成員である裁判官の除斥については、その裁判官の所属する裁判所が、決定で、裁判をする。
除斥忌避申立てによる訴訟停止
除斥又は忌避の申立てがあったときは、急速を要する行為を除いて、その申立てについての決定が確定するまで訴訟手続を停止しなければならない。
忌避裁判前の訴訟行為の効力
忌避の原因があるだけでは裁判官の訴訟行為は当然には無効とならず、その裁判官が判決に関与したことは、除斥原因のある裁判官の関与と異なり、当然には上告理由・再審事由に当たらない。
昭和29年10月26日最高裁第三小法廷民集8巻10号1979頁(仮処分異議)
賃貸物返還の複数解除原因と訴訟物
賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権は1個の賃貸借契約につき1個であり、賃料不払による解除と用法違反による解除など終了原因が複数主張されていても、訴訟物は1個であり、終了原因は攻撃方法にすぎない。
貸金債権と利息債権の訴訟物
貸金返還請求権(消費貸借契約に基づく)と利息請求権(利息契約に基づく)は法的性質を異にする別個の請求権であり、両者をあわせて請求する訴えの訴訟物は複数である。
貸金請求と保証債務請求の訴訟物
消費貸借契約に基づく貸金返還請求権と保証契約に基づく保証債務履行請求権は、発生原因を異にする別個の請求権であり、給付額が同一でも、両者を択一的に主張する訴えの訴訟物は2個である。
同一身体傷害の損害項目と訴訟物
同一事故により生じた同一の身体傷害を理由とする財産上の損害と精神上の損害の賠償請求権は1個であり、これらをあわせて請求する場合も訴訟物は1個であって、治療費・逸失利益・慰謝料といった損害項目ごとに訴訟物が異なるわけではない(最判昭48.4.5)。
昭和48年4月5日最高裁第一小法廷民集27巻3号419頁(損害賠償請求)
夫婦同居審判の非公開性
夫婦の同居を命じる審判の手続は、非公開で行われる(最大決昭40.6.30、家事事件手続法33条)。
昭和40年6月30日最高裁大法廷民集19巻4号1089頁(夫婦同居申立事件の審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告)
夫婦同居審判の職権探知主義
夫婦の同居を命じる審判の手続においては、当事者の弁論主義によらず、職権による事実の探知及び必要な証拠調べ(職権探知主義)により審理が行われる(最大決昭40.6.30)。
昭和40年6月30日最高裁大法廷民集19巻4号1089頁(夫婦同居申立事件の審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告)
夫婦同居審判の非訟事件性
夫婦の同居を命じる審判は、同居義務自体を確定するものではなく、同居の時期、場所、態様等について具体的内容を形成する処分であり、本質的に非訟事件の裁判である(最大決昭40.6.30)。
昭和40年6月30日最高裁大法廷民集19巻4号1089頁(夫婦同居申立事件の審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告)
夫婦同居審判後の同居義務存否の訴訟
夫婦の同居を命じる審判が確定した後も、審判の形成的効力は争えないが、その前提である同居義務自体については、訴え(公開の法廷における対審及び判決)によって争う途が閉ざされていない(最大決昭40.6.30)。
昭和40年6月30日最高裁大法廷民集19巻4号1089頁(夫婦同居申立事件の審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告)
除斥原因ある裁判官の訴訟手続関与
裁判官が自らに除斥の原因があることを知らずに合議体の構成員として訴訟手続に関与した場合、除斥の原因のない裁判官によって構成される裁判所が当該手続をやり直す必要がある。
忌避と当事者の申立て
裁判官について忌避の原因があるときでも、裁判所は、当事者の申立てがなければ、当該裁判官を職務の執行から排除することはできない。
忌避申立てを認容する決定
裁判官に対する忌避を理由があるとする決定に対しては、不服を申し立てることができない。
裁判所書記官の除斥・忌避
裁判所書記官については、除斥及び忌避の規定が準用され、裁判所書記官は除斥の対象にも忌避の対象にもなる。
未主張の死因贈与事実の認定と弁論主義
所有権に基づく移転登記請求訴訟で、当事者のいずれも主張していない権利取得原因(死因贈与など)の主要事実を裁判所が認定して請求を棄却することは、弁論主義に反する。
昭和55年2月7日最高裁第一小法廷民集34巻2号123頁(遺留分減殺)