条文・判例・学説を体系的に整理
支配人の競業禁止と他社の取締役就任
支配人は、商人の許可を受けなければ、会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となってはならない。
種類・事項の委任を受けた使用人の権限
商人の営業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する(裁判上の行為は含まない)。
支配人の代理権の範囲
支配人は、商人に代わって、その営業に関し、裁判上の行為及び裁判外の行為をする権限を有する。
支配人の権限と重要な使用人選任
監査役会設置会社がその本店の支配人を選任した場合、当該支配人は取締役会の決定がなくとも支配人以外の重要な使用人を選任することはできない。
支配人の代理権消滅と登記
個人商人の支配人の代理権の消滅は、その登記の後でも、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは対抗できない。
支配人の代理権の範囲
個人商人のある営業所のみの支配人として選任された者が他の営業所の営業に関する行為を行った場合、その者は、善意の第三者に対しても、当該他の営業所の支配人と同一の権限を有するものとはみなされない。
表見支配人と営業所の実質
会社の支店の事業の主任者であることを示す名称を付した使用人が、支店の支配人と同一の権限を有するものとみなされるのは、当該支店が営業所としての実質を備えている場合に限られる。
昭和37年5月1日最高裁第三小法廷民集16巻5号1031頁(約束手形金請求)
支配人の代理権濫用
支配人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為(会社の事業に関する行為)をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は無権代理行為とみなされ(民法107条)、会社はその行為について責任を負わない。
支配人の選任機関
会社法362条が適用される取締役会設置会社では支配人の選任・解任を取締役に委任できないが、監査等委員会設置会社には一定要件下の取締役への委任、指名委員会等設置会社には執行役への委任の規律がある。
支配人の任期
支配人には取締役のような法定の任期は存在しない。
支配人の使用人選任権限
支配人は、会社に代わってその事業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有し、他の使用人を選任し、又は解任することができる。
支配人の競業避止義務
支配人は会社の許可を受けなければ、自ら営業を行い、または他の会社の取締役、執行役もしくは業務を執行する社員となることができない。
本店又は支店への支配人設置
商人は、支配人を営業所(本店・支店のいずれでもよい)に置いて営業を行わせることができる(商法20条)。
支配人の裁判上の代理権
支配人は、弁護士でなくとも、商人に代わってその営業に関する裁判上の行為をする権限を有する。
支配人の競業避止義務
支配人は、商人の許可を受けないで、自ら営業を行うことや他の商人の使用人となることができない。
営業所の実質を欠く場所の表見支配人
表見支配人の規定(商法24条)が適用されるのは、商法上の営業所としての実質を備えた本店・支店の使用人に限られ、営業所としての実質を欠く場所の使用人に支配人類似の名称を付しても表見支配人に該当しない(最判昭37.5.1)。
昭和37年5月1日最高裁第三小法廷民集16巻5号1031頁(約束手形金請求)
支配人代理権の内部制限と共同行使登記
支配人の代理権に加えた制限(複数の支配人が共同してのみ代理権を行使する旨など)は、善意の第三者に対抗することができず(商法21条3項)、これを登記することはできない。
支配人解任の登記と対抗要件
商人が支配人を解任したにもかかわらずその旨の登記をしていない場合、解任を知らなかった善意の第三者に対しては、商人は解任の事実を対抗することができない。
未登記の支配人の契約と商人の有効主張
商人が支配人を選任したがその登記をしていない場合でも、選任により支配人は代理権を有し、その支配人が商人のために締結した契約は有効であるから、商人は選任の事実を知らない相手方に対しても契約の有効を主張することができる(商法9条1項は登記がないことを信頼した第三者を保護する趣旨である)。
支配人解任登記後の表見代理の可否
商人が支配人の解任を登記した後は、第三者が正当な事由によって登記を知らなかったときでない限り善意の第三者にも解任を対抗でき、解任された支配人が契約を締結しても民法112条の表見代理が成立する余地はない。
昭和49年3月22日最高裁第二小法廷民集28巻2号368頁(約束手形金請求)