条文・判例・学説を体系的に整理
新設分割の債務承継と債権者承諾
新設分割設立会社は新設分割計画の定めに従い新設分割会社の債務を承継し、この承継には債務に係る債権者の個別の承諾を要しない。
新設分割無効の訴えの被告
会社の新設分割の無効の訴えの被告は、新設分割をする会社及び新設分割により設立する会社である。
吸収分割の議決権なき株主の株式買取請求
吸収分割をする株式会社が株主総会の決議によって吸収分割契約の承認を受けなければならない場合において、当該株主総会において議決権を行使することができない株主は、当該株式会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
事業承継の対価株式交付と検査役調査
吸収分割において承継会社が分割会社に株式を交付する場合は検査役の選任の申立ては不要であり、事業譲渡の対価として株式を交付する場合に現物出資の規制(会社法207条)が問題となる。
吸収分割の新株予約権者への権利交付
吸収分割承継会社が吸収分割株式会社の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる承継会社の新株予約権を交付することは、吸収分割契約で定めることができるが、事業譲渡にはこのような仕組みがない。
吸収分割の債務免責承継と債権者同意
吸収分割では、免責的な債務の承継について債権者の個別の同意を要せず、債権者に異議を述べる機会を与える手続(会社法789条)によるが、事業譲渡では、債務を免責的に承継させるには債権者の個別の同意を要する。
吸収分割の事後開示書面等の作成
吸収分割株式会社は、効力発生日後遅滞なく、吸収分割承継会社と共同して、承継した権利義務その他の吸収分割に関する事項として法務省令で定める事項を記載し又は記録した書面又は電磁的記録を作成しなければならないが、事業譲渡については、このような効力発生後の書面等の作成を義務づける規定はない。
承継会社の反対株主の株式買取請求権
吸収分割をする場合、会社法797条1項ただし書所定の簡易手続による除外に当たらなければ、承継会社(存続株式会社等)の反対株主は、会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる(会社法797条1項)。
略式吸収分割と株主総会
吸収分割承継会社が吸収分割会社の特別支配会社である場合において、吸収分割会社が公開会社かつ種類株式発行会社でなく対価として譲渡制限株式を交付するときであっても、吸収分割会社は株主総会の決議による吸収分割契約の承認を受けることを要しない。
新設分割の反対株主の株式買取請求権
新設分割会社が株主総会の決議によって新設分割計画の承認を受けなければならないときは、当該株主総会において議決権を行使することができない株主も、反対株主として、当該新設分割会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
特別支配会社への吸収分割と反対通知
吸収分割承継株式会社が吸収分割株式会社の特別支配会社である場合、一定数の株主が反対通知をしても吸収分割株式会社は株主総会決議による承認を要しない。
簡易分割と反対株主の通知
承継させる資産の帳簿価額の合計額が吸収分割株式会社の総資産額の5分の1(定款でより低い割合を定めた場合はその割合)を超えない場合には、吸収分割株式会社の株主が反対通知をしたときであっても、吸収分割株式会社は株主総会決議による承認を要しない。
簡易分割と株式買取請求
承継させる資産の帳簿価額の合計額が総資産額の5分の1(定款でより低い割合を定めた場合はその割合)を超えない場合、吸収分割株式会社の反対株主は株式買取請求をすることができない。
吸収分割と債権者異議
吸収分割により吸収分割株式会社に対して債務の履行を請求することができなくなる債権者は、簡易分割の場合であっても異議を述べることができる。
新設分割と商号続用
預託金会員制ゴルフクラブの名称が事業主体を表示するものとして用いられている場合に、会社分割により事業を承継した設立会社がその名称を引き続き使用しているときは、特段の事情のない限り、会社法22条1項の類推適用により預託金返還義務を負い、分割会社の商号を引き続き使用する新設分割設立会社も、これより強い理由から分割会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
平成20年6月10日最高裁第三小法廷集民228号195頁(預託金返還請求事件)
吸収分割と異議期間の起算日
吸収分割をする株式会社が株主総会決議による承認を受ける場合において、債権者が異議を述べることができる期間の初日は、当該承認があった日後の日でなければならないという規定はない。
吸収分割と差押えの優劣
同一の不動産について、その差押えと吸収分割による権利義務の承継との間の優劣は、民法177条により、不動産の差押えの登記の時と吸収分割承継会社が承継した不動産について権利移転の登記をした時の先後で決まり、吸収分割の効力発生日や吸収分割の登記(商業登記)の先後では決まらない。
新設分割による親会社株式の承継
新設分割により設立される会社は、新設分割によって、その親会社の株式を分割会社から承継することができる。
新設分割設立会社の成立時期
新設分割設立株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立し(会社法49条、814条)、新設分割計画に効力発生日を定めてその日に成立させることはできない。
新設分割計画の承認決議
新設分割をする株式会社は原則として株主総会の特別決議で新設分割計画を承認するが、会社法805条の簡易分割に当たる場合は除かれ、合同会社の社員同意等の手続とは区別される。