条文・判例・学説を体系的に整理
法律と同一目的の条例による厳しい規制
最大判昭和50年9月10日は、条例と国の法令とが同一の目的に出たものであっても、国の法令が必ずしも全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、各地方公共団体が地方の実情に応じて別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、両者の間に矛盾抵触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じないとした。
昭和50年9月10日最高裁大法廷刑集29巻8号489頁(集団行進及び集団示威運動に関する徳島市条例違反、道路交通法違反)
憲法95条の住民投票と複数自治体の法律
憲法95条に基づく住民投票が実施された特別法には、旧軍港市転換法のように横須賀市・呉市・佐世保市・舞鶴市の4市を対象とするものがあり、実施された法律は一つの地方公共団体のみに適用されるものに限られない。
地方議会議員の特権の不存在と解職請求
地方公共団体の議会の議員には、憲法上、国会議員のような免責特権(憲法51条)も不逮捕特権(憲法50条)も保障されておらず、法律上、住民による解職請求(地方自治法80条)が認められている。
地方公共団体の長と議員の選挙・兼職
地方公共団体においては、議会の議員だけでなく長も住民による直接選挙によって選出され、長と議会の議員との兼職は禁止されており、国会が国権の最高機関であるのと異なり、地方議会は自治権の最高機関とはされていない。
地方公共団体の長の議会解散権
地方公共団体の長は、議会が長の不信任の議決をした場合には、通知を受けた日から10日以内に議会を解散することができる。
条例の罰則制定と地方自治法上の制限
条例は、住民の代表機関である議会の議決によって成立する民主的な立法であり、罰則を設けることはできるが(憲法31条・地方自治法14条3項)、その罰則には、法令に特別の定めがあるものを除き、2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料という制限が課されている。
95条の住民投票
憲法95条は「一の地方公共団体のみに適用される特別法」について住民投票を規定するが、「一の地方公共団体」は「一つの」ではなく「特定の」地方公共団体を意味するものであるから、複数の地方公共団体に適用される法律についても同条の規定する住民投票が必要になる場合がある。
地方自治特別法と住民投票
憲法95条が地方自治特別法に住民の過半数の同意を求めるのは特定の地方公共団体の本質に関わるような不利益な特例を設けることを防止する趣旨であるとする見解と、憲法95条は国会の単独立法権の例外を認めるもので地方公共団体が独自の条例を制定する権限を有することの根拠規定の一つであるとする見解は、両立する。
直接請求制度と憲法上の要請
憲法93条2項は地方公共団体の長・議会の議員を住民が直接選挙することを定めているにとどまり、地方自治法に定める議会の解散請求や議員・長の解職請求の制度それ自体は憲法上の要請ということはできない。
条例制定改廃の直接請求と住民自治
地方公共団体の長に対する住民による条例の制定・改廃の直接請求制度は、地方自治の本旨のうち、団体自治ではなく住民自治を実現するものとして認められる。
選挙管理委員の公選と立法政策
憲法93条2項は長・議員のほか「法律の定めるその他の吏員」を住民が直接選挙すると定めるが、どの吏員を公選とするかは法律に委ねられており、選挙管理委員を公選とすべきことは憲法上の要請ではない(地方自治法は議会が選挙する)。
町村総会制度の合憲性
地方自治法94条が町村について条例で議会を置かず選挙権を有する者の総会を設けることができると規定することは、住民自身で構成される議事機関を認めるものであり、憲法93条1項に違反しない。