条文・判例・学説を体系的に整理
信書開封罪の成立と内容の確認
信書開封罪は、正当な理由がないのに封をしてある信書を開けたことによって成立し、信書の内容を知ることは要件とされない。
退職者の秘密漏示罪の主体性
秘密漏示罪の主体には、医師、弁護士などの職にある者だけでなく、これらの職にあった者も含まれるから、既に同職にない者も同罪の主体となる。
精神鑑定で知った秘密と秘密漏示罪
医師が、医学的判断を内容とする鑑定を命じられ、その過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為は、秘密漏示罪に該当し、「人の秘密」には、鑑定対象者本人の秘密のほか、鑑定の過程で知り得た鑑定対象者本人以外の者の秘密も含まれる。
平成24年2月13日最高裁第二小法廷刑集66巻4号405頁(秘密漏示被告事件)
弁護士が業務外で知った秘密の漏示
弁護士が、業務とは無関係に偶然知った人の秘密を漏らしても、秘密漏示罪は成立せず、同罪は、業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らした場合に成立する。
特定少数者への漏示と秘密漏示罪
秘密漏示罪は、業務上知り得た人の秘密を他人に告知した場合に成立し、特定かつ少数の人にとどまり、不特定又は多数の人に秘密が漏れなかったときでも成立する。
秘密漏示罪の「人の秘密」と後の公開可能性
最決平24.2.13は、鑑定資料である供述調書等に記載された少年らの秘密について、後に裁判手続等で公開される可能性があることを理由に除外することなく、「人の秘密」として秘密漏示罪の成立を認めた(公開の可能性については明示していない)。
平成24年2月13日最高裁第二小法廷刑集66巻4号405頁(秘密漏示被告事件)
秘密漏示罪と医師の業務
医師が裁判所から医学的判断を内容とする精神鑑定を命じられた場合、その鑑定は医師の業務として行うものであるから、鑑定の過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らせば、刑法134条1項の秘密漏示罪が成立し得る。
平成24年2月13日最高裁第二小法廷刑集66巻4号405頁(秘密漏示被告事件)
鑑定対象者の秘密と「人の秘密」
医師が鑑定を命じられた場合の刑法134条1項の「人の秘密」には、鑑定対象者本人の秘密が含まれ、鑑定を命じた機関の秘密に限られない。
平成24年2月13日最高裁第二小法廷刑集66巻4号405頁(秘密漏示被告事件)
鑑定医師の秘密漏示罪の主体性
最決平24.2.13は、精神科の医師である被告人が家庭裁判所から命じられた精神鑑定の過程で知り得た少年らの秘密を漏らした行為につき、医師がその業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密の漏示として刑法134条1項の秘密漏示罪の成立を認めており、行為者が同項所定の主体である医師の身分を有することを前提としている。
平成24年2月13日最高裁第二小法廷刑集66巻4号405頁(秘密漏示被告事件)
秘密漏示罪の法人団体の秘密
最決平24.2.13は、秘密漏示罪(刑法134条1項)の「人の秘密」として鑑定対象者である少年及びその実父という自然人の秘密の漏示を認めたにとどまり、法人・団体の秘密が「人の秘密」に含まれるかどうかについては判示していない。
平成24年2月13日最高裁第二小法廷刑集66巻4号405頁(秘密漏示被告事件)