条文・判例・学説を体系的に整理
強制性交犯のビデオカセットと没収
被害者に犯行の録画を知らせて告訴等を断念させる目的で用いた録画物は、刑法19条1項2号の犯罪行為の用に供した物に当たり没収の対象となる。
平成30年6月26日最高裁第一小法廷刑集72巻2号209頁(強姦未遂,強姦,強制わいせつ被告事件)
犯罪行為によって得た物と必要的没収
犯罪行為によって得た物(刑法19条1項3号)は、任意的没収の対象であり、必要的没収の対象ではない。
犯罪行為の用に供した物の没収と責任無能力
行為者が責任無能力を理由に無罪の言渡しをされたときは、主刑を科すことができないため、付加刑である没収も科すことができない。
犯罪報酬の対価物と没収
犯罪行為の報酬として得た貴金属を売却して得た現金は、刑法19条1項4号の「前号に掲げる物の対価として得た物」に該当し、追徴ではなく没収の対象となる。
没収の対象と犯人以外の所有物
没収の対象は犯人の所有物に限られず、犯人以外の者に属する物であっても、犯罪後に情を知って取得された場合等には刑法19条2項ただし書により没収することができる。
特別予防論とその批判
特別予防論は、刑罰を犯罪防止の手段とし、その目的を、行為者の危険性に着目して、刑罰を科すことによって行為者が将来再び犯罪を行うのを予防することにあるとするが、刑罰と保安処分の区別がなくなってしまうとの批判がある。
一般予防論とその批判
一般予防論は、刑罰を犯罪防止の手段とし、その目的を、一般人を威嚇して、一般人による将来の犯罪を予防することにあるとするが、刑罰は重ければ重いほどよいということになってしまうとの批判がある。
相対的応報刑論
相対的応報刑論は、刑罰とは犯罪行為を理由とする非難として加えられる苦痛であるとしつつ、責任の範囲内で、特別予防や一般予防の目的にも配慮することができるとする見解である。
応報刑論と責任主義
応報刑論は、刑罰を、犯罪行為を理由に行為者に対する非難として加えられる苦痛と理解し、責任に応じた刑罰のみを正当化することで責任主義に沿って罪刑の均衡を図る見解であるが、犯罪予防のために必要な刑であっても責任に対応する刑を超える刑を科すことができなくなるとの批判がある。
応報刑論の意義
応報刑論は、刑罰を犯罪に対する非難を含む応報と捉え、正義の実現という観点から犯罪に対する反作用であること自体に正当化根拠を求める立場であり、自由な意思で犯罪を決意し実行した者の意思決定を回顧的に非難する点で非決定論(意思自由論)を前提とする。
相対的応報刑論の内容
相対的応報刑論は、刑罰の本質を応報に求めつつ、応報の範囲内で犯罪の予防という目的も追求する立場である。
没収の財産刑としての位置付け
没収は、罰金、科料と並ぶ財産刑の一種である。
目的刑論と犯罪予防
目的刑論は、刑罰を犯罪予防のための手段として正当化し、一般予防と特別予防に分かれる。
没収の主刑に付加する付加刑性
没収は、主刑を言い渡す場合に付加して言い渡すことができる付加刑である。
消極的一般予防論と威嚇
消極的一般予防論は、犯罪による快楽を上回る苦痛を刑罰として予告することで一般人に対する威嚇的効果を発揮し、犯罪を予防するという考え方である。
行使する偽造文書の犯罪組成物の没収
刑法19条1項1号の「犯罪行為を組成した物」にあたるものとして、偽造文書行使罪における偽造文書がある。
特別予防論の意義
特別予防論は刑罰の目的を行為者が将来再び犯罪を行うのを予防することに求める見解である。
殺人使用の包丁の犯罪供用物の没収
刑法19条1項2号の「犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物」にあたるものとして、殺人に使用された包丁がある。
一般予防論の意義
一般予防論は刑罰による威嚇を通じて一般人が犯罪を行うのを予防することを刑罰の目的とする見解である。
文書偽造で生じた文書の没収
刑法19条1項3号の「犯罪行為によって生じた物」にあたるものとして、文書偽造罪における偽造文書がある。