条文・判例・学説を体系的に整理
控訴状の必要的記載事項
控訴状には、当事者及び法定代理人、第一審判決の表示及びその判決に対して控訴をする旨を記載しなければならず、第一審判決の取消し又は変更を求める事由は必要的記載事項ではない。
訴え却下の第一審判決への控訴と棄却
控訴裁判所は、第一審判決を相当とするときは、訴えを却下した第一審判決に対する控訴の場合も含め、控訴を棄却しなければならない。
控訴権の濫用に対する制裁
控訴裁判所は、第一審判決を相当として控訴を棄却する場合において、控訴人が訴訟の完結を遅延させることのみを目的として控訴を提起したものと認めるときは、控訴人に対し、控訴の提起の手数料として納付すべき金額の十倍以下の金銭の納付を命ずることができる。
境界確定訴訟の控訴と不利益変更禁止
境界確定訴訟の控訴裁判所は、第一審判決の定めた境界線を正当でないと認めたときは、不服申立ての限度にとらわれず、第一審判決を変更して、正当と判断する線を境界と定めるべきであり、不利益変更禁止の原則の適用はない。
昭和38年10月15日最高裁第三小法廷民集17巻9号1220頁(土地境界確認等請求)
附帯控訴がある場合の控訴の取下げ
控訴人は、被控訴人が附帯控訴をしているときであっても、被控訴人の同意を得ずに、控訴を取り下げることができる(この場合、附帯控訴は、独立した控訴の要件を備えるものを除き、効力を失う)。
附帯控訴の提起の方式
附帯控訴の提起は、附帯控訴状を控訴裁判所に提出してすることができ、第一審裁判所に提出してしなければならないわけではない。
一部請求認容への被告のみの控訴と相殺
明示的一部請求を認容した第一審判決に対して被告のみが控訴し、控訴審において新たに主張された相殺の抗弁に理由がある場合に、控訴裁判所が、債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額が第一審で認容された一部請求の額を超えるとして控訴を棄却することは、不利益変更禁止の原則に反しない。
平成6年11月22日最高裁第三小法廷民集48巻7号1355頁(損害賠償)
客観的併合の一部控訴と上訴不可分
数個の請求が客観的に併合された訴訟において、第一審判決に対して一方の当事者のみが控訴を提起した場合でも、確定の遮断及び移審の効力は判決の全部に及び(上訴不可分の原則)、控訴をしなかった当事者の敗訴部分も、控訴期間の満了によっては確定しない。
控訴理由書の提出
控訴人が、控訴状に控訴理由を記載せず、控訴の提起後50日以内に控訴理由書を控訴裁判所に提出しなかった場合でも、当該控訴は不適法なものとして却下されない。
附帯控訴と控訴の取下げ
原告が貸金の返還請求をした訴訟において、第一審裁判所が原告の請求の一部を認容し、その余の請求を棄却する判決をしたところ、原告が控訴期間内に控訴を提起し、その後、被告が自らの控訴期間内に附帯控訴を提起した場合に、控訴人兼附帯被控訴人が控訴審の終局判決前に控訴を取り下げたときは、当該附帯控訴は、控訴期間以外の控訴の要件も備える限り、独立した控訴とみなされる。
控訴審における訴えの変更
控訴審においては、訴えの変更をすることができる。
控訴審における抗弁の審理
原告が貸金の返還請求をした訴訟において、被告が弁済の抗弁と消滅時効の抗弁を主張したところ、第一審裁判所が弁済の抗弁を認めて原告の請求を全て棄却する判決をし、原告が控訴を提起した場合において、控訴裁判所は、弁済の事実は認められないが消滅時効が完成したという心証を抱いたときは、当該控訴を棄却しなければならない。
通常共同訴訟と移審の効果
通常共同訴訟においては、共同訴訟人の一人の訴訟行為及び共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は他の共同訴訟人に影響を及ぼさないから、共同訴訟人の一部のみが控訴し、又は相手方が共同訴訟人の一部に対してのみ控訴した場合には、その余の共同訴訟人に関する部分については移審の効果は生じない。
必要的共同訴訟と控訴の効果
必要的共同訴訟において共同訴訟人の一人がした控訴は全員に対して効力を生じ、固有必要的共同訴訟(共同相続人間における相続人の地位不存在確認の訴えなど)において合一確定の要請に反する判決がされた場合には、控訴裁判所は、原告が控訴又は附帯控訴をしていないときであっても、合一確定に必要な限度で、第一審判決のうち控訴しなかった共同訴訟人に関する部分をその者に不利益に変更することができる。
平成16年7月6日最高裁第三小法廷民集58巻5号1319頁(相続権不存在確認請求事件)
選択的併合と控訴審の審判範囲
選択的併合において一方の請求のみが認容された第一審判決に対し被告が控訴した場合、控訴裁判所は、認容された請求を理由なしと判断するときは、併合された他方の請求についても審理・判断しなければならず、他方の請求について判断することなく請求を全部棄却する判決をすることはできない。
昭和58年4月14日最高裁第一小法廷集民138号567頁(損害賠償)
擬制自白の撤回
第一審において被告が請求原因事実の全部を自白したとみなされた場合(擬制自白)、被告が控訴審で当該事実を争うには、反真実であることを立証する必要はない。
平成18年8月17日津地裁
控訴審の第一審口頭弁論の結果陳述
当事者の一方が控訴審の第1回口頭弁論期日に欠席した場合、その期日に出頭した当事者は、当事者双方に係る第一審口頭弁論の結果を陳述することができる。
昭和33年7月22日最高裁第三小法廷民集12巻12号1817頁
控訴審における弁論準備手続
第一審において弁論準備手続を終結している場合であっても、当事者が控訴審において新たな攻撃防御方法を提出しないときでも、控訴裁判所は事件を弁論準備手続に付することができる。
控訴審における管轄違いの主張
第一審裁判所が専属管轄を定める合意があることを理由とする管轄違いの主張を排斥して本案判決をした場合、当事者は控訴審において当該合意があることを理由として第一審裁判所が管轄権を有しないことを主張することはできない。
簡裁の訴状却下命令への即時抗告
簡易裁判所の裁判官の訴状却下命令に対しては、地方裁判所に即時抗告をすることができる。