条文・判例・学説を体系的に整理
請求理由付け事実の記載不足と補正命令
訴状に請求の趣旨及び原因(請求を特定するのに必要な事実)の記載がある場合には、請求を理由付ける事実の記載が不足していても、民事訴訟法137条1項の補正命令の対象とはならない(補正命令の対象は134条2項に違反する場合であり、訴え提起の手数料の不納付は裁判所書記官の納付命令の処分の対象である〔137条の2第1項〕)。
送達費用の予納欠缺と訴状却下
訴状の送達に必要な費用の予納を相当の期間を定めて原告に命じたにもかかわらず予納がないときは、訴状を却下するのは裁判長であり、その方式は決定ではなく命令である。
訴状送達後の訴状却下命令の可否
訴状却下命令(137条2項)は、訴状の補正がされない場合に裁判長が訴状審査の段階でするものであり、訴状が被告に送達された後は、訴状却下命令をすることはできず、訴えが不適法であれば判決で却下することになる。
提訴手数料の不納付と訴状却下
訴えの提起の手数料の納付を命ずる処分(民事訴訟法137条の2第1項)で定められた期間が経過した後であっても、訴状却下の命令がされる前に原告が手数料を納付したときは、裁判長は、訴状を却下することができない。
平成27年12月17日最高裁第一小法廷集民251号121頁(訴訟救助申立て却下決定に対する抗告状却下命令に対する許可抗告事件)
訴状の補正命令に対する不服申立て
訴状の補正命令に対しては独立して不服を申し立てることはできず、補正に応じないために訴状却下命令が出された場合に、その却下命令に対して即時抗告をすることができるにとどまる。
訴状の送達費用の予納欠缺と補正命令
訴状の送達をすることができない場合(訴状の送達に必要な費用を予納しない場合を含む)には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すること(費用の予納)を命じなければならない。
被告住所を欠く訴状と補正命令
訴状の送達をすることができない場合には、裁判長は、補正を命ずることができ、被告の現住所が明らかでないために訴状を送達できないときも、相当の期間を定めて補正を命じなければならない。
口頭弁論を経ない訴えの却下判決
訴えが不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる。
訴え提起前の照会
訴えを提起しようとする者が訴えの被告となるべき者に対し訴えの提起を予告する通知を書面でした場合には、その予告通知をした者は、その予告通知を受けた者に対し、訴えの提起前に、訴えを提起した場合の主張又は立証を準備するために必要であることが明らかな事項について、書面で回答するよう、書面で照会することができる。
重複訴訟の禁止の審理
重複する訴えに当たるか否かの審理においては、職権証拠調べをすることができる。
訴えの変更の方式
請求の趣旨を変更せず、請求の原因を変更するにとどまる訴えの変更は、書面でする必要はない。
筆界確定訴訟の請求の趣旨
筆界確定の訴えの請求の趣旨として、原告は、隣接する両土地の筆界を確定する旨の判決を求めれば足り、特定の筆界を明示する必要はない。
反訴の提起要件
被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的として、口頭弁論の終結に至るまで、反訴を提起することができる。
相手方の主張事実に基づく訴えの変更
相手方が積極否認の理由として主張した重要な間接事実に基づいて訴えの変更をする場合には、相手方の同意がなく、請求の基礎に変更があるときであっても、訴えの変更をすることができる。
昭和39年7月10日最高裁第二小法廷民集18巻6号1093頁(家屋明渡請求)
補助参加人と反訴提起
補助参加人は、被参加人である被告のために反訴を提起することはできない。
訴訟代理人と反訴提起権
訴訟委任に基づく訴訟代理人が反訴を提起するには、民事訴訟法55条2項1号により本人から特別の委任を受けなければならない。
反訴状の送達
反訴状は、裁判所が相手方に送達しなければならず、直接送付で足りるものではない。
上告審における反訴
上告審においては、相手方の同意がある場合であっても、反訴を提起することができない。
簡易裁判所の口頭による訴え提起
簡易裁判所における訴訟では、訴えは、口頭で提起することができる。
簡裁の続行期日欠席と準備書面陳述擬制
簡易裁判所における口頭弁論の続行の期日に被告が欠席した場合においても、裁判所は、被告が提出した準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した原告に弁論をさせることができる。