条文・判例・学説を体系的に整理
受任者による権利の移転義務
受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。
受任者の債務負担と担保の供与
受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担した場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
委任の任意解除とやむを得ない事由
委任者が受任者に不利な時期に委任を解除した場合であっても、やむを得ない事由があったときは、委任者は、受任者の損害を賠償する必要がない。
委任終了後の受任者の報告義務
受任者は、委任者の請求があるときはいつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
受任者の収取した果実の引渡義務
受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならず、その収取した果実についても同様である。
受任者の利益をも目的とする委任の解除
委任は各当事者がいつでも解除することができ、委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く)をも目的とする委任を解除したときは、やむを得ない事由があった場合を除き、相手方の損害を賠償しなければならないにとどまり、解除そのものにやむを得ない事由は要しない。
委任終了後の急迫事情と処分義務
委任者の死亡によって委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者は、委任者の相続人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。
委任終了後の急迫事情と処分義務
委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。
成果報酬型委任と報酬の支払時期
当事者が委任事務の履行による成果に対して報酬の支払を約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、委任者はその成果の引渡しと同時に報酬を支払わなければならない。
履行中途の委任終了と割合報酬
受任者は、委任が履行の中途で終了したときは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
有償委任の解除
期間の定めのある有償の委任契約の受任者は、期間の満了前であっても契約を解除することができるが、相手方に不利な時期に解除したときは、やむを得ない事由がない限り相手方の損害を賠償しなければならない。
委任の解除の効力
委任の解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。
委任の解除と損害賠償責任
委任を解除した者は、その解除が相手方に不利な時期にされた場合には、やむを得ない事由がある場合を除き、相手方に生じた損害を賠償しなければならない(民法651条2項)。
委任者の破産と委任終了の対抗
委任者が破産手続開始の決定を受けたことによって委任が終了した場合、委任者は、その旨を受任者に通知したとき又は受任者がこれを知っていたときでなければ、受任者に対し委任の終了を主張することができない(民法655条)。
準委任への委任規定の準用
法律行為でない事務の委託(準委任)については、委任の規定が準用される(民法656条)。
無償委任における受任者の注意義務
無償委任の受任者は、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う。
復受任者の選任
受任者は、委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
委任の解除の自由
各当事者は、いつでも委任契約を解除することができるが、相手方に不利な時期に解除したとき(又は委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く)をも目的とする委任を解除したとき)は、やむを得ない事由があったときを除き、相手方の損害を賠償しなければならない。
受任者の費用代弁済請求権と相殺
受任者が委任事務処理のために必要と認められる債務を負担したときは委任者に対し代弁済を請求することができるが、委任者はこの代弁済請求権を受働債権として相殺することはできない。
昭和47年12月22日最高裁第二小法廷民集26巻10号1991頁(債務金請求事件)
委任契約の解除と将来効
委任契約を債務不履行により解除したときは、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。