条文・判例・学説を体系的に整理
売買目的物引渡請求の契約締結の立証
不動産の売買契約に基づき買主が目的物の引渡しを請求する訴訟では、売買契約が締結されたことを主張立証すれば足り、契約締結当時目的物の所有権が売主に帰属していたことを主張立証する必要はない。
賃貸借終了返還請求の請求原因事実
動産の賃貸借契約の終了に基づき目的物の返還を請求する訴訟では、賃貸借契約の締結、これに基づく目的物の引渡し及び賃貸借契約の終了原因事実を請求原因として主張立証しなければならない。
売買代金請求の履行期の定めの立証不要
不動産の売買契約に基づき代金の支払を請求する訴訟では、売買契約の締結を主張立証すれば足り、代金債権の履行期の定めは請求原因として主張立証する必要がない(期限の合意は買主が主張立証責任を負う抗弁事実である)。
受任者の費用前払請求の請求原因
委任契約に基づき受任者が費用の前払を請求する訴訟では、委任契約が締結されたこと及び委任事務の処理に費用を要することを請求原因として主張立証すれば足り、委任の報酬の定めは請求原因として必要ではない。
消費者契約法の不実告知取消し
事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、重要事項について事実と異なることを告げ、消費者がその内容が事実であるとの誤認をして契約の申込みをしたときは、消費者はその申込みを取り消すことができる。
債務不履行でも提訴しない不起訴合意
債務者が債務を弁済しない場合に、債権者がその債務の履行を請求する訴えを提起しないという当事者間の合意(不起訴の合意)は、その効力を一律に否定されるものではなく、公序良俗に反しない限り有効である。
不執行合意の効力
不執行の合意は有効であり、給付訴訟でその合意により強制執行できないことが主張され、裁判所がこれを認めた場合には、請求権の存在を認める給付判決の主文に強制執行をすることができない旨を明示する。
平成5年11月11日最高裁第一小法廷民集47巻9号5255頁(貸金等)
定型約款の規定の事業者間取引への適用
定型取引は、ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいい、事業者間の取引であっても定型取引に当たり得るから、民法の定型約款に関する規定は事業者間の取引にも適用される。
労働契約と定型取引(該当しない)
労働契約は、相手方が不特定多数の者ではなく、内容の画一性が双方にとって合理的なものでもないから、定型取引には当たらない。
定型取引合意と約款組入れのみなし合意
定型取引合意をした者は、定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたときは、定型約款の個別の条項についても合意をしたものとみなされ、定型約款準備者が定型約款を示さなかった場合でも同様である。
信義則に反する約款条項のみなし不合意
定型約款に、相手方の権利を制限し又は義務を加重する条項であって、取引の態様及び実情並びに取引上の社会通念に照らして民法1条2項の基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものがあったときは、当該条項について合意をしなかったものとみなされる。
定型取引の定義
定型取引とは、ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。
定型約款の表示による合意のみなし
定型取引合意をした者は、定型約款準備者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたときは、定型約款の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
定型約款の内容の表示義務
定型約款準備者は、定型取引合意の前又は後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、既に書面の交付又は電磁的記録の提供をしていたときを除き、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。
定型約款の一般利益適合による変更
定型約款準備者は、定型約款の変更が相手方の一般の利益に適合するときは、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。
定型約款の変更条項と変更の可否
定型約款準備者は、定型約款に変更をすることがある旨を定めていたというだけでは、定型約款の変更をすることはできず、契約をした目的に反せず、かつ変更の必要性・変更後の内容の相当性・変更条項の有無及び内容その他の事情に照らして合理的なものであることを要する。
承諾の通知と撤回の通知の到達の先後
承諾の意思表示は、相手方に到達した時からその効力を生ずるから、承諾の通知を発した後でも、承諾を撤回する通知が先に申込者に到達したときは、契約は成立しない。
承諾期間経過後に到達した承諾の効力
承諾の期間を定めた申込みに対する承諾が期間経過後に到達したときは、通常の場合には期間内に到達すべきであったとしても、申込者は遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができるにとどまり、期間内に到達したものとして契約が成立するわけではない。
対話者への承諾期間なき申込みの撤回
承諾の期間を定めないで対話者に対してした申込みは、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる。
申込者の死亡と承諾者の悪意
申込者が申込みの通知を発した後に死亡した場合において、相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは効力を有しない。