条文・判例・学説を体系的に整理
債権質設定者による第三債務者の免除
債権が質権の目的とされた場合に、質権設定者が第三債務者に対して当該債権に係る債務を免除することは、質権者に対して負う当該債権の担保価値を維持すべき義務に違反する。
平成18年12月21日最高裁第一小法廷民集60巻10号3964頁(損害賠償請求事件)
連帯債権者の一人による債務の免除
連帯債権者の一人と債務者との間に免除があったときは、その連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益に係る部分については、他の連帯債権者は履行を請求することができない。
主たる債務の免除と連帯保証債務
債権者が主たる債務者に対して債務を免除したときは、保証債務の付従性により、連帯保証人の債務も消滅する。
債務の免除と条件
債務の免除の意思表示には、条件を付することができる。
担保保存義務免除特約と第三取得者
債権者が過失により担保を減少させた後に物上保証人から抵当目的不動産を譲り受けた者は、物上保証人と債権者との間に債権者の担保保存義務を免除する旨の特約がされていたとしても、担保の減少に基づく自己の免責を主張することができない。
平成7年6月23日最高裁第二小法廷民集49巻6号1737頁(建物根抵当権設定登記抹消登記)
物上保証人の弁済と対抗要件不要の代位
物上保証人は、被担保債権を弁済した場合、代位により取得した被担保債権につき、対抗要件を備えなくてもこれを行使することができる。
保証人と物上保証人の代位の割合
保証人と物上保証人との間で保証人が弁済した全額につき債権者に代位できる旨の特約をした場合、弁済をした保証人は、その特約の効力を物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者に主張することができる(最判昭59.5.29)。
昭和59年5月29日最高裁第三小法廷民集38巻7号885頁(配当異議)
担保保存義務と免責
債権者が故意に担保を減少させたとしても、そのことについて取引上の社会通念に照らして合理的な理由がある場合、保証人はその担保の減少に基づく免責を主張することができない。
混同による債権の消滅
債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は消滅するが、その債権が第三者の権利の目的であるときはこの限りでない。
免除の効力発生時期
債権者が債務者に免除の意思を表示した場合、免除の効果は、債務者が債権者に対して免除の利益を享受する意思を表示した時ではなく、免除の意思表示が債務者に到達した時に発生する。
免除後の弁済と不当利得
債務の免除があった場合において、債務者が債務の免除を受けたことを忘れて弁済したときは、債務者はその返還を求めることができる。
債権の混同と質権の存続
債権質に供されている債権を債務者が相続した場合、当該債権は混同により消滅せず質権者の利益のために存続する。
免除と債務者の承諾
債権者は、債務者の承諾なく、その債務を免除することができる。
差押え後の債務者の債権者相続と混同
債権が差し押さえられた後に債務者が債権者を相続して債権債務が同一人に帰属しても、差し押さえられた債権は第三者の権利の目的であるから、混同によって消滅しない。
債務免除の債権者の単独行為性
債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、債権は消滅し、債務者の同意を要しない。
先順位抵当権者の債務者相続による混同
抵当権の被担保債権が混同により消滅したときは、付従性により抵当権も消滅する。
弁済者の充当指定と受領者の異議
弁済をする者が給付の時に弁済を充当すべき債務を指定したときは、弁済を受領する者が直ちに異議を述べても、その指定の効力は妨げられない。
同時弁済期・同利益の債務への法定充当
当事者が充当の順序を合意せず、双方が指定もしなかった場合に、いずれの債務も弁済期が同時で、弁済の利益も等しいときは、その給付は、各債務の額に応じて充当される。
元本・利息・費用がある債務の充当順序
同一の債権者に対する同種の数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合に、弁済者が全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、全ての債務の費用、利息、元本の順に充当され、弁済者の充当の指定は費用・利息・元本の各段階の内部でのみ働く。
弁済充当の合意と弁済者の指定の優劣
弁済者と弁済受領者との間に弁済の充当の順序に関する合意があるときは、その順序に従い弁済が充当され、弁済者が合意と異なる指定をしても、合意に従って充当される。