条文・判例・学説を体系的に整理
譲渡制限の意思表示と債権譲渡の効力
当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
譲渡制限債権への強制執行
譲渡制限の意思表示がされた債権に対して強制執行をした差押債権者が、その意思表示がされたことを知っていたときであっても、債務者は、差押債権者による取立てを拒むことができない。
二重譲渡の一方のみの通知と債務者弁済
債権が二重に譲渡され、一方の譲渡については確定日付のない通知が債務者にされ、他方の譲渡については通知がされていない場合に、債務者が通知を受けた譲受人に弁済をしたときは、債権は、これによって消滅する。
二重譲渡通知の到達先後不明と弁済拒絶
債権が二重に譲渡され、いずれも確定日付のある証書による通知がされたが、到達の先後が不明であるときは、譲受人相互の間では優劣を決することができず同順位となるから、債務者は、到達の先後不明を理由として弁済を拒絶することはできない。
昭和55年1月11日最高裁第三小法廷民集34巻1号42頁(譲受債権)
対抗要件具備後の強迫取消しと譲受人
債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができ、債権の発生原因である契約が強迫によりされていた場合には、通知後に取り消したときでも、取消しの原因は対抗要件具備時までに存在していたから、取消しを主張して譲受人に対する弁済を拒絶することができる。
譲渡制限特約と譲渡人への履行催告
譲渡制限の意思表示がされた債権の悪意の譲受人が、債務者に対し相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、債務者はその後譲渡制限を理由として譲受人に対する債務の履行を拒むことができない。
譲渡制限特約付債権の供託
譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合には、債務者はその債権の全額に相当する金銭を供託することができる。
悪意の譲受人の差押えと履行拒絶
譲渡制限の意思表示がされた債権を悪意で譲り受けた者の債権者がその債権に対し強制執行をしたときは、債務者は譲渡制限を理由としてその債権者に対し債務の履行を拒むことができる。
預貯金の譲渡制限と差押債権者
預貯金債権について当事者がした譲渡制限の意思表示は、その債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、その者が悪意又は重過失であっても、対抗することができない。
将来債権譲渡後の譲渡制限
将来発生すべき債権の譲渡について対抗要件が具備された後に当該債権について譲渡制限の意思表示がされたときは、譲受人を悪意とみなす規定(民法466条の6第3項)は適用されないため、債務者は譲渡制限を理由として譲受人に対する債務の履行を拒むことができない。
譲渡制限特約と悪意譲受人
譲渡制限の意思表示がされていることを知りながら債権を譲り受けた譲受人であっても、債務者が譲受人に対して任意に弁済をしようとすれば、これを受けることができる。
譲渡制限特約と供託
譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合、譲受人が譲渡制限の意思表示がされたことを過失なく知らなかったときであっても、債務者は、弁済の責任を免れるために、その債権の全額に相当する金銭を供託することができる。
譲渡人の破産と供託請求
譲渡制限の意思表示がされた債権の全額が譲渡された場合において、譲渡人について破産手続開始の決定があったときは、第三者対抗要件を備えた譲受人は、債務者に対しその債権の全額に相当する金銭の供託をするよう請求することができる。
譲渡制限特約と差押え
譲渡制限の意思表示がされた債権について差押えがされた場合、債務者は、差押債権者に対し、譲渡制限の意思表示がされたことを理由としてその債務の履行を拒むことはできないが(民法466条の4第1項)、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者の債権者が強制執行をしたときは、債務者は履行を拒むことができる(同条2項)。
預貯金債権の譲渡制限と悪意重過失の譲受
預金債権について譲渡制限の意思表示がされていた場合、その意思表示は悪意又は重過失の譲受人に対抗することができ、その譲受人への譲渡は効力を生じない。
将来債権の譲渡可能性
将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約は、契約締結時に目的債権の発生可能性が低かったことのみによっては効力を左右されず、有効に成立しうる(発生が確実に期待されることを要しない)。
平成11年1月29日最高裁第三小法廷民集53巻1号151頁(供託金還付請求権確認)
債権二重譲渡の優劣基準
債権が二重に譲渡された場合における譲受人相互の優劣は、確定日付のある通知の到達の先後によって決する。
昭和49年3月7日最高裁第一小法廷民集28巻2号174頁(第三者異議事件)
債権譲渡通知の到達と第三者対抗要件
債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができず、第三者対抗要件としては確定日付のある証書によることを要する。
債権譲渡における債務者の抗弁
債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができ、承諾の際に抗弁をとどめなかったことのみを理由として抗弁が切断されることはない。
昭和42年10月27日最高裁第二小法廷民集21巻8号2161頁(譲渡債権請求)
債権の代物弁済
債権者は、債務者の意思に反しても、その債権を第三者に対する債務の代物弁済として譲渡することができる。